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先輩

「ありがとうございましたー」


バイトもそろそろ慣れてきた。


ある程度は聞かなくても一人でできる。働きがいはないわけではない。ただ、


「調味料はここで、お皿はここからとってね」


新人びいきがひどい。


僕と佐藤さんは同じ日にバイトに入り、シフトの数もあまり変わらないはず。

なのに彼女はもうキッチンに入っているのだ。

僕はまだホールだと言うのに。


僕と彼女に違いがあるとすれば周りからの人気度だろう。

佐藤さんは物静かで無愛想だが、容姿はとても良い。

バイト中は客から、バイト後は他の男の定員から誘われる。

彼女はとても人気なのだ。



「はぁ〜」


僕はため息をつく。


「どうした?」

「なにかあったのか?」


僕のことを気にかけてくれるのは後藤拓馬ごとうたくまという先輩。

明石先輩に適当にあしらわれている僕をみて新人教育をかわってくれた優しい先輩だ。


「いや、同じ日にバイトをはじめたはずの佐藤さんがもうキッチンに入っていてすごいなぁって思ったんです」

「僕なんかよりもできる人だし」


僕は後藤さんに話しをする。


「まぁ、彼女はすごいけど周りからの贔屓が大きいよね」


後藤さんもわかっていたらしい。


「彼女、学校でもあんななのか?」


「あんなって言うと?」


「結構無愛想じゃん、学校でもここと一緒なのかなって」


やっぱり後藤さんも彼女のことが気になっているみたいだ。


「あまり佐藤さんが話しているところは見たことがないですね」

「いつも一人みたいですし」


「へぇー」

「いつも一人なのに人気があるのって大変そうだね」


後藤さんは他人事みたいな返事をした。

この人は他の人とは違い佐藤さんにあまり興味がないように思えた。


呼び出しのチャイムがなる。


「僕いきます」


僕は呼ばれたテーブルまでいった。

あれ、そういえば僕と佐藤さんが学校同じって後藤さんに言ったっけ?

僕はバイト中だったため、あまり考えないようにした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いらっしゃいませ」


「あれ〜」

「ここで佐藤さんがいるって聞いたから来てみればいるのは貧乏陰キャくんじゃん」


お店の扉を開けて入ってきたのは斎藤遊真たちだった。


「な、何名様でしょうか?」


僕は仕事をする。


「は?みてわかんねーの?」


「どうみても4人だろ」

「さっさと席に案内しろ!」


そういわれ僕は斎藤遊真たちを席に案内した。


斎藤遊真たちはキョロキョロして佐藤さんを探す。

佐藤さんはキッチンだから姿はみえない。


そのあと何事もなく食事が行き、あとは斎藤遊真たちが帰ってくれるのを待つだけだったが、


「峰田くん」


先輩に呼ばれる。


「8番テーブルの人が呼んでる」


8番テーブルは僕が斎藤遊真たちを案内したところだ。

僕は嫌な予感がした。


「おい峰田」

「ここの食事代タダにしてくんね?」


斎藤遊真は僕に会計をさせてお金を払わずにお店を出ようとしている。


「それはできません」


僕は断る。


「なんで?」


「お金は閉店後に集計されるから売上と一致しないことはすぐにばれるから...」


「じゃあお前が払えよ」

「金くらい持っているだろう」


ここで僕はおかねをだそうか迷った。ここで断れば学校でなにをされるかわからない。だったら今お金を出したほうがいいと僕は思う。そのとき、


「峰田くんそろそろ休憩でしょ、変わるよ」


後藤さんが来てくれた。


「ここはいいから、休憩いっておいでよ」


「え...でも」


「いいから」


僕は後藤さんに言われて斎藤遊真のテーブルをに任せて下がった。


「後藤さん...あのさっきは...」


僕は後藤さんに謝ろうとしたが、


「さっきは災難だったな」

「あいつらには店にも峰田くんにの近づかないように釘を指しておいたから大丈夫だと思うぞ」


このときの後藤さんはとてもカッコよくみえた。

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