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異世界マギア天星  作者: ボーリングおじさん
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25話 絶死毒(ファブニル)

そして数日経った後、帝国の兵士達もまだ寝込んではいるものも薬が効いたのか、晶死病の症状が現れることはなかった。


そして、俺たちは今日はギルドに行っても特に依頼もなく、久々の休みの日だった。


「うぁぁぁ、暇だな〜。

マコト、アスラはどこに行ったの」

マーニさんを見ると、テーブルの上でスライムになりそうなぐらいべったりとリラックスしていた。


「アスラさんだったら、朝早く用事があって出かけましたよ」


バタンッ


マーニさんとの話しをしていると、いきなりトビラが開き誰かが入ってきた。

「よろしくー、ここが魔王軍三勇者の家なのかい。

なかなか、立派だね」


入ってきたのはミーナさんであのエクスカリバーから帰ってきた以来、帝国の兵士たちが完全に退院するまでこの都市に滞在するとのことだった。

彼女も何もすることがなくて暇だったのかな。


「おはようございます、ミーナさん」


「おはようマコトくん、ちょっとマーニちゃんを借りてもいいかい」


「どうかしたんですか」


「いやぁ今、ちょっと時間あるのかなと思って」


「うぅん、あるよー」


なんだろう、前もこの状況は見たことがあるよね。

そんなデジャヴと以前言ったマーニさんに対しての発言の申し訳なさを胸にしまい込みながら彼女たちに気づかれないように着いていった。


彼女らは赤レンガのレストランに入っていった。

そして、俺は小さな窓からそれをのぞいた。


のぞいた先のテーブルには美味しそうなポテトと魚フライが並べられていた。

それを二人は刻んだタマネギの入ったタルタルソースをつけてそれを食べていた。


「おいしい、この都市にこんなレストランがあったなんてね」


「気に入ってくれた、やっぱりあの人行きつけのお店だからね」


「それで話があるってなんですか?」


「そのマーニちゃんってさ、好きな人とかいるの」


マーニさんはその言葉を聞くと、顔を赤くして視線を彼女とは別の方に移した。

「好きな人っ!!!

いや、好きというより気になっている人はいるけど……」

好きな人がいるんだ、誰だろう?


ガシッ


するとミーナさんは彼女の手を握って慌てた様子で話し始めた。

「そ、そ、そのねマーニちゃんに相談があるの」


「どうしたの?」


「ボクもね好きな人がいるんだ、その人に今日この思いを告白しようと思っているんだ。

それで見守ってくれないかな。

ボク一人じゃ不安だから」


すると先ほどまでほおを赤くしていたマーニさんは納得したような顔でニッコリして握った手を握り返して話した。

「そうだよね、そしてこの料理のお返しもあるし。

私も全力で応援するわ」


「ありがとうマーニちゃん、お陰で決心できた」


「あっ、私からも話したいことがあるんですけど」


「どうしたの」


「その帝国の王様は、どんな人なの?

やっぱり私、魔王軍であるわけだし聞いてみようかなって、人と魔王軍の対立を止めた王様の話しを」


「う、うんそうだね、自分のことよりも他人のほうを見ている人だよ。

心配性なところとか、一人で抱え込んでしまうところはあるけどね」


「そうなんだ、また会いたいな」


「会ったことあるの」


「うん、もう数年ぐらい前にね、もう覚えていないと思うけど」


「きっと会えると思うよ」


トントンッ


「ウヒィッ!!!」

彼女たちの話しを聞いているといきなり肩を叩かれて思わず変な声が出た。


「どうしたんだ、マコトさん」


後ろを振り向くと、自分の声に驚いた顔をした彼がいた。

「あっ、モードレッドさん。

どうしたんですか」


「今ちょうど昼食だし、一緒に食べないか。

この前のお礼もしたいところだし」


「えっ、はい……」

この前の件もあったため、レストラン自体には入りたかったけど、あまり乗り気にはなれずにモードレッドさんに後ろに隠れるように着いていった。


ガチャン


「いらっしゃいませ」


レストランの店員さんの明るい声とともにマーニさんたちもこちらに気づいた。


「あっ、モードレッドさん。

今伝えたほうが良いですよ、ミーナちゃん」


「うん分かっているとも。

ありがとう、やっと決心できたよマーニちゃん。

それともし王様に会えたら、ボクは怒っていないよと伝えといて」


「どういうこと」


一体、なにを言っているんだろうミーナさんは?


すると彼女は、緊張でなのかは分からないが、ゆっくりとした足取りで彼に近づいて行った。


「ミーナもいたのか、一緒に昼食でも……」


ヒュン


ザッ


タラッ


チュッ


すると一瞬のうちにミーナさんは手に隠し持っていたレストランのナイフを振って、モードレッドさんの指に小さな切り傷を作り、それを掴み彼女は口に含み舐めた。


「はぁはぁ……」


「血を舐めただと、なぜこんなことをしたミーナ」

彼は慌てた様子で倒れそうになった彼女の肩を掴んで問いただした。

そうだ、モードレッドさんの血はあらゆる生物を死に至らしめる絶死毒というものが含まれる血だ。


「だって、だってボク、キミを愛していたから。

せめて死ぬなら、キミの毒で……」

彼女の目は充血して、目からは赤い涙が流れていた。


「一体、どういうことなの」

マーニさんも慌てた様子でこちらに走ってきた。


「二人とも手伝ってくれ、彼女をすぐ病院に連れて行く」


なんでいきなり、彼女はこんなことをしたのだろう。

今はただそれしか疑問が思いつかなかった。


✳︎✳︎✳︎


そして、彼女を三人で運んで再びモードレッドさんの病院に行った。

街の人たちも色んな薬草なども持ってきて、彼の手伝いをしていた。


自分たちも彼に言われて薬草を石ですり潰していた。


すると隣で涙声でマーニさんが話しかけてきた。

「なんでミーナさん、自殺しようとしたの。

あんなに夢について私と話していたのに。

あれは全て嘘だったの」


「マーニさん、今はモードレッドさんを信じるしかないです」


「うんそうだね、ごめんマコト。

あの二人なら乗り越えられるよね、二人とも思いをちゃんと伝えれないままになるなんて、そんなものはあり得ないから」


ガチャ


すると彼女の治療している部屋からモードレッドさんが口元を緩ませながら出てきた。


「モードレッド様、ミーナちゃんは大丈夫なんですか」


「あぁ、すまない迷惑をかけて。

なんとかみんなのお陰とリジル薬草と彼女のマギアで完全に毒が消すことができた。

マコトさんもマーニさんも街の人たちも今日は本当にありがとう」

彼はそう話し終えると一礼した。

街の人たちも安心したかのようにところどころに良かったなどの声が聞こえてきた。


✳︎✳︎✳︎


そして夜も遅くなったこともあって俺たちは病院を後にした。

マーニさんも一安心したのか、鼻歌を歌いながら隣で歩いていた。


「良かったねミーナさんが助かって」


そう言うと、彼女は俺の前に立って両手を握ってきた。


「ありがとうねマコト」


「えっ」

その言葉の意味がわからない俺に彼女はその意味を言いたくないのか頬を赤くして照れながら言った。


「また私が原因で大切な人が死ぬかと思ったけど、アナタはそれを否定してくれた。

だからありがとうって言ったのよ、もう言わせないでよマコト〜」


彼女はニンマリと笑いながら自分のほっぺたをいつものようにつねってきた。

原因ってマーニさんは悪くないと思うんだけど……


ビィー

「痛……い、痛い、また頬を引っ張らないで」


そんなこんなで家につき、扉を開こうとした。


ガチャ


「アスラ、ただいまー!!!」

マーニさんの明るい声に返す人は誰もいなかった。


「アスラさん、まだ帰ってきていないんですかね」


「えぇ、そうねなんか紙はあるみたいだけど」

確かに彼女の言う通り、テーブルの上に朝には無かった置き手紙のようなものがありそれを読むと、用事があって今日は帰ってこれないとのことだった。


「とりあえず、もう遅くなったから寝ましょう。

アスラは私たちと会う前から一人でも旅をしていたとも言っていったし大丈夫でしょう」


「うん、アスラさんなら大丈夫だよね」

そうは言ったが、いざベットに潜るとアスラさんは強いのは分かるけど、やっぱり大切な仲間だから少し不安になってなかなか眠れなかった。



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