3話 クールな妹
放課後になり、シイナは帰宅する準備を始めた。
最近消えた生徒がいたという話はシイナの耳にも入ってきて、シイナは真相を知りたいと思っていた。
昔からミステリーが好きで探偵になることを夢見ていたので、不思議なことがあると原因を知るまでは済まなかった。
ふと顔を上げるとエリコとサクラが楽しそうに話している姿が見えた。
真相も気になるけどエリコさんが気になるな、シイナは思った。
シイナは小さい頃から自身の性格や容姿がモテることに気がついてた。むしろモテるように気を使っていた。
それはシイナ自身が女の子にちやほやされるのが好きだったからだ。
しかし高校二年生にもなり、そのちやほや感はだんだんと飽きがきていた。
そんな中、二年生で同じクラスになったエリコはシイナのことをまったく気にしていなかった。
そこにシイナは痺れ、エリコに声をかけるようになった。
シイナはエリコの物静かで不思議な雰囲気を持つところが好きだった。
「エリコさん、今日は寒いね」
「そうね。」
「エリコさん、このあと体育だよ」
「そうね。」
しかし、いつも素っ気なく返され、会話が続かなかった。シイナ初めての撃沈だった。
撃沈のショックは大きく、シイナはその後エリコに声を掛ける勇気を持てなかったくらいだった。
ところが最近エリコとサクラが仲良く話している姿を見かけるようになった。
エリコが笑みを浮かべ話している姿を見て、美しいと思う反面いったい何があったのかと気になった。
そして、シイナは放課後に勇気を出してエリコに声をかけた。
「エリコさん、いつも放課後も遅く残ってるよね」
「あら、シイナさん、ええ緑化委員の仕事があるの。」
「帰りに気をつけてね。最近変な噂あるから。」
「あら、シイナさん、お心遣い感謝しますわ。」
「心配なら送っていくよ。奇異の原因も見つけてやりたいと思ってるんだ。」
「うふふ。頼もしいのね。」エリコは笑う。
前までエリコさんはあまり笑わないと思っていたけど、そうでもなかったのかな。シイナは思った。
エリコは立ち上がると、「それでは失礼しますわ」と言って、去っていった。
シイナは、あっけなく去られ、残念だったが今回は、いつものシイナとは違っていた。
シイナはエリコの後をつけたのだ。エリコは屋上への階段を登って行ったようだった。
シイナは屋上は鍵が閉まっていて、生徒には解放されていないはずと思ったが、行くことにした。
屋上のドアは鍵が開いていて、屋上につくと、シイナは屋上が庭園になっていたので驚いた。
「あら、シイナさん、どうしたのかしら?」
そこにはエリコとサクラがいた。
「エリコさんの姿が見えたので、ついて来ちゃったんだけど。」
シイナは少し照れながら、テーブルに近く。サクラは少し不機嫌そうに見えた。
「あれ、サクラちゃんもここにいたんだ?」
「はい。おね、エリコさんのお茶会の準備で先に来てたんです。」何か言い誤ったのを訂正してサクラは少し照れていた。
「私も一緒していい?」シイナはエリコとサクラに向かっていった。
「うふふ。そうこなくっちゃ。今お茶入れるわね。」そういうとエリコはお茶を入れる。一方でサクラは不機嫌そうだった。
「エリコさんがこんなお茶会開いていたと知らなかったよ。」
「言ってなかったわね。こういうお茶会を開くのが私の夢だったの。」笑いながらエリコは言った。
「エリコさんとサクラさんはいつ仲良くなったの?」
「一年生から同じクラスだったのだけれど、仲良くなったのは最近かしら。」
「エリコさんにお茶会に誘ってもらってからですね。」
「へー、こんないい場所あるなら私も誘って欲しかったな」
「ふふふ。それならシイナさんにもお声かければよかったわね。」
「シイナさんってテルミさんと仲良しだったわね。」
「うん。幼馴染なんだ。」
「お二人はお付き合いされているの?」エリコが身を乗り出して言った。
「えっ?いやそんなことはないけど。」
「そう?お二人お似合いだと思うのだけれど、」
「そうかな。どちらかというとテルミは妹のような感じなのかも。」
「うふふ。確かにテルミさんは妹のようなところあるわね。」
「エリコさんはお姉さんっぼいよね。」
「そうかしら?呼んでくださっても構わないわ。」
シイナはエリコにそう言われると呼んでみたくなった。
「え、恥ずかしいんだけど、姉さん」シイナはエリコに呼んでみた。
「ふふふ、何か違うけど嬉しいわ。」エリコはにこやかに返した。サクラはムスッとしていた。
三人は楽しく会話し、気づけば最終帰宅時間になった。
「私は片付けがあるからお先にどうぞ。」エリコはサクラとシイナに言った。
「片付けなら、私も手伝うよ。」シイナは言った。
「シイナさん、帰りましょう。」サクラは言った。
シイナはサクラに連れられて二人は先に帰ることにした。
「エリコさんは屋上で一人で過ごす時間も好きみたいなの。」サクラはシイナにそう教えてくれた。




