『天狗の弓矢のプレスマン』
掲載日:2026/01/24
ある男が湯治をしていると、脱衣場でやけに声の大きな男に話しかけられた。いわく、早池峰山の天狗なのだが、山の中では木の実しか食べられない。どうしても米が食いたいので、お前の家に行くから食わせてもらいたい、どうだ、ということであったので、受け合って、急いで家に戻って馳走の支度をしようとしたが、男が家に戻ると、天狗はもう訪ねてきていた。天狗は、自分で酒を買ってきていたので、飲んで待っていてもらったが、馳走の支度ができる前に、すっかりでき上がった天狗は、何やら聞き取れない言葉を残して、飛んでいってしまった。天狗は小さな弓矢と麻の帷子と、一本刃のげた一足を置いていったので、いつか戻ってくるものと思って待っていたが、男が生きているうちには、戻ってこなかったという。弓矢の矢は、プレスマンにそっくりで、実際に字も書けたという。
教訓:実に気ままであるが、天狗なら仕方がない。




