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『沙織ちゃんは大きくなったらなにになりたいの?』
『えへへー。ひみつー』
たくさんのクレヨンを使って真っ白な画用紙に色を重ねていく。
『えー。せっかくだし先生教えてほしいな』
若い保育士は困惑気味だ。普段はお喋りなこの少女はいつも頑なに自分の将来の夢を話してくれない。
保育士が隣の園児の絵を確認するため移動したのを感じ、少女はそっと心の中で呟いた。
先生、ごめんね。だってね、誰にも言っちゃいけないの。なりたいのが他の人にバレるとなれないんだって。絵本に書いてあったもん。
最後に黒のクレヨンを持って絵を塗っていく。沙織の黒のクレヨンは他のものに比べると圧倒的に短い。なんたって彼女が一番好きな色だ。
意気揚々と色を塗りながら沙織は声に出せない分、心の中で大きく叫んだ。
私、世界一の大魔女になるの!!