ライバルキャラ登場っ!
アリサはだだっ広い廊下を歩き、応接間の扉の前に立った。ノックをしようするとその前に、扉の奥から低い声で「入れ」と促された。
「えっと、開けていいのでしょうか?」
「ちょっといけ好かない奴なんだ。まぁ、アイツの前では無礼講でいいんじゃないか」
ルシファーがクスっと笑って扉へと、アリサを促した。
そんな仕草でさえも絵になる、というか美しい。
なんなら、ずっと横にいて見ていたくらいで……。
「テメェら、おっせぇぞっ! 入れって言ってんだろうがっ!」
扉の奥から、怒鳴り声が響いた。
その声に、アリサはビクッと震えた。
「こんなのヤツにとっては、挨拶みたいなもんだよ。さぁ、待たせるのも悪いから中に入ろうか」
そうして、ルシファーがドアに手をかける。
無礼講——。主人が使用人よりも先に、ドアノブを手をかけることなんて、珍しいと思う。なんとなく、アリサはルシファーの顔をまじまじと見つめてしまった。
そして、ルシファーもどことなく楽しそうだ。いつもは凛々しいルシファーの表情は今だけは無邪気で、子供らしい。
「おい、とっとと入りやがれっ! いつまで、客を待たせやがるっ!」
「はいはい、せっかちだなぁ。分かったから、入るよ」
そう、ルシファーが扉を開けた瞬間——。
「全く、紅茶も冷めちまったぞっ! どうしてくれるっ!」
「アリサに新しくいれてもらえばいいじゃないか。君は、アリサの紅茶は好きだろ?」
テーブルを乱暴に、叩いた。
短髪の青髪が逆立っており、眉毛が濃く、小さな瞳が怒って見えた。
全体的に荒々しい雰囲気はあるものの、小鼻の形がちょうど可愛くらしい。子供らしさもあった。ビジュアル的には、私好みなのだが――。
「とっと座れっ!」
「はいはい、分かったから。アレックス」
「はい、は一回だろがっ!」
アレックス・チェンバレン。
荒々しくガサツで乱暴——。
このアレックスこそが、この乙女ゲーのライバルキャラだったのだ。
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