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偽りの静寂者~雑音でしかないこの世の中で~  作者: 空色 蒼
第一章 学園編
12/13

12音 相性

□■□


 「なぁ、お前はどうだった?俺なんか機動科を落とされちまって、警備科の所属になっちまったぜ」


 「僕は無事に装備科に所属できることが決まったよ。まぁ第一希望が通らなかったのは可哀そうだけど、君はまだマシな方みたいだよ。人によっては第四希望の科に落とされたみたいだし……」


 「うえぇ!マジか…そうかそう考えると運が良い方だったんだな。まったく科の決定が先輩達による試験で決まるなんてな」


 (見込みの無い者は科をたらい回しにされた訳ね…)


 一人だけ違う試験内容の玲は、他の生徒達の動向が気になっていたがどうやら試験に不合格だった者達は第一から第二、第三、第四希望へと順々に科の試験を受けていたようだ。だが人によって推薦されていた科の数は違うはず。その全てに落ちた生徒はどうなるんだ?


 「いい加減、席に着いたらどうなんだ?クズ共…」


 すでに授業開始から五分が経過し、遅れて来たのは辻の方だと言うのにまるでこちらが悪いみたいな態度だ。しかし、まぁ彼女を怒らせて良い事なんてあるはずもなく、皆が会話を即座に中断して自席に戻る。


 「ふぅー。さて静まったところで嬉しい報をしてやろう。―――早速このクラスから脱落者が出た」


 「「「!!!!!!」」」


 脱落者―――という事は、やはり先程の試験で全ての科で落とされた生徒が居たということだ。しかし、学校生活が始まって二日目でリタイアする者が出るとはあまりにも早すぎる。他の生徒達も辻の言葉に息を呑むしかない。


 「この学園に弱者はいらない。試験に落ちた者は今すぐこの教室から出ていけ。退学の手続きはこちらで行うから安心していいぞ」


 辻はそう言うと、一人、二人、三人と視線を送る。彼らが脱落者なのだろう。目に涙を浮かべながら肩を震わせ、唇を嚙みしめている。だが、それも長くは続かず誰一人として文句を言うことはなく教室から静かに出ていった。教壇に立つ彼女は何か言葉を掛けることなく、それを見送るとまた口を開く。


 「―――それでは授業を始める。お前等もすでに聞いていると思うが毎日五、六時間目は科選択授業の時間となる。よって午前中に通常の必選科目と実践授業を行う。だが、その前にいくつか説明することがある。まずは能力系統の事だ。これに関しては単なる復習に過ぎない。誰か説明できる者はいるか?」


 「はい!私達が使える能力はそれぞれ火、水、光、風、特殊の五系統です。誰もが一系統に適性を持っており、人によってはこの基本系統ではなく派生系統に適正を持っている者もいます。光であるならば、その派生系統は雷であったり、水ならば氷と種類は多岐に及びます」


 「いいだろう、それで十分だ。では次にチームとデュアルに関する説明をする。内部の奴等はすでに既習済みのはずだが、外部の生徒もいるため再度説明しろとの事だ。まったく俺は無駄が嫌いなんだが…ッチ。―――まずはデュアルだが、これは学園生活で行動を共にする二人組のことだ。授業の中では二人で行うものも多い。そのために予め二人組をつくらせるのがここの慣習だ。人によっては卒業後も組み続ける。適当に決めると後悔するぞ。そして、そんなお前等のために学園側では機会を設けている。それが来週の土、日に開催される『科対抗戦』だ。これの準備が今日から始まる。同じ科同士でどうでも良い交流をして相性のイイ奴を探すことだ」


 大切だと言う割には、その過程の中での交流を無駄だと言ったり面倒な人だ。


 「対抗戦後までもを含めた一ヶ月間で決めろ。相手は同じ科でなくとも構わない。ついでに言うなら年齢、性別、学年も問わない。この学園では毎年多数の退学者が出るため人数の関係でデュアルを組めていない生徒がどの学年にもいる。そいつ等からのアプローチもあるだろう。決めるのはクズ共、お前等だ。俺は一切その事には関与しない。そしてデュアルが組めなくとも退学になることはない。ただ授業で困る程度だ」


 (((いやいや、デュアルでの授業もあるって言ってたじゃん!!!)))


 今の発言に絶対、何人かの生徒が心の中でツッコミを入れたのは当然のことだろう。それに対して辻が気付くことない。


 (だからあの生徒は私に組まないか訊ねたのか…)


 玲は辻の説明に、あの日向の取り巻きの一人が自分に対してデュアルの申し出をしてきた理由に思い至った。どうやら一年の間で相手が見つからなかったようだが…。


 (…馬鹿は論外ね)


 昨日の言動から彼の頭が乏しいことは把握済みの玲にとって、早々に一人、デュアル候補から彼を除外する。


 「そしてチームだが…これも同様だ。十人以内に収まれば誰と組んでも良い。そして、こっちに関しては加入、脱退もその都度行われることがある。まぁ、中には優柔不断な奴もいるだろうからな、誘われたチームに入って雰囲気を掴むのも手だ。以上で説明は終了とする。昼飯までの残りの時間はお互いの事を知るために学園側から自由時間にしろとのお達しだ。他のクラスも今頃同じことを伝えられているだろう。俺から言うことはもうない。後は好きに教室を回って、お友達をつくるんだな」


 (今の内に学年の面子を把握しておくべき…か)


 玲は辻が出ていった教室のドアを眺め、次の行動へと移るのだった。



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