僕と君と彼と
男性同士の恋愛が少しだけ含まれます。そのような状況が苦手な方はご注意下さい。
変な夢を見た。
これで通算10回目だ。
若い男は頭を抱えた。
どうしてくれよう。
何とかしてほしい。
僕にはこれしかないのに。
さんざん悩んでいる。
以前会った女性が、
非常に可愛らしかった。
男は彼女のとりこになった。
しかし彼女には別の彼氏がいる。
しかも僕はあらゆる面で負けている気がする。
こんな勝負はもうごめんだ。
男は投げ出した。
しかし最近、
また彼女の夢を見るようになってしまった。
彼女とデートし、結婚を申し込む夢なのだ。
確かに彼女に未練はある。
しかしこれはどうしたことだろう。
ああ、正夢だったら、いいのに……
ルルル……
TELの音がする。
誰かな、こんな時間に。
まだ朝は早い。
番号を見てみると、
なんと彼女であった。
あわてて通話ボタンを押す!
「もしもし」
彼女の声がする。
「今日もし時間があったら、
どこかで会わない?」
喜んで!
僕は現地へ向かった。
どのように来たかは覚えていない。
まさかの大逆転だ!
本当に正夢だったら、僕はなんてついているんだろう。
彼女が現れた!
カフェへ誘い、席に座った。
どきどきしながら用件を待つ。
彼女が切り出した。
「あのね、実は、今度……結婚したいんだ」
僕は耳を疑った。
「それでね……あなたに頼みたいことがあるの」
はいそうですか……と僕は指示を待つ。
頭の中が真っ白である。
「実はね……偽装結婚してほしいの」
「え、どういうこと?」
ほぼ反射的に口が答えた。
「実は……彼がね、あなたが好きだと言ってきかないの。
だから、3人でうまくやっていかない?
もちろん、結婚費用とかは気にしないで!」
「どうかしら……」
彼女が身を乗り出す。
「つまり、僕と君が結婚をして、
彼と僕がカップルになれと。
でも君は……?
彼と結婚すれば、いいんじゃないの?」
「それも考えたんだけど……」
嫌な予感がする。
「あなたがいてくれないと、
私たちも幸せじゃないのよね……
この気持ちは生涯変わらない」
僕は逃げられない。
あの夢はどこまでも追いかけてくる。
3ヶ月後、僕は彼女と結婚することにした。
幸せ?そうなのかもしれないな。