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10年前の乙女ゲーライバルから、溺愛されてしまうのだがっ⁉  作者: レイチェル
第一章「私はルシファールートをプレイしたいのにッ!」
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ルシファー様は仇敵(友)が欲しいっ!

「そろそろいいお時間です。休憩されてはいかがですか?」


 アリサは、タオルをアレックスへ差し出す。


「ちっ」


 アレックスは受け取り、力強くタオルで汗を拭いていた。

 夕陽が差す中、彼の顔が照らされる。その表情は荒々しく、まるで刃物のように冷たく鋭い。彼の目の奥には、対抗心や執念のようなモノが宿っていた。


 対して、ルシファーは涼しい表情だ。汗一つ書いていない。氷のように冷たく、まるで何事もなかったかのような表情を崩さない。


 両者の凍るような冷たさが、ぶつかり合っていた。


「全然ダメだね、アレックス。一度も僕に届いていないじゃないか」

「うっせ、まだ始まったばかりだろうがっ!」


 上段から垂直に、木剣を振り下ろした。


 アレックスが突然、ルシファーに斬りかかった。

 

「いや、もう届くことはないよ」


 振り上げるよりも速いっ!


 アレックスの木剣を巻き込むようにして、ルシファーは僅かに腰を下げてから斬り上げた。


「くっ」


 アレックスが呻くのも無理はない。


 手元からすっぽぬけ、木剣が宙に舞ったのだから。


 アレックスが、先に仕掛けたにも関わらずだ。ルシファーの一閃は、それほどに鋭く速い。見てからでも対処できるほどに。

 

 先ほどの幕間だけで、嫌というほど実力差がはっきりしてしまった。


「学園が春休みに入る前だったが……キミが私に突っかかるようになったのは。嬉しかったのだよ、アレックス。挑まれることがほとんどないからね」


 そこで、落胆したようにルシファーはか細く息を吐く。


「なのに、これは何だい? 一度も剣が届くことはなかった。せっかく、競い合える仇敵(とも)ができたと思ったのに」


 特別、ルシファーにアレックスを見下しているつもりはない。

 しかし、完璧と言っていいほどの剣技と凛とした立ち振る舞いが、周囲にいる者たちを圧倒している。そんな彼が冷たく見えてしまうことも多々あるのだろう。ほとんどのモノは距離を置き、まるで月のように届かない存在に思わされるのだから。


 だからこそ、アレックスも地面にひれ伏したまま何も言えなかった。


 それほどに、ルシファーという男が遠い存在なのだと、思い知らされたから。


「しばらくここにいるといい。けど、もう相手にすることはないかな」


 ルシファーがアレックスを背に踵を返そうとしたところで――。


「お待ちください、ルシファー様」

 

 アリサは、ルシファーに声を掛けていた。

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