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S.A.V.E  作者: 夢咲 命
000 すべての始まり。
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000 すべての始まり。

初投稿です。感想、改善点お待ちしています。


000 すべての始まり。


S.A.V.E/plant.seeds


the language of flowers

a bunch of flowers

flowers are wilted




 僕達もあの花の様に最後まで美しく咲いていられるのだろうか?




 いつも通りの幸せな日常が明日も待っている。あの頃の俺達は、平凡な日常が当たり前だと思っていた。

「......はい、これ」

「綺麗な輪っかだね」

「輪っかじゃないよ......冠だよ」

「カンムリ?」

「こうするんだよ」

 少年は花で造られた冠をあどけない少女の頭の上にのせた。

「うわぁー。可愛い。いいな、いいな。諒我、私にも作って!」

「諒我。私にも」

「諒我、それどうやって作ったの?」

「僕だって、作れるんだからな!諒我だけじゃないからな!」

「諒我は、意外と、女子力が、あるよな」

「諒我!僕にも作り方教えてよ」

「......ありがとう、諒我」

 少女は頭に乗った冠を手で押さえながら微笑んだ。

「諒我ー!帰るぞ」

「待ってよ。僕も一緒に帰る」

 黒髪の少年に名前を呼ばれた諒我は花畑の中から立ち上がると少女に振り返った。

「それ......明日も、付けて......来いよ、な」

「......うん!約束」

 差し出された少女の小指に諒我は自分の小指をそっと絡めた。

「明日もこの場所に、この九人で集まろうね。約束だよ」




 アンセイブ......。




 いつものように鏡花村にある家に帰った諒我は、家の地下にある倉庫から持ち出した本を抱え、信頼している双子の兄の部屋に入る。

「見て、お兄ちゃん!この世界にはセイブって言うヒーローが存在しているんだって」

「セイブ?」

 本には鬼の様な姿をした怪物を倒す人間の姿が描かれていた。諒我は目を輝かせる。

「この化け物がアンセイブ。でね、アンセイブをやっつけるのが正義の味方、セイブなんだ。カッコいいよなぁ。いつか、俺もセイブみたいに強くなって、アンセイブを倒すんだ」

「諒我ならきっと倒せっ―――」




 122年3月7日に起きた、鏡花村での原因不明の謎の超巨大爆発事件。

 その出来事が、すべての終わりにして、始まりだった。彼らにとっては終わりだったが、奴にとっては始まりだった。一つの出来事だが、人によって感じ方は違う。そんな感じ方の違いを、ある人間は、こうでありたいという理想が違うからだと言った。

 理想郷......目の前で起こった出来事が理想的であったならば、その人にとって幸福な出来事になる。しかし、描いた理想と異なる出来事であったならば、その人にとってその出来事は苦痛、もしくは退屈でしかない。描く理想が違えば、同じ出来事であっても違った感情を抱く......そんな事は当たり前なのかもしれない。




 謎の超巨大爆発事件から10年が経ち、今は132年3月7日。あの出来事の被害者でない者達は十年前の出来事など心の端っこに葬り去り、忘れてしまっているだろう。他人の事に本気で考え、一緒になって悩み、悲しみを分け合い、涙を流す人間など、一握りしかいないのだから。自分には関係のないことだから。だが、不運なことに事件に関わってしまった人間はどうだろう。忘れたくても忘れられない苦痛と、悲しみ、そして怒りを、憎しみを、生涯背負って生きていかなければならない。大切なものを全て失ってしまった時、人間はどうなってしまうのだろうか。

 失った辛さを糧に、二度と同じ過ちが繰り返されないように、立ち上がる......責務。

 答えのない道を彷徨い、どうすれば屈辱を味合わせてやれるか、立ち上がる......復讐。

 理想によって造り出された世界。そう、この世界には描く理想が違う人間達で溢れかえっている。




 偽りの世界に、何を求める......。




 青年は夢を見ていた。暗くて、辛くて、苦しくて終わりの見えない長い夢......。

 ......あの日。奴が俺を暗闇に放り込んだ。

 青年は暗闇の中で必死に手を伸ばした。失ったモノを取り戻したくて......。




「十年前に起きた事件の犯人を探しています。知っている人は、連絡をください」




「屈辱を味合わせてやる」




セイブ


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