素早さ特化──そして出会い
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「・・・ということでイルム。これ買取ってくれ」
「え? ヤダ」
「・・・」
初心者殺しを倒した私たちは、その際ドロップしたアイテムを売りに素材屋に来ていた。来ていた・・・のだが。
「おい冗談を言ってとは一言も言ってないぞ? もう一度言う。買取ってくれ」
「断る」
先程から何故かクロムが売ろうとするアイテムを、素材屋の店主イルムは頑なに拒否するのだ。
「ねえクロム?あんた何かやらかしたんじゃないの?」
「なんもやってないよ。・・・本当に何もやってないからそんな目でみないでくれ」
何を思ったのか、ナツメはそうクロムに尋ねる。しかし疑いの目で見つめられていたクロムは心当たりが無いのかそうキッパリと答える。すると当然のこと謎はどんどん深まっていく。
・・・なんで断るんだろ?
当たり前のこと、不思議に思ったので私は。
「あの〜・・・なんで断るのか理由を聞いても・・・?」
「なんでって面倒臭いからよ」
「「「今なんて?」」」
そんな予想外の言葉に、思わず聞き返してしまう。
今なんって言った? この人。
めんどくさいって・・・いくらなんでも。
「おい待て、めんどくさいってそれゃないだろ」
「イルムさんお願い買取って。私達金欠なの」
「うーん・・・加工するの手間かかるし・・・」
クロムとナツメはそう焦りながらイルムに詰め寄る。
・・・というよりもこの二人金欠だったんだ。
初版購入特典で結構な額を貰ってるはずなのだが。まあ多分、装備とか結構な逸品みたいだし、装備に大半を使ったのだろう。
しかしどうしたら買い取ってもらえるのだろうか・・・。
いや別にお金には困ってる訳では無いのだが。
そう悩んでいると、二人に詰め寄られていたイルムは。
「そうね・・・一応、クロム達はお得意様な訳だし、素材屋が買い取らないってのもおかしな話だし、クエストをクロムたちに依頼するよ!依頼内容は死竜ノ迷宮を攻略すること! クエストを達成したら買い取ってあげるよ!」
「「行きます!」」
ほんとにお金に困っているのか、二人はそれを聞くなりそう即答する。
死竜とか嫌な予感しかしないんですけど。
・・・最悪の結果にならなければ良いんだけど。
そう不安に思っている横で、二人はどんどん盛りあがっていた。
・・・ダンジョンとなると、戦闘が多くなりそうなので武器とか装備とか新調しとかないといけませんね・・・。いまだに武器も装備も初期のまんまですしね。
「ダンジョンに行く前によりたいところがあるのですがいいですか?」
いまだに盛り上がり続けている二人を落ち着かせるためにもそういう。
二人は顔を見合わせ『別にいいけど・・・?』というと、私はすぐさま。
「それでは行きましょう!」
二人の手を引っ張って、ここに来る途中に見つけた店があるところに向かって走っていく。
「ちょっとアイリス急ぎすぎ!」
「ど、どこに連れて行く気だ?」
突然引っ張られた形でついてきている二人は、当たり前ながら戸惑いながらそう話しかけてくる。
どこに行こうとしているか説明しようと思ったのだが、素早さに極振りした影響で移動速度がかなり高く、すぐ目的地に着いたので。
「ここですよ。ここ。さあ入りましょう」
そう言いながら『武器屋』と書かれた店に入っていく。
中には、鋼の鎧や剣、盾などがずらりと並んでいた。
中には宝石が散りばめられたものまであった。おそらくリアルでは数百万以上には少なくともなるだろう。そんな中を私は導かれるように進んでいく。
そこには。
「・・・これとこれよさそうですね」
そう言ってそこにあったものを手に取る。
それは【闇風ノ衣シリーズ】というもので、白色のTシャツ・黒色のコート・藍色のネックウォーマー・藍色のジーンズがあった。
「デザインはいいですが、能力の方は・・・?」
そう思いながら、能力を確かめる。
【闇風ノ衣シリーズ】 シリーズ装備効果:認識阻害Ⅱ・素早さ上昇+5・攻撃力上昇+5
【闇風ノ衣】 素早さ+10 攻撃力+5
【闇風ノジーンズ】素早さ+5 攻撃力+5
【闇風ノネックウォーマー】素早さ+5
【闇風ノブーツ】素早さ+5
「ほう・・・装備はこれにしますか」
そう言って、それを購入する。
次に鎌の方のステータスを確認する。
「【闇風ノ鎌】ですか・・・これにしますか」
そういって鎌を購入する。
これで戦闘になっても大丈夫でしょう。
そう思いながら、私はナツメ達が待つ場所まで歩いていく。
*********
「二人ともちょっといいですか?」
「「・・・?」」
死竜ノ迷宮と呼ばれるダンジョンに行くため私たちは、その近くを通る予定だという馬車に乗っていた。先ほどからただただ揺れているだけで暇だったので私は二人に話しかける。
揺れがかなり心地よかったのか、ウトウトしていた二人は目をこすり、こちらを向く。
「先程イルムさんと何か話していましたが、結局攻略するだけでいいのですか? 攻略するだけなら良いのですが、他にも頼まれてるなら、時間も時間ですし、明日にした方がいいんじゃないでしょうか?」
攻略するだけなら、そう難易度は高くないと思うのですが・・・。まあ名前に死竜とあるのでボスが相当強かったりするのだろうか?
「ああ攻略するだけでいいらしいぞ。まあここ第一層だしボスもそんなに強くないだろうな」
「多分すぐ終わるよ!」
その言葉を聞いて、私はすこし安心する。
まあ、この二人は聞いたところトップランカーということなので、これ以上心配する必要はないでしょう。でもなぜか、まだ少しだけ不安が残っていた。
「・・・そうですね」
私は軽く笑いながらそう言う。
とその時。
「あのー・・・今から死竜ノ迷宮に行くのですか?」
向かい側に座っていた、金髪の少女がそう尋ねてくる。魔法使い職なのか一本の杖を持っており、そのデザインはとても興味を引くものだった。
「そうですけど・・・」
私がそう答えると、少女は杖をぎゅっと握って。
「私はイリスと申します。良ければ同行させてもらえませんか?」
そうお願いしてきた。
断る理由もない。私たち三人は同時に言う。
「「「もちろん、喜んで!」」」
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