巫女長
詩と一葉が向かった先には、一つのコンクリートのドアが。
この先の地下に更衣室はあるって言っていたみたい。
ガチャ
一葉がドアを開けると・・
神職「おっおはよう。今日からだね!」
神職「がんばれよ~」
神職らは口々に私たちに声をかけながら急いで外へ出て行った。
神職「あの子どっちがタイプ?」
神職「俺はあの背の高い子かな」
などと言っているのが聞こえてくる。だがそのおしゃべりの声も
ドアが勢いよく閉じられるとともに急に聞こえなくなる。
詩「神職さん、優しそうでよかったですね。」
一葉「そうね・・・」
一葉はまたしても少し不安げな声で言った。
彼女は何か隠しているみたいだ・・
地下へと向かう階段を下りる。
コンクリートなので、コツコツと音が響く。
詩は、別に悪いことをしているわけでもないのに、
音をたてないようになるべく、階段を下りた。
一葉がドアをノックした。
「失礼します。」
ドアを開けた向こうには、二人の巫女が立っていた。
先輩巫女
霧宮神楽
龍澤皐月
神楽は待ってましたという感じで、二人に
「おはよう。あなたたちが、今日からの新人さんね。
私は霧宮神楽。この神社の巫女長です。どうぞよろしくね。」
「私は龍澤皐月です。巫女長の同期です。この人、仕事になると厳しい時もあるけどまぁ、根はいいやつだから笑よろしくね」
神楽「では、さっそく、袴の着方を教えるわ。じゃあ、とりあえずスーツ脱いでもらおうかな」
(うわあ・・・・綺麗な人・・・)
神楽は同級生に一人か二人いるか、いないかぐらいのかなりの美人さんであった。
神楽は一瞬、皐月をにらんだが、皐月は余裕の表情で笑っていた。
詩(で、でも、結構怖そうだな・・( ̄∇ ̄;)ハッハッハ まぁ、同期もいるし・・頑張ろう!)
神楽は、自作のプリントを二人に配り、説明しながら教えた。
だが、初めてなので当然、なかなかできなかった。
一葉は、もう仕上がりのところまで行っていた。
(うそ・・・慣れてるじゃん、この子・・!!そういうバイトしたことあるのかな?それとも、
着物が好きとか・・?ああ、どうしよう、先輩に怒られちゃうよ・・)
皐月は、着終わった一葉に何か説明すると、二人で先に更衣室を出て行ってしまった。
(えっ、どこ行くんだろう???私取り残されちゃった。。。)
詩は、不安に襲われた。
神楽「ねぇ、さっきもいったよね。ここがばってんだから、ここを交差して、こうするのよ」
(はぁ、口調が、おこってるうう・・・・・・)
詩は、だんだん焦りが生じてきて、ますます頭が混乱した。
神楽「もう、違うじゃない。一葉さんに、これじゃあ、どんどんおいて行かれちゃうわよ。
今日は私がやるけど、明日からは、あなた、ひとりでやってね」
詩「はい・・・」
初日の朝から、どんより気分だ。