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【完結】【野暮令嬢】と侮った皆様、覚悟はよろしいかしら?  作者: お伝
第一章

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回想:ウェーバー公爵家の没落-3

そんな没落生活を送る中、避けては通れない問題が表面化した。

この国では貴族籍がある以上、貴族学園を卒業していなければ一人前とは認められない。ましてや公爵家当主となる身であればなおさらだ。


しかし、現在ウェーバー公爵家がその高額な学費を賄う事は難しい。平民には特待生になれば学費が免除される制度があるが、貴族には適用されない。そのため、メローナ会長が学費の援助を申し出てくれたが、私は調べた計画を伝えて丁重に辞退した。


計画したのは二つの方法だ。

学園には、卒業試験を受けて合格点を取れば卒業資格を得られるスキップ制度がある。入学後すぐに卒業試験を受けて合格するのが最短となり、前払いの前期分だけの学費で卒業資格を得られるのだ。


もう一つは、専門分野で論文をいくつか提出し、博士号を認められれば自動的に貴族学園の卒業資格を得られるというものだ。こちらは費用が掛からないが約半年程の時間がかかる。入学前にいくつか提出しておいて認められれば、こちらも前期分の学費だけでいい。


前期分の学費なら、今から予算を少しずつ切り詰めれば何とか用意できる。

十六歳の学園入学まであと一年、私はどちらも勝ち取ると心に決め、みんなに協力をお願いして早速猛勉強と共に古代文学の論文にも着手した。


卒業試験については、かつて在籍期間を首席で通した父から講義を受け、古代文学の論文に関しては、祖父の残してくれた研究資料を参考にして、祖母の考察を加えた二段構えだ。


メローナ会長からは、激励として近隣国から取り寄せた貴重な古代文学書を数冊贈られた。今までとはひと味違った珍しく新鮮な物語に、祖母と二人で危うく読み耽ってしまいそうだった。しかし今は我慢だ、目標達成したら思い切り没頭しよう。


「私、必ず両方を成し遂げて見せるわ! いつも本当にありがとう。お義祖父様!」


思わずそう言うと、メローナ会長は驚いた顔をした後に、涙を浮かべて約束してくれた。


「今から探せば卒業試験合格と博士号取得の時期に間に合いますでしょう。私からのお祝いとして他にも数冊取り寄せる準備を致しますね」


その言葉に祖母と二人で大喜びし、会長の手を取って感謝を伝えたのだった。




そして迎えた貴族学園の入学式。

社交界で悪い意味で噂の的になっているウェーバー公爵家の令嬢がどんな人物か、ただでさえ注目を集める中、【とても、ダサい】バージョンの私は、当然、もちろん悪い意味で学園中の話題をかっさらった。


遠巻きに聞こえる嘲りと嘲笑の声の中、私が学園に通ったのは一週間だった。

入学式の日に申請し、数日後に行われたた卒業試験を満点で合格した。

さらに数か月前から順次提出していた論文も認められ、見事、博士号を手にしたのだった。


その知らせを受けた日、家族みんなで抱き合って喜んだ。みんなの協力で勝ち取った合格と博士号だ。


「知は力」


誰にも奪われる事のないこの財産を与えてくれた家族のために、私はこの武器を振るうと心に決めた。




その一方、加害者である元王子アレックスはといえば、かねてから愛人関係にあった裕福なダレル伯爵家の未亡人の元に婿入りし、年上の妻に可愛がられて何不自由なく人生を謳歌しているようだ。


アレックスは、年に一度ウェーバー公爵家が唯一参加を義務づけられている新年の王宮行事で、祖母の目を避けてこそこそと逃げ回る。その情けない姿を目にする度に、祖母のアンティークの扇子たちが犠牲となった。


「古いものには魂が宿るんだよ」


亡き祖父の優しい笑顔と穏やかに語る言葉を思い出し、気の毒な扇子を祖母の手から抜き取ると、そっと掌に包み魂の声で語りかけた。


『どうかお祖母様を許してね。あなたの祟る標的はあそこで暢気に笑っている元クソ王子のアレックスよ。思う存分やっておしまいなさい。特に額から頭頂部は念入りにね』


あの元クソ王子の額の後退は、実母の側妃の父親である伯爵と同じだからただの遺伝だ。

でも、扇子たちの無念の思いが届いて、一本でも多く抜け落ちますように。






祖母が亡くなったのはそれから三年後。

私たちは、必ずやってくるその日のために力を蓄えて来た。



お祖母様の無念は、私とお父様で必ず晴らします。

だから、お祖父様と二人で、ゆっくり空から見ていてね。




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