可愛い保険医探します(2)
前回の続きです。
ハピー達の真意とは……。
次回が長くなる分、今回は短めです。
作戦開始までをお楽しみ下さい。
「ふむ、話は大体分かった」
紫音は仰々しく頷くと、
「要はドクターに代わる保険医が欲しい、と言う事だろう?」
ハピー達は紫音の言葉に頷く。
「はい、ドクターが加入されてから、負傷者の数が飛躍的に増えました」
「それも、敵との戦闘が原因ではなく……」
「全てドクターの治療が原因なのです」
ハピー達の涙の訴え。
「それはつまり、ドクターの治療技術が未熟だと?」
「いいえ千景様。ドクターは腕は確かなんです。確かなのですが……」
千景の言葉にハピー二号は言葉を濁す。
そして少し躊躇った後、
「まともな治療をしてくれないのです」
衝撃の告白をした。
「ちょっと擦り傷を作っただけで、お腹を開かれたり」
をいをい。
「強くなりたいと言ったら、怪人にされたり」
非人道的じゃ無かったのかよ。
「インフルエンザにかかって薬を貰ったら、窓から……」
それは違う。
いろんな意味でマズイ。
「とにかく、治療を受けた方がより状態が悪化しているんです」
「だから、新しい保険医の人が欲しいんです」
ハピー達の訴え。
そこまでは分かる。
是非ともかなえなければならない要求だ。
だが。
最後のは解せない。
「可愛くて、癒し系ってのはなんだ?」
ハルの問いかけに、
「何を言ってるんですか、ハルさん!」
「体だけでなく、心も癒してくれる。そんな可愛いキャラが必要なんです」
「ムキムキ、ゴツゴツした野郎に手当てされても、嬉しくないでしょ?」
一斉にハピー達から反論が来た。
と言うかお前ら…………。
「まあ、新しい保険医は前から必要だと感じてましたので」
良い機会だ、と千景が言えば、
「確かに、治療とかは専門家の方が安心よね」
奈美も同意をする。
ローズも賛成を表明し、ハルも同じ意見だ。
だが、一人だけ反対する者がいた。
「吾輩は反対である」
ドクターこと、蒼井である。
「そんな何処の馬の骨ともしれぬ輩が来てしまったら、吾輩の実験材料が減ってしまうではないか。吾輩の研究が遅れたらどうする」
それが原因だ。
「吾輩は反対だからな。どうしても新しい保険医を捜すというなら、吾輩を倒して――」
「ふんっ!」
バッコーーン!!
奈美の強烈な掌低を腹に受け、ドクターは壁へと吹き飛んだ。
生きていればいいが……。
「さて、これで邪魔者は消えたわ」
「うむ、それでは、ハピネスの総司令として命じる。
可愛くて、癒し系な保険医を見事捜し出して見せよ」
「はっ!」
紫音の命令に、幹部一同(馬鹿を除く)は一斉に返事をする。
「あ、あと性別は女性限定でお願いします」
「年は若くて、あと出来れば天然系の方が……」
「ドジっ子属性もあった方がいいですね」
もうお前らは病院に行け。
ともあれ、ボスの命令とあらば仕方がない。
こうして、ハルたちの保険医捜索大作戦が始まった。
さあ、次回はいよいよ作戦開始です。
それぞれが、それぞれの方法で人捜しを行います。
果たして可愛い保険医を捜し当てるのは誰なのか?
またお読みいただけたら幸いです。