変化 2
最近のシリウスの行動に疑問を浮かべながらも、私は大事なことを訴える!
「あのね、ジルがお化け屋敷を花火大会で運営しちゃダメって・・・」
「そうなのか?ジル」
「あ~まぁ、そうなんだよ。今日、騎士団と魔導士団の混合訓練で、ルーチェのお化け屋敷のデモンストレーションをしただろ?それの結果がよくなくて、今回は見送りにしろって言ってんだ」
「合同訓練・・・?今朝、言っていたのだな。結果が悪いとは?」
「いやな、騎士団と魔導士団なんて結構な人数だろ?それを四人一組のパーティで実施したらしいんだが、誰もゴール出来なかったんだよ。それじゃあ、一般人がクリア出来るわけがないだろ?ルーチェは、難易度を変更するとは言っているが・・・」
「確かに人数も多くはなるが・・・誰もと言うのは流石に・・・」
「違うよ!二人共。確かに今回は誰もクリア出来なかったけど、途中からモンスターハウスに主旨を変更したの!通常のお化け屋敷なら一般人でもクリア出来るよ!(たぶん・・・)」
「モンスターハウスとは?ルーチェフルールが言っている、お化け屋敷とは違う物なのか?」
「うん。お化け屋敷は驚かしたりするのなんだけど、今回はリーリアさんとカリマさんに「最近の竜人の軍は粋がってるから、〆て欲しい」って言われたの。で、途中からモンスターハウスに変更したんだ!」
「確かに両副団長からそう言った話は聞いているな。それで?具体的に何が変更されたんだ?」
「んとね、お化け屋敷は恐怖を与える方だから、驚かす・怖がらすってのがメインなの。で、モンスターハウスは、違う恐怖・・・恐慌状態?にするのと、モンスターに襲われる感じにして、幻術で実際に攻撃を受けた様な痛みなんかを再現したんだ!」
「「・・・・・」」
やり切ったぜ感で言ったら、二人共黙っちゃった・・・。
なぜに?
頑張ったのに・・・確かにちょっとはやり過ぎかな?とは思ったけど・・・。
「ルーチェフルール。確かに両副団長からの依頼には答えた?ような気がするが、流石にそれではジルも私も反対だ」
「な?そうだろ、シリウス。それにルーチェ、花火大会まであと三日だぞ?今からだと最終確認なんてしてられないだろ?」
その言葉に押し黙る・・・。
いや・・・そうなんだけど、そしたら私の未来への貯金はどうなるんですか?
誰が保証してくれるんですか?
「そもそも何故、そんなにもお化け屋敷をやりたいんだ?次の豊穣祭までに調整すれば遅くはないだろう?急ぐこともないだろう?」
「あー・・・シリウス。ルーチェはな、金儲けがしたいんだよ」
えーーー!!!ここでシリウスにチクるのか?!ジル!!!酷い!!!
「金儲け?何故だ?お小遣いが足りないのなら、あげるぞ?そもそも、そんなにも稼いでどうするんだ?確か他の出店の売り上げの一部も、ルーチェフルールに入るようになっているだろう?」
至極真面目に、なんで?なんで?攻撃をしてくるシリウス。
チラッとジルを見ると、諦めろと言うように首を振った。
・・・・・いや、ここで諦めたらダメだろ!
まぁ、確かに、シリウスからお小遣いを定期的に貰ってるよ?
いや、正確にはお小遣いと言うけど、国庫から出てるんだよ。
なんかね、『愛し子様予算』ってのが組まれてるらしい。
それ聞いた時には、なんだソレ?って思いましたけどね。
そんなの国の予算から出すの?って聞いたら、愛し子は特別だから・・・とのこと。
何が特別なんだ?とは思ったが、聞いても特別だからとしか返ってこなかった・・・。
とりあえず・・・・
「シリウス。確かにお小遣いは貰ってるよ。そしてちゃんと足りてる。てか、使う所がないよね?街には基本的に出かけないし・・・。でもね、この先人生は長いんだよ?何があるか分からないじゃん。稼げるときに稼いで、老後の資金にあてたいんだよ。それにもしかしたら、エルタニン王国を出て他の国も見てみたい!ってなるかもしれないでしょ?そのお金まで、エルタニン王国から出してもらうのは筋違いじゃない?」
ん?なんだ?今、背中がゾワッてした・・・なに?
「ルーチェフルール。この国を出る・・・と言うのか?」
さっきよりも声が低くなったシリウスが質問してくる。
「シリウス!落ち着け!!大丈夫だ!ルーチェは何処にも行かないから!」
え?なんでそんなことジルが決めるの?
「どうなんだ?ルーチェフルール」
「どうって・・・機会があれば他の国も見てみたいよね」
なんか・・・ゾワゾワが酷くなってきたよ?
あれ?可笑しいな~。
心なしか、ちょっと寒くありません?
「ルーチェフルール。お出掛けは私も同伴するからな?君は私の許可なしで、何処かに行くことは許さないからな?」
「あ・・・うん。分かったよ」
何も分かりたくないけど、ここでの正解はコレしかなくない?
「そうか、それならば問題ない」
むっちゃ良い笑顔でお返事きたーーーー。
・・・・まさかのシリウスは、ヤンデレ属性らしいです。
そして、有耶無耶になったお化け屋敷は、豊穣祭まで延期になりました。
なんてこった・・・。