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パンデミック・マン  作者: ですの
エピデミック編
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第九話 エピデミック・デイ

カフェルームに午後の光が差し込む。

三上は気の抜けた顔でコーヒーを飲みながら、隣に座る大町に話しかける。


「今日は2月22日かぁ。キリ番の日って何かしたくなりますよね」


「私は全然それ理解できませんね。ワクワクはしますけど」


「なんで大町さんはワクワクするんですか?」


「私、今日誕生日ですから」



三上が施設に運び込まれてから一週間が経っていた。

今では施設の中にいる職員や兵士達は誰も防護マスクを装着していない。


彼の血液を分析した研究者達が、三上が運び込まれてから僅か数時間でワクチンの開発に成功したのだ。


そしてそれは直ぐに施設内の人間に投与された。

数日後にはサンプルが東京の各主要施設に送られていた。


事態は収束に向かっていた。


「誕生日! マジかよおめでとうございます! おいくつになったんです?」


「女性に易々と年齢を聞くとかホントにそういう所嫌いです。今すぐ私の前から居なくなってしまえばいいですよ、三上さん」


「えっごめんなさい。ホントに悪気はないです……。大町さんいないと俺この施設で誰ともコミュニケーション取れなくなっちゃうんで勘弁してください……」


「冗談ですよ、つい悪戯心で。ていうかいい加減英語勉強すればいいじゃないですか。ちなみに今年で丁度二十歳です」


三上が口をあんぐりと開けて大町を見つめる。


「ハタチ!? えっマジ!? それは大町さん冗談ですよね!? だって、ここの職員の一人ですよね!? 何歳で働き始めたんすか……?」


「今度のは本当に失礼ですよ三上さん……。私、中学生の頃に親の仕事の関係で合衆国に住んでたんです。ていうかうちの両親も同じ組織の職員ですよ。日本にはいないですけど。まぁ、その時に両親が紹介してくれて。そんな感じで今働かせて貰ってるんです」


三上はアホ面のまま大町の顔を見つめ続ける。

言われてみれば確かに何処となくまだ幼さを感じる顔立ちだった。


「へぇ……、俺と5歳も離れてたんですね。そんじゃ敬語やめていいですか?」


「べ、別にいいですけど……。初めてお会いした時も一瞬敬語辞めてたじゃないですか」


「そんじゃ遠慮なく。で、今は大学とか行ってないの? ていうか向こうの大学って派閥とか凄いらしいね。フラタニティとかソロリティとか。クソ面倒くさそう」


「大学生ですよ私。所謂飛び級ってやつで、今年の夏で卒業出来そうです。あとタメ語の三上さん思いの外ウザいですね……、やっぱりやめてもらっていいですか」


「また悪戯心か。大町さんも別に俺に敬語使わなくていいよ」


「マジでウザいです。慣れるの大変そう……」


その時、兵士の一人が三上達の元に現れた。

大町が話を聞く。


「三上さん、どうやらボスが呼んでるみたいです。緊急事態だそうで」


「えーなんだよもう、コーヒーまだ残ってるのに」


三上と大町は兵士に連れられ、カフェルームを去った。


※2017/01/14

表現の一部と誤字脱字の修正をしました。

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