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誘い

僕は今、橋の上にいる。


雨が降り、川は荒れ、水が勢いよく流れる。


「もういいか」


僕はこれから橋から飛び降りる。


自殺と言うものをするつもりだ。


家に帰れば親に怒鳴られ、学校にいけばいじめられる。


学校に行くのが嫌だ、家に帰るのが嫌だ、生きているのが嫌だ。


僕に残されたのはもう1つしかない。


『死』


自分に残された唯一の逃げ道。


「来世は普通の暮らしがしたいな」


僕は飛ぶ。


その時、


「何してるの?」


知らない人に聞かれる。


「今からこの川に飛び込む」


「そんな事したら死ぬんじゃない?」


「知ってる」


僕はそのために来たのだから。


「そうなんだ」


彼女がこの橋を渡ってから逝こう。

そう思ったが、彼女はなかなか渡らず僕の後ろで止まっている。


「早く行きなよ」

「目の前で人が飛び降りるの見たくないでしょ」


僕は彼女のために言う。


「ねぇ、本当に死ぬの?」


「うん」


僕は今日死ぬと決めたのだから。


「そうなんだ」

「じゃあ私と一緒に死なない?」


雨が強くなる。言葉が聞き取れなくなるくらいに...........。






次の日、

今日から新学期。


本当は昨日死ぬつもりだった。しかし、見知らぬ人から飛び降りる寸前に話しかけられた。

話しかけられただけならまだ良かった。そのあと「一緒に死なない?」と聞かれた。


ほかの人を巻き込むわけにはいかない。

だから僕は飛び降りるのをやめた。


バンッ!勢いよくカバンで殴られる。


「よう、峰田」

「新学期もよろしくなー」


「うん、よろしく」


僕を殴ったのは斎藤遊真さいとうゆうま。僕をいじめているグループのリーダーだ。

僕はまたいじめられる生活が始まると思うと嫌になる。


「おはようございます」


先生が来る。


「いきなりですが今日からうちのクラスに新しい生徒が来ます」

「はいってー」


そう言われて入ってきたのは、昨日僕に話しかけてきた人だ。


佐藤凪沙さとうなぎさです。よろしくお願いします」


周りがざわつく。『美人』とか『スタイルいい』とか『かわいい』とか好評な声が多い。


僕は関わらないようにしようと思った。僕が彼女と何らかの関わりがあった途端いじめられる理由がまた増えるから。


「それじゃ席は峰田くんの後ろね」


「はい」


彼女が動く。皆が目で追うなか僕はひとり下を向く。


「あっ、昨日の人」

「峰田っていうのね、よろしく」


彼女はわざわざ僕の席で止まってそういった。


するとクラスがざわついた。



お昼、


「峰田ちょっと来い」


僕は斎藤遊真のグループに呼ばれ校舎裏に来た。


「お前あの転校生とどういう関係だよ?」


「昨日会っただけだよ」


僕は昨日死のうとしたことを隠す。


「そうか」


そして斎藤遊真は僕のお腹を殴った。


「くれぐれも調子に乗らないようにな」


僕がお腹をかかえてうずくまっているのを見向きもしないで彼らは立ち去る。



放課後、


僕は昨日飛び降りようとした川の川沿いにきた。


「今日死ぬの?」


僕にそう話しかけて来たのは佐藤凪沙だ。


「別に」


「そう」


僕も彼女も愛想のない返事をする。


「死ぬときは教えてね」

「私も一緒に死ぬから」


彼女はそう言うが、


「なんで?」


僕はなぜなのかを聞く。


「死ぬのに理由なんかない」


「じゃあなんでそんな事いうんだ?」

「せっかくクラスの人から評判がいいのに」


僕はお昼に斎藤遊真たちと校舎裏に行くときに彼女がクラスの皆に囲まれていたのを知っている。


「そう?」

「多分、そんなことないよ」


彼女は否定する。


「君が教室から出たあと色んな人に話しかけられたけど私、『他人とつるむつもりはない』って言ったからどっちかと言うと嫌われてると思うよ」


「そうなんだ」


この人はアホだ。そう思った。

せっかく人気になるチャンスだったのに。


「それじゃ僕は帰るよ」


僕は長話をしていてクラスの誰かに見られるのを避けたいため帰ることにした。


「わかった」

「明日もここに来るの?」


彼女が僕に聞く。


「多分」

「そう」


そう言って僕たちはそれぞれの家に帰った。


この話は1日2話ずつ上げるので、だいたい一週間くらい終わります。

良ければ、最後まで見ていってください。

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