7音 目的 ★
サブタイトルに★がつく話は性描写が含まれることを意味しています。
今回は正直セリフだけで描写自体はないのですが、念のため。
□■□
「…から、……でですか?アイツは…だって!」
玲達との試合が終わり、もう空もオレンジ色に染まりだした放課後。空き教室から何やら怒鳴り声のような音が聞こえる。
「何でなんすか?あのクソ生意気な後輩は一回ちゃんと日向さんの凄さを分からせるべきです!今日みたいな事を許したら、どんどんつけ上がらせるだけですよ!?日向さんがどうしても暴力がイヤだって言うんなら、アタシがやっても良いですし!」
「うん、だからね~マイちゃん。別に怒るような事じゃないんだってば~。……確かに後輩としては微妙にやっちゃいけない行為を彼女がしたかもしれないよ?でもね…そんな事はどうでもいいんだよ。それに対してマイちゃんが怒る必要もないし、ヤキを入れる必要もない」
日向と短髪を金に染め上げたマイと名乗る少女が言い争いをしている。傍から見ればマイが文句を言い放ち、日向がそれを受け流しているようにしか見えないが先程の件について口論をしていた。
「だから、何がどうでもいいんですか!?嘗められたんですよ?先輩も解っているでしょ?この学校では何よりも縦の上下関係ははっきりさせないといけないことを!アタシ達はアイツらの上司になるかもしれないんです!それなのに学生のうちから嘗められてちゃ…今までの先輩達に申し訳が立たないですっ!」
「まぁね~…この学校の性質上その事は解っているつもりだよ~。特にヒナタ達が行こうとしている警察なんて組織内の上下関係は厳しいって聞くし。けどね~それよりも大事なことがあるんだよな~~~」
机の上で足を交互にプラプラさせながら、可愛らしい笑みを浮かべる日向にマイは若干呆気に取られたような顔をして頭をガシガシと掻く。
「じゃあその大事なことって何なんですか?」
「え~それはもちろん!命令を裏切らない仲間だよ!その一人に~あの子も加えたいから今は好きなようにさせてあげるんだ☆」
「な、仲間―――あんなヤツをですか!?日向さんにはアタシがいるじゃないですか!別にあんなのが居なくたってアタシが日向さんの手となって足となって動きますよ!!!だから―――!!!」
「だから…ナニ?ねぇ~マイちゃん。ヒナタは従順な子は好きだよ?でもね、それは言い換えるなら反抗的な子は嫌いってことなの…わかるかな?ヒナタがマイちゃんとデュアルを組んだのはマイちゃんがヒナタの言う事を聞いてくれるイイ子だから…。ね、わかる?」
机から飛び降りたかと思うと、目の前で熱弁を振るうマイのネクタイをグッと引っ張り片膝をつかせると、その太ももに自分の足をのせて更にネクタイを引っ張る。その際にマイの呻き声が聞こえるが、それに構わず自分よりも目線が下がった彼女の耳許に口を近づける。
「マイちゃんはさ、ヒナタの命令を無視するの?それってデュアルを解消するってこと?」
「ち、違います!アタシはそんなつもりじゃなくて―――」
「―――じゃあ良いよね?まだチームのメンバーにも空きはあるし…。あの子を引き入れることは今後の役に立つと思うんだ~。マイちゃんには、そのためにも働いてもらわないと困るから今日はオシオキも少しにしてあげる。いつものようにヒナタの家で楽しもうか☆」
マイの首許のチョーカーに指を引っかけながら、自分に対して意見をしたことへの罰を呟くとマイは頬を赤らめて静かに頷くしかなかった。