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パンデミック・マン  作者: ですの
エピデミック編
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第十六話 トリガー

SWARPA内から感染者が発見され、三上達が脱出を試みる前。


時刻は深夜一時を回っていた。


関東某所にある発電所。

ここは、各発電所の中枢として機能する施設であり、関東地方へのエネルギー供給の要となっている。

施設の三方を山に囲まれ、残る一方はそのまま浜辺へと繋がっていた。


海のさざ波が夜の海岸から絶え間なく聞こえる。


発電所の警備にあたっている男が欠伸をしながら海を眺めていた。


「国中が大パニックだってのに、警備の仕事なんてやってられるかよ……」


その警備の男は気づかなかったが、山側から数十人程の人影が忍び寄っていた。

彼らは一様にマスクを装着し、しっかりと小銃を抱え慎重に発電所に近づいていく。


「専用チャンネル開いておけ。間もなくショータイムだ。合図で一気に歩哨を片付けて中に入るぞ。歩哨は西側二階に二人、東にも二人、海岸側三階に一人……」


集団のリーダーらしき男が無線連絡を入れる。

武装集団は山の側面から合図を静かに待っていた。


間もなく、空に照明弾が打ち上げられた。

海を眺め、欠伸を連発していた警備の男は思わず振り返り、空に目を向けた。


「なんだぁ……?」


直後に銃声が激しく鳴り響き、波の音がかき消された。


男は思わず身を屈めた。

銃弾が高速で男の頭上を掠めていく。

風を斬る銃弾の音がマスク越しに聞こえてきた。


明らかに自分を狙った銃撃である事に気付いた男は

無線で仲間の警備員へ連絡を試みた。


「おい!! 一体何だってんだ!? 助けてくれ!!」


無線から返事はなかった。


男は無線機を乱暴に投げ捨てると、連絡通路を這いつくばりながら射線から何とか逃げ出す。

発電所を挟んで、攻撃してきた者たちの反対側にうまく回り込むことが出来た。


裏口から施設内に入り、身を隠そうとする。

しかし、あちこちから強引に扉を破る音が聞こえてきた。


足音がゆっくりとこちらに近づいてくるのを男は聞いた。


「テロだ……。テロリストだ……」


「それは違う」


男は声の方を振り返ろうとするが、二発の銃弾を撃ち込まれ絶命した。



武装集団は施設内の警備員や職員を次々と制圧していく。

そして発電所の管理室に入り込んだ。


「火力水力を初めとする自然エネルギー供給は停止させろ。原子力エネルギーは、ここから操作できる二基の原発をメルトダウンさせろ」


リーダーの指示に従い集団が慌ただしく設置されていたコンピュータを操作し始める。

リーダーの男は一人呟いた。


「これで世界は危機から脱した」


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