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第3話 11

今回はメル視点でお送りします。

11

 【メルレポート 第三報(書きかけ)】

 

 わたくし、なんてじゃんけん運が悪いのでしょう?

 人生でこれほどついていない日など、今までありませんわ!

 レイカ様の真っ赤なスポーツカーにマキちゃんと一緒に、狭い空間で同じ空気を共有できる筈だったのに、考えただけで、すーっ、はあはあ・・・・。

 こほん。いいえ、雪ちゃんを救出に行く途中でレイカ様とマキ様と事前打ち合わせを車内で行う貴重な時間であったのです。決して本能寺様のぼろぼろのバンが乗り心地悪そうで嫌やだったなんてことも、これっぽっちも思っていませんでしたわ。


 ただ今、雪ちゃんを救出に向かう、本能寺様の四輪車中で本報告書を作成しております。

わたくしの報告書は手書きやパソコンで打ち込むのではなく、実際に声は出しませんが、わたくしの口の動きと喉の動きをネックレス型ユビキタスカメラと振動センサーが自動で読み取って、文章に起こしてくれます。当然衣電機製ですのよ。時々わたくしのマキ様への溢れる想いが溢れてしまって、乱れた文章になってしまうことをお詫び申し上げます。


 車内には運転席の本能寺様、助手席の層様、第二列にはわたくしと乱様が座っており、乱様のパートナーの勘九郎様は荷台に乗っておられます。

 レイカ様のお車は先ほどかなり速いスピードで先方を走り去ってしまわれました。

 一方、本能寺様号は法定速度を厳守して・・・、つまりのろのろと山道を走っておられます。あまりにもゆっくりなので、急カーブでも全くGが感じられない程です。

 本能寺様にもっとスピードを出していただくようご依頼申し上げましたが、完全自動運転のため、これ以上は無理とのことでした。


 正直を申しますと、いらいらの限界に来ておりましたので、わたくしの部下の万歳梨奈乃に指示して、代りの車両を用意させました。

 直ぐに梨奈乃が黒い防弾仕様の大型軍用バン(ほぼ路線バスのサイズですけれど)を運転して到着しましたので、わたくし達は軍用バンに乗り換えました。本能寺様号は路肩に乗り捨てです。

 「なんで最初からこの車を出さなかったんだ?」本能寺様の疑問もごもっともです。あわよくばレイカ様の赤いスポーツカーでマキちゃんともっともっと親密になりたかったから、この車の存在を隠していたとは、口が裂けても言えません。


 梨奈乃が運転する軍用バンは、前方にゆっくり走っている車がいれば対向車も無視して追い越して、カーブではガードレールを吹き飛ばして、できるだけ直線に近くなるように周りのモノを破壊しながら、レイカ様号に追いつこうと猛スピードで走っていきました。

 「うらうらうら!どけどけどけやー!」梨奈乃はハンドルを握るととても生き生きするのです。

 わたくしは梨奈乃の少々荒っぽい運転には慣れておりますが、他の皆様は初めてのようで、顔が真っ青になっていました。


 しばらくすると、本能寺様にレイカ様からお電話が入りました。

 『あ、もしもし量?なんとかしなさい。』

 いよいよこの車の本領発揮といきましょうですわ!

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