表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年前の乙女ゲーライバルから、溺愛されてしまうのだがっ⁉  作者: レイチェル
第一章「私はルシファールートをプレイしたいのにッ!」
10/14

特訓と言えば、心と気を鍛えるものっ!

「あばばばばばば……」


 上から降り注ぐ滝の勢いが思った以上に強いのか、アレックスは息継ぎする暇もなかった。アリサに向けて何か必死に訴えかけようとしているが、水の音で声が掻き消さて声が届かない。


「やっぱ修行って言ったら、滝行よね」

「おばばばばば……おおおおお、オ、メェ」

「滝の音が耳に心地いい。環境との一体感というか、自然との調和を感じるわ」

「おめめめめぇ……オメェ、ど、どどどど、どうしてッ!」

「修業とか、特訓とか、滝行が定番じゃない(漫画の世界では)」

「おおおおおお、オメェ、あぼでおぼえてやがれっ!」


(アレックス、うるさない。滝でも清められない粗雑さって何だろう?)


 アリサはこの滝行に至った顛末を思い返す。



 夜明け。

 朝露が庭の芝生からキラキラと零れ落ちる中、アレックスは木剣で素振りをしていた。気迫あふれる声を発し、朝の静けさを破っている。木剣が空を斬る音が、うるさく屋敷に響いていた。


「この時代の人って、朝が早いとは聞いていたけど……全く朝から支度するメイドの気持ちにもなってほしい」

「オメェが朝から稽古って言いだしたんだろうがっ! こちとら夜中から素振りしてんぞっ!」


 汗が額から滴り落ち素振りをしている中でも、呼吸を整えて、アリサに食って掛かるアレックス。朝から元気で羨ましいと、アリサはため息をついた。


「だからこっちも準備していったでしょ。特訓の段取りとか準備とか、色々と大変だったんだから」

「……というのか、いいのかよ。オメェ、ルシファーのメイドだろ」

「昨日、ルシファー様に3日間のお暇をいただきました。この特訓のことを話しましたら、快く了承してくださいましたよ」

「相変わらず、ムカつくやつだぜ。アイツ、何か言ってたか?」

「私に一本いれられるくらいには、強くなってきてくれ、と」


 そう言った瞬間、空気が凍った。

 まるでその場が、アレックスの怒気で圧縮されたように錯覚する。喉から声を出せないほどで、押しつぶされるような感覚だ。


「上等だぜ。その余裕綽々な態度、粉々に砕いてやるっ! アリサ、特訓ってのは今すぐできんのかっ!」

「だからその準備を今までしてたと、そう言ったでしょ。すぐにでもできるわ」

「よっしゃ、気合が高まってきたっ!」


 と、アレックスは木剣をブンブン振り回すも、アリサはその肩に手をそっと置いた。


「剣は必要ない」

「ん? どういうことだ?」

「特訓というのは、気と心と体を鍛えるのっ! これから山へ籠るわよっ!」

「オメェ、気でも触れたか?」


 アレックスはポカンと軽く殴れ、いざ山へ。


面白いと思って頂けた方は、ブックマークと評価をして頂けると幸いです!

何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ