1音 FIGHT!!!
再投稿です。
R18指定にはしないことに決めたので、性的描写に関する回は内容を変えています。
ただ、ガッツリ目には書きたいな~と思っています、というよりそうします。苦手な方はご注意下さい。ご意見を頂いた場合は、それを参考に描写を変えさせていただきます。
他作品とも平行しての執筆のため、投稿ペースは確約出来ません。週一にするつもりではあります。
では、お楽しみください!
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「Huh…………(ハァ…………) 」
少女は、天井に飾ってある煌びやかなシャンデリアを眺めながら、誰にも聞こえない声量で溜息を吐く。現在、彼女がいるのは、ニューヨークで五指に入るほどの一流ホテルのロビーである。自分には不釣り合いな場所だと理解しつつも、この様な場所に連れてきてくれた相手の好意を無碍にするほど彼女も人間が出来ていない訳ではない。
しかし、それでも周囲の視線が気にならないという訳でもない。一流と称されるのだから、当然のように、宿泊客もホテルの評価に値する者達がいるのだ。実際、ロビーにいる人達だけでも素人目で金持ちだと判断できるほどの雰囲気が漂っている。その予想を裏付けるように、彼らが身に着けているのは全てが金の腕時計に指輪、ネックレスなどの装飾品。極めつけにはSPらしき人達を引き連れている者さえいる。
そんな上流階級の客達とは反対に、少女が着ているのは黒のプルオーバーパーカーに年季のはいったジーンズ。そして、首には青色のオーバーヘッド型ヘッドフォンである。
場違いとしか言いようがない。
そんな事は少女にとっても百も承知の認識である。だから、自分を見る目に疑問や軽蔑の眼差しが多いのは仕方が無いと言えた。人によっては少女をチラチラと窺いながらボーイに話しかけている。おそらく、なぜ彼女をホテル内に入れたのか聞いているのだろう。しかし、ボーイも事情が分からないようでただただ困惑した表情を浮かべている。
―――I also wanna ask why I'm here (私だって何でここに居るのか聞きたい)
心の内で自虐的な台詞を吐きながら、自分の事を話題に話し合っている彼らの言葉を耳に入れないよう、首に提げたヘッドフォンをつけなおしお気に入りの曲を再生する。
しかし音を遮断しようと視覚からの情報量に優るものはない。
曲を聴きながらも、彼らを目で追っているとソレはやって来た。
煮え切らない回答をするボーイに、質問攻めをしていた中の一人―――如何にも私こそが御曹司であると主張している金髪碧眼の男性客―――が、このままでは埒が飽かないと踏んだのだろう。大股気味に、尚且つ足早に少女が座っているソファへと向かって来た。
「Hey,girl. Where is your parent? I've gotta tell them(おい、お前の両親はどこだ?言いたい事がある)」
「――――――」
「Are you listening to me? …okay. I know how poorly you were brought up. Then, I need to tell you do not behave like that……in front of me!!!(おい聞いているのか?…なるほど。かなり育ちが悪いようだな。なら、そういう態度を俺の前でするなと!教えなくてはならないようだ!!!)」
「…You're idiot(馬鹿な男)」
自分に対して殴りかかろうとする男に、どこまでも相手を侮るような態度を続ける少女。その様子に益々気に障った男は、手加減しようとしていた自身の甘えを捨ててその拳を目の前の愚かな子供に喰らわせようと―――。
「―――Ray. Why can't you just wait? (レイ、何でただ待っていられないの?)」
「That's what I wanna ask you. …It's your fault anyways. (それは私が聞きたい。そもそもこれは貴女のせい…)
守るように少女の前に立った女性が、軽々と振り上げられた男の拳を左手で受け止める。そして、その拳を握ったまま、首を少し後ろに傾けて少女を揶揄うように笑顔を浮かべる。
「Huh!? Who are you! Get your hand off!!!(なっ!誰だお前は!手を離せ!!!)」
目の前の女性の出現に驚きつつも、拳を解放しようと一人でジタバタし出す男。しかし、女性は手を離すどころか更に力を入れて、自分よりも上背のある男を押しこむようにして膝をつかせる。
「Are you hurt? (怪我は?)」
「………」
自分に危害が加えられていないことを知ったうえで、怪我がないか確認してくる女性の態度に、少女は無視を決め込む。そうする事を相手も解っていたようで、ただクスっと笑みを浮かべる。
二人のそんな微笑ましいやり取りの間も、どうにかして彼女から逃れようと四苦八苦する男性に女性は強烈な蹴りをハイヒールの踵部分を利用して鳩尾に喰らわせる。
「~~~!!!」
声にならない悲鳴をあげたかと思うと、女性は休む暇を与えることなく追撃をその自慢の美しい脚で実行する。逃がさないようにと、男の拳を握りしめたまま肩、脇腹、そして再度の鳩尾と、男は攻撃を喰らう度に短い悲鳴をあげ、挙句の果てには吐瀉物をその口から出してしまっている。
女性もソレを浴びるのは勘弁願うとばかりに男の手を解放し、少女―――レイの方へと後退する。
「Ump…. You…you guys must regret―――what you have done to me!!!(ウエ…。お前、お前等は絶対に後悔する。この俺にした事をな!!!)」
「I told you (教えたから)」
「What?(はっ?)」
「You are IDIOT !!!(貴方が馬鹿だってことをよ!!!)」
レイの唐突な言葉に呆けた顔をする男に、女性は再度近づいたかと思うと、少女に代わって続きの言葉を言い放ちながら、男の脳天に踵落としをお見舞いする。それまで、この喧嘩を止めようとホテルのオーナーを呼ぼうとしていたボーイや巻き込まれるわけにはいかないとホテルの出入り口に殺到していた客達がその攻撃を見て、一言。
「「「「「Wow……」」」」」
感嘆の言葉を洩らした。
メリークリスマス!
12/26の0時に2話目投稿