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パンデミック・マン  作者: ですの
エピデミック編
25/65

第二十五話 バックアッパー

空港の様子を遠くから伺う男達が居た。


彼らは高見博士が無事に最初のフェーズをやり遂げた事を確認すると、博士が身に着けた発信機を追跡する。


何人かは救助隊の服装に着替えていた。

そこには救助班や遺体処理班であることを示すマークが描かれている。


「感染者の遺体を回収したら直ぐ連絡しろ。隠れ家の場所を教える。そこで航空券を渡して行先を教える」


リーダーらしき男が部下達に声を掛けた。

隊員達は黙って頷く。


男が話を続ける。


「君達は英雄になる。西側諸国を倒した英雄として語り継がれるだろう。君達がこれからその身を犠牲に世界を変えるのだ。我々は君達に感謝を忘れない。さあ、始めよう」


偽物の隊員達が空港へと向かう。


「アフメド将軍、タカミはミスを犯しています。生存者がいます。もし生存者の口からタカミが何者か伝えられたらドイツは彼を警戒します。作戦に支障をきたします」


「例の男を日本から連れ出しただけでも十分な功績と言えよう。だがサイード、貴様の言う通りだ。生存者にはいずれ必ず手を打とう」


サイードと呼ばれた男は頷くと端末に向き直って高見博士の追跡を続ける。



ベイズアザディ、それが彼らの通称だった。


過激派組織の中でも群を抜いた統率力と潤沢な資金を蓄え、世界各国にスパイを持つ。

そしてその存在は合衆国の諜報機関が長年追いながらも全容が把握される事は無かった。


湾岸戦争終結後、戦争に参加した兵士達によってその母体となる組織は作られた。

今では中東全域に多大な影響力を及ぼす程の力を保持している。

しかし彼らは表世界には決して存在を明かすことは無かった。


そのベイズアザディが動き出したのは、高見博士との接触がきっかけだった。


彼の話を聞いた組織幹部達は驚きを隠せなかった。


かつて組織が秘密裏に進めていた作戦があった。

それは、致死性ウィルスを保有した兵士を世界中に送り込むというものだった。

しかし、それに必要な生体兵器の開発が上手くいかず作戦は放棄された。


その作戦の一部を合衆国諜報機関は捕らえていた。


間もなく大量破壊兵器の噂は合衆国から世界へと拡散された。

そして2003年、この情報に起因して合衆国は中東のある国家と開戦するに至っている。


ベイズアザディはそれ以来生体兵器の開発は諦めていた。


そこに高見博士が現れた。

高見博士から伝えられる三上の"体質"は彼らが求めた理想的な兵器像に完全に嵌っていた。


そして高見博士の協力の元、今日遂に一度は頓挫した作戦の準備が整うこととなった。


合衆国を初めとする先進諸国に対するウィルス攻撃が間もなく始まろうとしていた。



※2017/01/15

表現の一部と誤字脱字の修正をしました。

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