素早さ特化──そして始まり
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「ふーん・・・これが新作のVRMMOですか。思ったより面白そうですね・・・」
そう言いながら、星宮 花音はクラスメイトの赤月 茜から送られてきたダンボールに向かい合い、それを丁寧に開ける。そしてその中から《fantastic new world》と書かれた箱を取り出す。
なんでもこの新作のVRMMOは、大ブームになっていて、売り切れが当たり前という状態らしい。送られてきた物がその話題の新作でさらに初版など、花音にとって正直言ってうれしい事である。
花音は下にいる家族に迷惑をかけるわけにはいかないので、心の中でガッツポーズを決める。
ちなみに 買った訳でも、抽選に参加したわけでもないのに、なぜ送られてきたかと言うと、茜曰く
『初版は本当は抽選でしか手に入らないんだけど、パパに頼んだら初版簡単に貰えたけ一緒にしよ!』
ということらしい。
花音は早速プレイするためにパッケージを開ける。
その中にはソフトと初版購入特典を貰うためのIDが書かれた紙、そして説明書が入っていた。しかし花音はすぐさま始めるわけでもなく、何かを探すかのように立ち上がりあたりを見渡す。
「さて・・・今すぐにでも始めたいのですが、ハード自体どこにやりましたかね・・・?」
そう呟きながら、積み上げられた段ボールの中身を一つ一つ確認していく。
花音の部屋には引っ越したばかりでまだ片付けられていない段ボールがそこかしこに置かれていたのだ。その数推定――三十。到底すぐ見つけることは困難だろう。
――この調子では待ち合わせに間に合うのだろうか。そんな心配をしながらいまだに見つからないハードを――
「確かこの辺に・・・イタッ!」
積み上げられた段ボールの塔の天辺にある段ボールを取ろうとすると、突如その塔はバランスを崩し、花音に降り注ぐ。花音は段ボールの中から脱出し痛む頭を押さえながら、目の前にあった段ボールを手に取る。
「これですね・・・」
その中身を確認してみると奇跡的に探し物がその中にはあった。花音は痛みが引くのを待つと、ようやく見つけたハードを段ボールの中から取り出す。
ゴーグルとヘルメットが一体化した形のハードは、部屋の照明を反射し光沢をつくりだしている。落ちた時にこわれてしまったのではないかと心配していたが、幸いなことに傷はついていたが、欠損している場所は見当たらなかった。
「さて始めますか」
花音はそう呟き、ソフトを挿入したハードを被る。
通常は設定などなんやらで時間を食うのだが、茜から貰ったアドバイスノートがあるので、そんなにかからないだろう。
「えっとまずは・・・?」
その言葉と同時に電源を入れ、ゲームを始める準備に取り掛かった。
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