銀行強盗やりましょう(1)
長〜く間が開いてしまいました。
久しぶりの悪の組織らしい活動。
今回はその導入です。
それは、とある平日の昼の事だった。
「ハル君、ちょっといいですか?」
はい、と振り返ると、そこには真剣な顔をした千景が立っていた。
「少し聞きたいことがあります」
「なんでしょう」
珍しいことだ、とハルは思う。
それだけに、少しだけ緊張してハルは千景の言葉を待った。
「ハル君は、今まで色々なアルバイトを経験していましたね」
コクリとハルは頷く。
「では、銀行強盗をやったことはありますか?」
…………何を言っているのだろうか。
それとも自分の耳がおかしくなってしまったのだろうか。
「す、すいません千景さん。もう一度言って貰えますか」
「ええ。……ハル君は、銀行強盗をやったことはありますか?」
どうやら聞き間違いじゃないらしい。
だが、それはそれで問題がある。
「……いや、流石に経験はないですが」
「そうですか……」
ハルの答えに、明らかに落胆した表情を見せる千景。
そんなにがっかりされると、何故か悪いことをした気になってしまう。
「あの千景さん。どうしてそんなことを聞くんですか?」
「ハル君なら、銀行強盗くらい朝飯前かな、と思いまして」
夕食が過ぎても無理です。
「いやいやいや。普通の人はそんな波乱万丈な人生送りませんって」
「え……そうなのですか?」
何故か驚いたような表情の千景。
「あの……そのリアクションですと、ひょっと千景さんには経験が……」
「ええ。嗜む程度ですが」
嗜むな、そんなもの!
というか、あるんですか。経験が。
「そんなに驚かないで下さいよ」
「これが驚かずにいられますか、いや無理です」
ちょっと反語チックな物言いが、ハルの混乱具合を表していた。
「とにかく、ハル君に経験がないのは少し意外でした」
「俺は千景さんに経験がある方が意外ですよ」
少しだけ落ち着きを取り戻すハル。
冷静さを取り戻した頭がハルへと語りかける。
明らかに可笑しいだろう、と。
「……千景さん。もしかしたら、と思って聞くのですが」
「どうぞ。多分その予想であたってますけれど」
不吉な予言で絶望感に身を包まれながら、ハルは言う。
「そんな事を聞くってことは、ハピネスの次の作戦はひょっとして……」
「はい、そのとおりです。ハピネスの次の作戦は、銀行強盗です」
こうして、短い平穏は幕を閉じたのだった。
これからハルを待ち受ける運命とは。
なるべく早く更新しますので、またお読みいただけたら幸いです。




