表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/1360

第1話 3

3

 あたしの左隣は熊男、右隣の席はメルちゃんだ。メルちゃんはともかく、熊男の腕が当たってとても窮屈だ。ちょっとあんた、でかいんだからもっとそっちへ寄りなさいよ!

 メルちゃんの膝の上にはウサギ型の子がちょこんと座っていた。目がくりっとしていて、もこもこしててかわいいすぎるよー。ううう、もふもふしたいよー。

 熊男の足下には茶色いぎざぎざのは虫類型の「MoNStEr」が座っている。触ると痛そう。頼まれても触んないけど。


 全員が椅子に着席した後すぐに社長の挨拶が始まった。

 「当社への入社をお祝いいたします。これから一緒に仕事をする皆さんを歓迎いたします。どうぞよろしくお願いします。

 さて、当社の方針として、各分野で一芸に秀でた人を積極的に採用させてもらっています。みなさんの周りにはテレビでも見たことがある人がいると思いますよ」

 え?そうなの?と、周りをきょろきょろする人がかなりいた。そういえば斜め前の席の男子は柔道で国際大会に出ていなかったっけ?ほかにも将棋アマチュアチャンピョン、アイドル歌手、高校野球で甲子園出ていた子など、あたしが知っているだけでも数人いた。もちろんレイノルズ姉弟も有名人だ。


「当社は化学会社です。化学の知識も当然大事ですが、当社の方針として、それよりもなにかを成し遂げる可能性を秘めた人材への投資を重点的に行っています」

 なるほど。あたしは採用の筆記試験でも全然駄目だったけど(化学の問題なんてわかるわけない!)、マラソン大会で何度か優勝したことがあるから、入社できたのかな?

「会場入り口で皆さんに一体ずつお配りした「MoNStEr」はこのたび開発した新製品で一般的にいわれている第二世代となります。彼らには、かつてない様々な機能がついており、今後当社の主力商品として期待されています。

 皆さんにはそれぞれの第二世代「MoNStEr」のモニターになっていただき、彼らの能力を引き出して、育てていって欲しいのです」


 最近TVで、第二世代の「MoNStEr」が何社かの会社から発売されたと聞いた。ここの会社も第二世代を発売するんだ。第一世代との違いなんてよくわかんないけど。

 社長の後、専務、人事本部長と話が長すぎて段々眠くなって来たため、後半はほとんど聞いてやしなかった。


 長い入社式の次は研修センターへバス移動だ。

パートナーの「MoNStEr」はバス移動中に迷子にならないように研修担当の人に預けて、研修センターについてから再び渡されるらしい。

 バスでも隣の席にはメルちゃんが座った。通路を挟んで反対側にはレイノルズ姉弟が座っている。時々乱ちゃんが層君の頭をたたく音が聞こえた。いったいなにやってんの?

 二時間のバスの中で、あたしとメルちゃんはだいぶ打ち解けて、好きな食べ物の話とか、どこのお店がおいしいとか、ほとんど食べ物の話ばかりしていた。

 さっきの熊男は一人で二人がけの席に座っていた。でかくて狭いから会社が気をつかったのかな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ