表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/103

正義のヒーロー倒します(1)

悪の組織と言ったら、天敵はヒーローでしょう。

と言うわけで、ヒーローとの初対決です。

前編にあたること話は、ヒーローの説明が長く読みにくいかもしれませんが、ご容赦下さい。

今回の話、ギャグ分はかなり少な目です。

「むむむ、これは由々しき事態だ」

 とある朝、紫音は新聞を読みながら唸る。

「何かあったんですか?」

 お茶をすすりながら奈美が尋ねる。

 朝食後の穏やかな一時だ。

 はて、そんな問題になる記事があっただろうか。

 素潜り世界記録達成の、写真付き記事には感動したが……。

「うむ。また正義のヒーローによって悪の組織が一つ壊滅したらしい」

「あら、嫌ですわ。最近物騒ですね」

 いえ、むしろ平和なんじゃ。

「前から疑問だったんですが。結局正義のヒーローって何なんですか?」

「ああそう言えば、まだ説明してませんでしたね」

 ハルの質問に、千景はコホンと咳払いを一つ。

「ヒーローは大きく分けて二種類に分けられます。公務員なのか、民間なのか、です」

「何が違うんですか?」

「公務員のヒーローは、通常の公務員と同じ月給制です。国の命令で活動をするので、当然活動には国の支援が受けられます」

 警察への指揮権とか、活動中の軽犯罪の免罪とかね、と千景は言う。

「一方、民間のヒーローはあくまで一般人です。善意の協力者という扱いですので、給料は出ませんし、民間人立ち入り禁止の現場には入ることすら出来ません」

 なるほど。

 公務員が優遇されるのは、裏社会でも同じなのか。

「でもそれじゃあ、民間のヒーローなんていなくなるんじゃ」

「いえ。民間のヒーローがいなくなってしまえば、公務員も困ります。何せ悪の組織の数は多すぎて、国の組織だけでは対応し切れませんからね」

 公務員を優遇しすぎて民間がふて腐れては困る訳だ。

「なので、国は悪の組織を壊滅させた民間ヒーローに報奨金を払っています。悪の組織のランクに合わせて金額は大小ありますけどね」

 やる気を出させるためのエサか。

 馬の前に吊したにんじんと同じだとハルは思う。

「なるほど。公務員は固定給、民間は歩合制って事ですか」

「簡単に言ってしまえば。なので、公務員ヒーローよりも、民間のヒーローの方が活動が活発です。ハングリー精神に溢れてますし」

 そいつは手強そうだ。

「そうだな。今日のニュースも、民間のヒーローによるものだ」

 紫音が新聞記事をハルに見せる。

 そこには確かに、民間のヒーローが悪の組織の首領を捕らえている写真が写っていた。

「悪の組織ランクはCか。……そう言えばハピネスってランクはいくつなんですか?」

「……Gだ」

 紫音は不機嫌そうに唇を尖らせて答える。

「流石に出来たての組織ですからね。ただ、」

 千景は言葉を句切り、

「うちは公認証があるので、他の組織に比べてランクアップが早いと思いますよ」

「あ、ちょうど良い機会だから聞きますけど、その公認証ってどんな効果があるんですか?」

 ハルの質問に千景は少し苦笑いをする。

「私たちのメリットは、自己満足や他の組織に自慢できる位ですね。むしろこの制度は、正義のヒーロー側の為に作られた物と言えますね」

「何故です」

「公認証がある組織を壊滅させると、報奨金が倍増します」

 ラッキーカードみたいだな、とハルは思う。

「もっとも、私たちのようなGクラスの組織はいくら公認証があっても、ヒーローと戦う事は、まず無いでしょうから、それほど心配いらないと思いますよ」

 そう言って、にこりと千景は微笑んだ。


「前言を撤回します」

 千景がいきなり宣言した。

「あの〜千景さん、何があったんでしょうか……」

 恐る恐る尋ねるハル。

「奈美とハル君には、ヒーローと戦って貰います」

「撤回しすぎでしょう!」

 ハルの突っ込みに、横から紫音が助け船を出す。

「事情が変わったのだ。事は急を要する」

「非常事態というわけですね」

 奈美の答えに、紫音は頷く。

「先ほど、うちと協力関係にある悪の組織から救援要請が入りました。作戦行動中にヒーローと遭遇してしまって大ピンチだと」

 そいつは大変だ。

 ヒーローと言うのがどれほど強いのか分からないが。

「そこで二人には救援に向かって貰います」

「正義のヒーローを倒すのは、悪の組織のメイン活動だ。しっかりやってこいよ」

 そんな二人に見送られ、ハルと奈美は出撃していった。


出撃した二人を待つヒーローとは。

ちょっとシリアスな展開を目指して、話は後編へと続きます。

ギャグ分が少な目なのは意識してなので、次の話からまたギャグだらけになります。ギャグ好きの方には申し訳ないですが、また読んでいただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ