正義のヒーロー倒します(2)
悪の組織の救援要請をうけ、ついにヒーローと対面したハルと奈美。
二人は見事正義のヒーローを倒すことが出来るのでしょうか?
現場となる河原に二人は到着した。
「こりゃ派手にやられてるな」
「ああ、ハピネスの方ですね。お待ちしてました」
ボロボロになった黒タイツのおっさんが近づいてくる。
やっぱり何処の組織も黒タイツなのか……。
「それで、敵は何処に?」
「あそこです。あそこで動けない私の仲間に……」
「トドメを刺そうとしてるのか!」
「いえ、追いはぎを……」
をいをい。
駄目だろう。正義の味方がそれじゃあ。
「ほう、新手か」
ハル達のやり取りに気づいたのかヒーローがこちらを向いた。
カラフルな色の全身タイツのようなスーツの五人組だ。
恐らく名前は何とかレンジャーだろう。
「私は絶食レッド」
真っ赤なスーツを着た男がポーズをとる。
何かふらふらしてるけど大丈夫か?
「俺は拒食症ブルー」
真っ青なスーツの男。明らかに具合が悪そうだ。
というか、あばら骨がスーツに浮き出ているが……。
「自分は断食グリーン」
緑のスーツに身を包んだ男。
少しふらついてはいるが、前の二人よりは体調が良さそうだ。
「私は、ダイエットピンク」
目にいたい全身ピンクのスーツを着た女。
可哀想なことに、胸にまでダイエット効果が出ているようだ……。
「そして僕が満腹イエローだ」
「お前は少しは遠慮しろよ!!!」
ハルの全力の突っ込み。
黄色スーツをまとった男は、ブクブクと太った肥満体。
「五人あわせて……タベレンジャー!!」
一人食ってるけどな。
「あの、本当にこんなのに負けたんですか?」
「そう言われると自信が……」
しっかりしてくれよおっさん。
「あまり我々を甘く見ないで欲しい」
レッドが凛々しく声を上げる。
「我々には勝たなくてはならない理由がある。その為には、手段を選ばない」
「勝つための理由……」
「そうだ。私たちには金が必要なのだ。
私の点滴代、ブルーの治療代、グリーンの流動食代、ピンクのダイエット食品代、そして、イエローの食費とインスリン注射代だ」
「イエローを捨てろぉぉぉ!!」
ハルは思わず叫ぶ。
「まあ、私も最近本気で脱退させるか悩んでるのだが……」
悩むなよ。
「とにかく、私たちの仕事を邪魔するなら容赦はしない。みんな行くぞ!」
レッドの号令によって、レンジャー達が奈美に向かって突進する。
「…………」
「奈美、どうした?」
「この人達、体調悪そうだよね」
まあ、良くはないだろう。
「そうだな、治療が必要そうな奴もいるし」
「じゃあ、やっぱりこれだね」
奈美はぐっと拳を握ると、
「全員、病院送り!」
上手い事を言う。
スパパパパパーン
あっさりと拳だけでヒーロー達を一蹴した。
あっさりとやられてしまったヒーロー。
しかし、このままでは終わらない。手段を選ばないヒーローがとった最後の切り札が、ハルと奈美を窮地に(と言うかハルだけ)追い込みます。
次回、正義のヒーロー倒しますの完結編です。