隻眼の俺と魔女の香り
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あらすじ
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謎の集団——魔術研究組織『メサイヤメシア』——の幹部といわれる男を、黄金甲冑アウルムは連行していった。
いつまでも妹の心配をしていたので部下に促されていたが、シュラクがしっかり守ったということで、何とも複雑な表情で俺たちの元を去った。
ガドウ率いるマギアハウンド部隊は、ガドウが遺跡前を守り、レウィンリィとクロエが遺跡調査を行ってきたらしい。レウィンリィのこれまでの研究成果もあり、あたりを付けて探索を行った結果、収穫といえば当時の石板のみといっていた。
見せてもらうと俺にはどうもフロッピーディスクにしか見えなかった。
遠野の話では記録媒体だし、中身は分からないが再生できるものを開発できないだろうから、魔法には繋がらないと思うと話していた。
「結局何だったのかしら今回の襲撃は」
俺の左わきに抱え込まれながら、遠野は顎に指をあてる。
「首謀者も掴まったし、遺跡も結局は二国共同の研究対象としてまとまった。なんだか狐につままれた気分だわ」
「アウルムたちが奴らがグロウスを使役している理由などを突き止めるだろうが、今後はグロウスを狩るやつらは、より一層増えるのかもしれない」
人はより扱いやすいと思ったものに集まる性質がある。グロウスを使役するのは今は隠れた技術だが、更に民間まで広がれば争いの火種にもなるだろう。
「そうじろう、シエロ気になる事があるの」
俺の右わき腹に抱えられながら、シエロはぼんやりといった。
「人の魂とグロウスを繋げるのは、当たり前だけど出来ないんだよ。もし行うにもそれなりの術式の構築が必要になるの。なんだかこれは——魔女の匂いがするの」
「シエロ以外の極彩色の魔女……?」
「魔女にもいろいろな役割を持った者がいるけど、魔術側に着く魔女も勿論いるの」
「なら早くその情報を手に入れた方が良いな、人にグロウスを憑りつかせまくる技術は危険だ」
俺が身体の中にパルカルを飼っているように、アトラスを着用しなくてもそれなりの火力を発揮する。
「ガドウの話じゃ、ここからずっと先に海沿いの街がある。そこにマギアハウンドの本拠地がある」
アトラスで夜通し走れば休憩を入れても数日で到着するだろう。
だから俺はこうして直線距離で山や谷を、少女を二人担ぎながら疾走している。
マギアハウンド本拠地なら更に魔術に詳しい情報を握っているはずだと、ガドウが言っていたが——。
「総司郎、前見て前!」
「んあ?」
気を抜いたせいか、目の前に突然現れた巨大な幹に頭を打って落下した。
シエロと遠野を緩衝素材で包むように指示したのは覚えているが、受け身を取る事を忘れて俺はそのまま地面にたたきつけられた。
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