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10年前の乙女ゲーライバルから、溺愛されてしまうのだがっ⁉  作者: レイチェル
第一章「私はルシファールートをプレイしたいのにッ!」
5/14

これって、詰みゲーなのでは⁉

 アレックス・チェンバレン。

 先ほどいらっしゃった、チェンバレン公爵令嬢の義理の兄。

 チェンバレン公爵令嬢の婚約が決まって家を継ぐ人間がいなくなるからと、分家から養子を取ることにした。


 末端の分家当主と娼婦の間に生まれて7つで父方に引き取られる。しかし母親が娼婦ということで、家族から蔑まれ他の兄弟から様々な嫌がらせを受け育つ。屋敷の使用人たちは表立って庇うことはできず、孤立しがちだった。


 あるとき、嫌がらせを受けている最中に反抗し喧嘩になり、兄弟たちが怪我を負わせてしまう。兄弟たちにも責あると、不問になったが、ますます居場所がなくなった。


(チェンバレン家の嫌われ者か……)


 しかし――。


「学園の春休みに入っても、剣の腕はなまっちゃねぇだろうなぁっ!」

「毎日研鑽を積んでいるよ。追い付かれたくないからね」


 そうして、ルシファーとアレックスは木剣で仕合いをしていた。

 木剣のぶつかり合う音が、甲高く広場に鳴り響く。


「というか、君の腕の方が訛ってないか? 全く私に当たらないんだが」

「はんっ! 言ってろっ!」


 ルシファーは明るい笑顔で冗談を言い、一方アレックスは噛みつく勢いで返した。その姿は微笑ましく、周囲の使用人も足を止めて見ていた。


「やっぱり仲がいいわよね、あの二人」


 そう隣で呟いたのは、先ほど昼にいらっしゃった、チェンバレン公爵令嬢だ。


「私と婚姻関係結んでるはずなのに……ルシファー様ったら全然構ってくれないのっ! 」

「確かに、あのお二人、仲が良さそうですね」

「ルシファー様って何かも一人でこなす完璧で、しかも色恋沙汰には昔から興味がないのよね。女の入る隙間すらないったら」

「でもいいではないですか。ルシファー様が色恋沙汰に興味がない方が。婚姻関係を結んでいる方からすれば、安心できるのでしょうか」

「それって私のこと? えぇ、そうね。いずれ私たちは結婚するし、チェンバレン家は安泰だわ」


 公爵令嬢は高々に微笑む。

 確かに何もしなくても、ルシファー様と近い将来結ばれるだろう。


 でもそれでは、使用人アリサはバットエンド直行だ。


 このまま使用人として仕える→そのまま公爵令嬢と結婚する→アリサはお役御免→バットエンド


 このまま、使用人アリサとして過ごしていたらダメだ。

 何か対策して、動かないと。

 

 例えば、この公爵令嬢とルシファーの関係を引き裂くとか。その場合、使用人アリサが裏で公爵令嬢の罪をでっちあげる→ルシファーが断罪する→国外追放や死刑。


 これでは、まるでアリサが悪役令嬢ならぬ悪役使用人だ。アリサ本人の悪事がバレたら上手いこと行かないし、何よりも良心が痛む。それにルシファーと付き合える保証はない。 


(もう少しプレイできてればなぁ)


 私は死んだのは、ゲームをしてからおよそ20分後。つまり序盤の序盤で、ルート分岐に入る前の段階だ。だからルシファールートに入るまでの道筋が分かっていない。


 だからこそ、ルシファールートに入りたいのなら、自らが進んで入らなければいけない。


 しかし序盤は慎重に、だ。


 ここで間違ってしまったら、別ルートになってしまう。それだけは勘弁。生前の私は狙ったルートに入らないと、選択肢をすぐにやり直していた。詰まったら一からやり直すくらいのゲームプレイヤー。セーブができないのだから、慎重に事を進めなければいけない。


 アリサは頭をフル回転させる。

 

(そうだ、こうすればいいんだ)


 まずはアレックスと仲良くなる→ルシファーに、いずれ勝てるようにアリサが応援する→アレックスがルシファーに勝つ→ルシファーが負けて落ち込んでいるところをアリサが慰める→アリサとルシファーが結ばれるっ!


 隙が無ければ、隙をこちらから作ればいい。

 ルシファーの心の隙間を作り、アリサがそこに入り込みさえすればいいのだ。

 

(よし、これでいい。これで、私はルシファーと寄り添えるっ!)


 意を決して、アリサはルシファーとアレックスの下へと駆けって行った。

面白いと思って頂けた方は、ブックマークと評価をして頂けると幸いです!

何卒よろしくお願いします。

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