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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第一章 灰色な俺と極彩色の魔女

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灰色の俺と蒼い闘争

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

 白煙の中に体を滑り込ませ、アトラスが示す方向に魔女の影を見つける。


「ちょっと待て!」


 影に手を伸ばすとアトラスに危険を察知するアラートが鳴り響き、俺は瞬時にナイフを引き抜いた。刹那、強く金属がはぜる音が聞こえ、煙がゆっくりと晴れる。


 俺はコンバットナイフで黄金に輝く片手剣を何とか受け止めていた。

 

 俺の背中には魔女がいた。血を吐いているインフェルノの顔に全身を押し付けている。白が赤に染まるのなんてお構いなしに。


「剣を抜く相手を間違えてませんか? 黒甲冑様」


 黄金甲冑の兜の隙間から青年の声が漏れる。振り下ろした剣の強さは尋常に重い。

 アトラスの力をもってしても、気を抜けば膝が地面へと落ちそうだった。それに加え黄金甲冑の声は馬車のときと同じで軽い。まだ実力を出していないのがよく分かる。さすが十三聖剣と呼ばれる人間だということか。


「間違えてるかもしれないし、間違えてないかもしれない。まだよく分からんもんでね」


「決まり文句ですが一つ。悪いことは言いません。極彩色の罪人に手を貸さない方が良い。十三聖剣に加わる方がよっぽど人間らしい生活を送れます」


「人間らしい……?」


 そういえばさっきシエロが気にかかる事を言っていた。


「魔術装置とかなんとかは、人間らしく生きられないってのか?」


 俺の言葉に反応して黄金剣はより一層強く俺に圧力をかけてくる。何とか膝を地面へつけなかったが、激音と共に地面が他の地表よりも一段下がった。


「……やはり存じ上げてたんですね、黒甲冑様。いや、人が悪い。これから罪人の四肢をもぎ、永遠に魔術を新たな生成してもらわなければいけないというのに。人に知られると僕が悪魔のようだ」


「確かに、そら、人には言えないわな……!」


 足に全力の力を込めて黄金剣を押し返す。シエロがなにで魔術装置を知ってたのかは知らないが、罪人同士のネットワークでもあって知ってたんだろう。


「ですがこれは仕方のないことです。魔術の発展には魔術に関する知識が必要。国の罪人であるならば、その罪を国家繁栄という功績で洗い流さないと」


「洗い流すだと……?」


 魔術という力を欲する国が、一人の少女の自由と尊厳を引き換えに、国家反映だと?

 犠牲を強いて、殺した奴らは「死んでも功績を遺せてよかったね」だと?


「てめええ!! お前はそれで家族に顔向けできるのか!」


 どこかでピキッと筋肉が悲鳴を上げるが、お構いなしにコンバットナイフを振りぬく。黄金甲冑は後ずさりし、再度俺に向けて黄金剣を構える。先ほどまでの力は何処に行ったのか、アトラスが異様に重く感じる。


「ええ、できますとも。両親や兄妹を食べさせていくためですからね。いくらでも自分を騙せますよ。正直に生きても誰も徳なんてしないし、望まれちゃいない!」


 黄金甲冑の鎧と剣が徐々に光をまとい始める。闇夜だが彼自身が太陽だというように。


 両手で剣を構え、大きく振りかぶる。


「アトラ、あれが魔法なのか!? 耐えられるんだろうな!?」


『——わか、りません』


「ん、どうした?」


『タイミ、ングを逃して、おりましたが、世界を隔、てる、地平線を超え、異世界に来た、だけで、アトラスの、原動力は、そこをつき、あ、いま、つきまし——』


「お、おい!」


 もっとも聞きたくない音だ。パソコンの電源を切ったときのようにシュゥゥンと力が抜けていくのが分かる。アトラスを着たままの俺は、コンバットナイフを振りぬいたままの姿勢で石像のように固まった。


「まてまてまてまて」


 全身を通っている薄緑色の光も柔らかに霧散し、黄金甲冑を映し出していた視界も、電源を落としたテレビみたいに真っ暗になる。


「身体さえあれば、魔女は利用できます。すみません。生活の為なんです」


 現実世界でも良く聞く「しかたない」音を含んだ声が聞こえたような気がしたのは俺の気のせいか。




終幕 灰色の俺と蒼い闘争

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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