南聖刻海浜鉄道編〜後編〜
小森江駅は本線と地下鉄東西線の分岐点となっている。また、聖刻急行鉄道木場線のターミナル駅でもあり、この駅から聖刻東部の街へ足を延ばす玄関口の一つとなっている。
南海小森江駅は8番線まである。南側から1番線となり、6番線までは南海のホームであるが、地下鉄直通特急は6番線に入線する例外がある。ここで、増解結を行うのだ。ホーム長は10連。
7番・8番線が地下鉄東西線のホームだ。ホーム有効長は8連であるが、現事務室の区画が2両分あり、そこは柵で仕切られている。この柵を外せば10連も入線が可能ではある。
この柵がある為、地下鉄方面の特急6両と聖刻崎方面の特急4両の連結編成は、7・8番乗り場に入線できない制約がある。この特急の編成は必ず10両編成ではなく、聖刻崎方面4両+地下鉄方面4両の8両編成での運行の場合もある為、その場合は7番乗り場に入線する。
改札を出て北側には、聖刻急行鉄道のホームがある。木場線は東聖刻市郊外ギリギリを通る路線であり、10両編成の列車が頻繁に行き交う。そのターミナル駅であり、小森江の利用客は多い。
ちなみに、南海鉄道と聖刻急行鉄道とは直通運転をしていない。南海は狭軌(線路幅1067mm)であり、聖刻急行鉄道は標準軌(線路幅1435mm)である為、直通運転が不可能なのである。
『3番乗り場から、聖刻崎ゆきの特急が発車します』
「扉が閉まります。扉にご注意下さい」
アナウンスが流れ、発車ブザーが鳴る。
そして、特急列車の扉が閉まる。
『三番、車側よし!』
列車はゆっくりと発車し、小森江駅を後にする。
8時32分。定時出発だ。
暫く低速で進みつつ、ポイントのためジョイント音が連続して鳴る。
南海・地下鉄東西線の車両基地も有している為、かなり複雑な分岐をしていることで、一部には有名である。その為、地下鉄や車両基地に分岐する列車の揺れは相当なものだ。
まあ、この特急は本線に乗っており、分岐しないので、ガタガタ言うだけで揺れないが。
ポイントを通過すると、地下鉄東西線は地下に潜るのを横手に列車は営業最高速度の時速130kmまで速度を上げる。
この辺りの北側の車窓は、奥の山が見えない程のマンションやビルに埋め尽くされている。
速度が上がりきる前に棚仮駅を通過する。
棚仮駅は2面4線の高架駅で、2・3番線は通過専用。1番・4番線のみ、プラットホームがある。各駅停車駅でホーム有効長は10連。
地下には東西線の仮棚駅もあり、改札は1階で共有されている。
その後すぐに対向列車とすれ違い、車内ではアナウンスが流れはじめた。
『今日も、南海をご利用いただき、ありがとうございます。この列車は、聖刻崎行きの特急です。この列車は全席座席指定です。お手持ちの特急券指定番号の席にお座り下さい。停車駅と停車時刻のご案内を致します。南苗木着8時39分、舞島着8時46分、本郷着9時4分、終点聖刻崎は9時13分の到着です。次は南苗木に止まります』
終点の聖刻崎まで、あと41分だ。
あ、そうそう。
突然ですが、朝ごはんがまだでしたね。
私事で申し訳ない。
今日は私の誕生日。
ちょっと奮発して駅弁にしました。
はい。
そして、その駅弁がこちら。
お寿司です。
色々飛び出してます。
落としてぐちゃぐちゃになってしまいました。
はい。やらかしました。
ぐすん。
そんな悲しみとは無縁な特急は小谷駅を通過する。
この駅も2面4線の高架駅で、2・3番線は通過専用だ。1番・4番線のみプラットホームがある。また、この地下に東西線の駅もあり、改札は1階で共有されている。ホーム長8連の各駅停車駅だ。
ここからは更に都会に入る。
ビル群が増え、利用者も急激に増える。
次に海浜田尻を通過する。
3面6線の島式ホームでホーム有効長は10連。快速急行以下が停車する。また、地下を走行する東西線では直通急行も停車する。
ここから浜町駅までの6駅は、急行が全ての駅に停車する。
海浜田尻は地下鉄田尻線に連絡している他、並走していた地下鉄東西線が北に向きを変える。
列車は高層ビルや巨大工場の区域に入っていく。
北に高さ200mのビルがあると、南には大手重工業会社の巨大工場が近づく。
次に木場安浦駅を通過する。
地下鉄京曙線の始発駅でもあり、利用客の多い駅である。その為、2面4線の島式プラットホームの幅が広いにも関わらず、多くの人で溢れかえっている。
今の時間帯も原因の一つだろうが。
『本日も南海をご利用いただき、ありがとうございました。間も無く、南苗木に到着します。国鉄線、地下鉄長浜線、地下鉄東聖刻環状線はお乗り換えです。聖刻崎方面、聖刻崎行き各駅停車は2番乗り場の列車にお乗り換え下さい』
アナウンスが流れると、国鉄苗木線をオーバークロスし、列車は南苗木駅に滑り込む。
南苗木駅は2面4線の島式ホームであり、全列車が停車する。駅舎は1935年に改装され、真新しい。
国鉄苗木線・海川崎支線と地下鉄長浜線、地下鉄東聖刻環状線の乗り換え口であり、国鉄線とは連絡改札口も設けられており、スムーズな乗り換えが可能だ。
この辺りは工業地帯であり、通勤時間帯は利用客が特に多い。
列車は音もなく、定時出発する。
この静音性は新型車両ならでわだろう。
『今日も、南海をご利用いただき、ありがとうございます。この列車は、聖刻崎行きの特急です。次は舞島。舞島です』
南苗木を出ると、長い直線区間が終了する。
湾岸都市高速道路が上を通り過ぎると、列車は海岸線に沿って左にカーブする。
聖刻崎への最速の列車であるが、東聖刻まで行かないのはここで進路を南に取るからである。
カーブが一度終わると、立石寺駅を通過する。2面2線の駅で、ホーム長8連。急行停車駅である。地下鉄東立渋谷線と東聖刻環状線の乗り換え口だ。
基本は無宗教な聖刻であるが、宗教の信者も零では無い為、寺院は点在している。この立石寺は聖刻で最も古い宗教施設である。
駅を通過すると、また緩やかに南にカーブする。
途中、一度ビルのど真ん中を通り抜ける。ビルを貫通するように列車が通っているのだ。
そうこう言っている内に大友駅を通過していた。
大友駅は2面4線の島式ホームで、ホーム長は10連。快速急行以下が停車する。
地下鉄川崎環状線と国鉄苗木線及び大友支線の乗り換え口である。
一階部分に国鉄、地下に地下鉄の駅があるのだが、一階に3社それぞれの改札がある為、構内は入り組んだ複雑な構造となっている。
列車は左に緩やかなカーブを描きつつ、速度を時速110kmまで上げる。
菊川駅を通過する頃には制限速度140kmの直線区間に突入する。
菊川駅は2面4線の島式ホームで、ホーム長は10連。急行以下が停車する。
地下鉄川崎環状線と国鉄苗木線の乗り換え口であり、国鉄線とオーバクロスしている。
ここは聖刻車輌の工場がある。列車の製造メーカーだ。聖刻の鉄道は南海所有の東聖刻車輌か、国所有の王国鉄道製造局か、釜成急行電鉄所有の釜成車輌、聖刻急行グループ所有の西聖刻車輌が扱っている。
聖刻車輌は南海鉄道と伊留急行鉄道、聖刻州営地下鉄やカールスクルーナ市営副線などが使用している。
それはさておき。
列車は工業地帯の中を高速で通過する。
その中で最も海に近付く区間がある。それが浜町駅である。
高架駅であるが、一部が海の上を通過しており、埠頭の角に駅がある形だ。埠頭整備前はもう少し内陸側に走っていたのだが、埋め立てと線路の直線工事のため、駅の部分が橋になっている。
3面5線の島式ホームで、ホーム長は10連。急行以下が停車する。地下鉄熱川-浜町が並走する他、地下鉄立石-広庭線の始発点でもある。
『間も無く、舞島。舞島です。地下鉄線、聖刻急行線は御乗り換えです。御出口は左側です』
様々なビルや煙突が過ぎ去る中、次の停車駅が近付き、速度が落ちてゆく。
アナウンスは端的に流れるだけだ。
列車は大島駅を通過する。
二面二線の各駅停車駅で、ホーム有効長は10連だ。だが、列車故障で10両編成の車輌が臨時登板する際に使用する以外は8連のホームまでしか使わない。
地下鉄熱川-浜町線の駅がある以外は団地が広がるくらいしか特記事項がない。
時速90kmに減速する頃には、また高層ビルが両脇に並び始める。
列車は舞島駅に滑り込む。
8時46分、定刻着。
『舞島。舞島です。お忘れ物のないように、御降り下さい』
舞島駅は二面四線の高架駅。全ての種別の列車が停車する。ホーム有効長は10連だ。
地下鉄立石-広庭線と地下鉄桜庭線の始発点であり、聖刻急行鉄道の東聖刻線も舞島が始発になっている。利用者も南海では4番目に多い。
列車は間髪入れずに出発する。
ここから先は制限速度140km/hの高速区間であり、テンポよく駅を通過する。
『本日も南海をご利用頂きまして有難うございます。この列車は聖刻崎ゆきの特急です。本郷着9時4分、終点聖刻崎は9時13分です』
アナウンスの最中、舞島海浜公園駅を通過する。
二面二線の各駅停車駅で、ホーム有効長は10連だ。駅名の通り、海浜公園の最寄駅である。
夏の暑い日には海水浴客で賑わう。
ちなみに、聖刻は北緯55度、東経12度に位置する。
列車はすぐに140km/hに達し、青海駅を通過する。
二面二線の各駅停車駅でホーム有効長は10連。地下鉄青山線の始発点である。
海を左手に、列車は高速で駆け抜ける。
右手にはビル群が立ち並び、都会の中の都会といった様相を呈している。
次に満生駅を通過する。二面二線の高架駅で、ホーム長10連の準急停車駅である。
都会といえど、この駅は宅地しかなく、急行以上は停車しない。
続いて曽我駅を通過する。二面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の急行停車駅である。
地下鉄東立線の始発点である。
ここ周辺の高架下には、小さな店がひしめき合っている。その様は混沌と言って差し支えなく、是非一度足をのばして欲しいものだ。
次に聖刻浦岬町を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の準急停車駅である。
島式ホームに待避線という形で3番・4番乗り場に準急・各駅停車が入り込む形だ。
また、この駅から複々線区間となる。元々は小森江まで複々線の計画であったが、資金難や、着工時期には既に開発が進んでいたこともあり、複線電化がやっとであったのだ。
次に船岡駅を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の各駅停車駅である。
急行用の1・4番線にホームは無い。
次に溝口駅を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の各駅停車駅である。
ホームの構造は船岡駅とほぼ同じである。
列車は海岸沿いに爆走する。
次に磯部駅を通過する。三面四線の快速急行停車駅である。地下鉄箱崎線の乗り換え口である。
次に海の原駅を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の各駅停車駅である。
次に、小枝駅を通過する。三面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の準急停車駅である。
急行用線路にホームがあるが、全く使われていない。当初は急行停車駅の予定であったが、開業時から準急停車駅となっている。恐らく、地下鉄渋谷線との連絡駅であり、急行を停車させて利便性を高める計画だったのだろう。そうならなかった理由は定かでは無い。
次に、千鳥橋駅を通過する。三面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の準急停車駅であるが、ラッシュ時の急行が臨時停車する。もちろん、平日のみだ。
この一帯は中小企業が集まり、利用客が多い。
次に塚原駅を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の準急停車駅である。
通過してしばらくすると、列車の速度が落ち始める。
次に前之浦駅を通過する。一面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の準急停車駅である。
『今日も、南海をご利用下さいまして、ありがとうございます。まもなく、本郷、本郷に着きます。お出口は右側です………失礼しました。お出口は左側。お出口は左側です。お忘れ物のないよう、ご注意下さい。乗り換えのご案内を致します。聖刻崎ゆき各駅停車は階段を降りて二番乗り場から、9時6分の発車です。南海路面電車は階段を降りて連絡通話をご利用下さい』
アナウンスが流れる頃には、列車は時速80kmまで減速していた。そして、さらに減速しつつ、本郷駅に入線する。
本郷駅は三面四線の高架駅で、ホーム有効長10連の特急停車駅だ。
同じ南海で、各駅停車より更に短い区間で止まる路面電車が並走している他、聖刻急行鉄道奈華線・八木線のターミナル駅でもある。この聖刻急行の2路線は高松駅で再度合流している面白い路線である。いずれ紹介しよう。
閑話休題。
本郷駅は9時3分の定刻着。9時4分定刻発だった。
次の区間からは、南海路面鉄道と並走する。その為、路面電車についても記載する。
列車は右へとカーブを描き、真西に進路をとる。ここから海浜安宅駅までは、曲線も勾配も無い。
列車は夏海海岸駅を通過する。二面四線の各駅停車駅で、ホーム有効長は8連の高架駅だ。この駅前にも砂浜が広がっている。
この間、路面電車は夏海町、新夏海駅を通り過ぎている。
続いて、田守駅を通過する。二面四線の準急停車駅で、ホーム有効長は10連の高架駅だ。地下鉄澁谷線の乗換駅である。
この間、路面電車は東夏海駅、守口駅を通り過ぎている。
州道198号線をくぐると、水蓮駅を通過する。一面二線の各駅停車駅で、ホーム有効長は8連だ。
この間、路面電車は東田守駅、蓮花駅を通過している。
海浜公園駅を通過する。正式には"元"海浜公園であろうか。この海浜公園が舞島海浜公園に移された為、ここには何も残っていない。
二面四線の各駅停車駅で、ホーム有効長は8連の高架駅だ。
この間、路面電車は元公園前駅を通過している。
列車は水走駅を通過する。一面二線の各駅停車駅で、ホーム有効長は10連の高架駅だ。
この間、路面電車は口上駅、西水走駅を通り過ぎている。
阿木川駅を通過する。二面四線の急行停車駅で、ホーム有効長は10連の高架駅だ。地下鉄ときわ筋線の乗換駅である。
この間、路面電車は東水走駅、阿部駅を通り過ぎている。
田澄駅を通過する。一面二線の各駅停車駅で、ホーム有効長は10連の高架駅だ。
この間、路面電車は東阿木川駅、澄元駅を通り過ぎている。
海浜安宅を通過する頃には、速度を落として行く。海浜安宅駅は二面四線の快速急行停車駅であり、ホーム有効長は10連の高架駅だ。
第2聖刻川を跨いで駅がある珍しい形の駅であるが、その為にやや不便さは否めない。東側出口にに出るはずが西側に出てしまったら大変である。一度、入場券を購入するか、迂回の道を行かなければならない。
この間、路面電車は東澄元駅、安宅船小屋駅を通り過ぎている。
速度が遅くなり、川を越えると下り坂となる。
『本日も南海をご利用頂きまして、ありがとうございます。間も無く、聖刻崎に着きます。お出口、左側。2番乗り場に到着します。お忘れ物の無いよう、ご注意下さい。国鉄線・新宮急行線・地下鉄線・路面電車はお乗り換えです』
車内チャイムの後にアナウンスが流れ、S字カーブを過ぎる。これは聖刻崎駅転移で形成されたものだ。
列車は時速40kmで、複雑な分岐を進んでいく。
聖刻崎に到着する。終点聖刻崎駅に到着する。
聖刻崎は6線の頭端式駅で、1,2番線の間、3・4番の間、5番線と路面電車の間にホームがある。1〜4番線はホーム有効長10連。5番線はホーム有効長6連と使われることが稀である。
そして、路面電車の駅は切り掛け式の6・7・8番線がある。都会で切り掛け式のホームはここだけだ。
路面電車は海浜安宅駅との間に、細貝駅を挟んでいる。細貝駅の区間は、南海本線と唯一並走していない区間だ。
聖刻崎駅はさまざまな鉄道の乗り換えが可能である。国鉄新宮線・聖刻崎線の他、新宮急行線(聖刻急行グループ)や地下鉄伊留新宿線・欅台線、山手路面・南聖刻電鉄といった路面電車も乗り換えが可能である。
9時13分。定刻着。
73分間。あっという間に到着してしまいました。
次回は何を紹介するか決めていませんが、何かしら紹介しようと思います。
ありがとうございました。
以後、連載未定