表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/19

11.やりたいこと

 早々に戻って来たルマが採ってきた果物を食べて少し休憩した後、再び町を目指して進み出した。


「ミリシャ様は何かやりたいことはありますか?」

「やりたいこと?」

「はい! これから目標にしていることなど」


 不意にルマにそう問われて、思わず考え込んでしまう。

 ――元々、ミリシャは貴族の家柄で軍属魔導師。

 当時は国内の争いをどうにか収めることに精一杯で、自由というには程遠い人生だった。

 そもそも、生まれた時から貴族として――ある種、役割の決まっていたようなもので。


「何だろう、聞かれてもパッと思い浮かばないかな……」


 そう答えるしかなかった。


「では、これから見つけていきましょう!」


 ルマは明るい声で言った。

 彼女は全面的に協力してくれるのだろう。

 ――もしも、当時の王国で争いの中でルマがいてくれたら、簡単に終わらせることができたのだろうか、なんて。

 こんなことは考えてはいけない。

 ルマは、純粋にミリシャのやりたいことを聞いてくれているのだから。


「ありがとう。一先ず、色々見て回りたいな。何せ五百年も経っているわけだし」


 五百年――決して短い期間ではない。

 魔法にかかわらず、技術が発展していてもおかしくないのだ。


「そう言えば、ここの森を出て少し外れたところに村がありますけど、そちらには寄って行きますか?」

「村もあるんだ。でも、ここって『ウェルダ霊峰』だよね……?」

「そう呼ばれていますね」

「魔物も強力なはずなのに、人が住めるんだ……」


 ミリシャにとって一番の驚きだった。

 ルマと一緒にいるからか、ずっと魔物の姿は見ていない。

 けれど、ルマ自身がフェンリル――魔物の頂点に位置する存在が暮らしている場所なのだ。


「霊峰も全ての魔物が強いわけではありませんから。基本的に、魔物は人里を嫌いますよ」

「え、そうなの?」

「はい。もちろん、食料を求めて村や町を襲う物もいますし、一概に全ての魔物が――とは言いませんが、わたしのように身体の大きい魔物なんかは身を隠せないですし。何より、豊富な食糧が霊峰の中にあるわけですから」


 ――つまり、わざわざ外に出なくても、霊峰の中の生活の方が充実している、ということなのだろう。

 村も霊峰に隣接しているわけではないらしく、そこで生活する分には問題ないのだとか。


「ルマはその村に行ったことあるの?」

「はい! 何度か足を運んだことがありますよ。知り合いがいるわけではありませんが」

「じゃあ、せっかくだし見て行こうかな」


 町にこだわっているわけではない――でも、一先ずは人のいるところに行ってみたいという気持ちが強かった。


「では、そちらに向かいましょう!」


 改めて目的地を決めて、森の中を進む――日が暮れる前には、森を抜けて人のいる場所に出られそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ