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転生しても山あり谷あり!  作者: 月城 紅
ばんざーい!
134/152

ある兵士の一日 7

 

 鏡に触れた瞬間、波紋が広がり、ギドの腕が吸い込まれた。

 特段、引っ張りこまれた・・・と言う訳ではなく、難なくギドは鏡の中に入れた。


「ギド!何かあるか?!」


「特に何もないっす!作りはそっちと一緒っすね。強いて言えば花がある事が違うだけっす」


「なら早くこちら側に戻って来た方が良いわ!そちら側に閉じ込められたら笑い事で済まされないから!」


 アンの言葉に、ギドは慌てて花を掴むとこちらに来る。

 花は緑だ。


「おい!ギド!急げ!!」


 何と花を花瓶から抜いた瞬間、ギドの後ろに人型を取った木の人形が現れた。


「後ろを振り返ってる暇があるなら、こちらに走って来なさい!!!」


 アンの言葉に、一目散に走って来るギド。

 人形の手と思われる木の根が、ギドの足を掴む瞬間に鏡の中からギドが出て来た。

 こちら側に出てくる可能性がある木の根だったが、鏡にぶつかり鏡一面を木の根が覆い隠した。


「どうやらこちら側には、出て来れないみたいだな・・・」


「危機一髪ってやつっすね・・・」


 額を流れる汗を拭いながらギドが言う。

 ここは、お化け屋敷と言うものより、モンスターハウスではないのか?

 さっきから襲われてばかりだ・・・。

 しかしこれで花は四つ目だ。

 残り三つも一筋縄ではいかないのだろう・・・体感時間にして三十分程が経過しただろうか?

 既に疲労困憊だ・・・。

 どこかで一休みしたい・・・。



 *  *  *



「ルーチェ~このグループなかなかしぶといね~」


「うん、そうだね・・・。方向性をホラーハウスからモンスターハウスに変更はしたけど、大概が食堂で脱落したもんね~」


「まぁそれでも、残り五チームですから良かったのではないですか?」


「うむ、そうじゃの。やはり仲間の死体が目の前に・・・と言うのは堪えるようじゃの!」


「あれ考えたのプーロとエーデルでしょ?趣味悪いなぁ~」


 ニヤリと笑いながら私も言う。

 現在、一押しなのが女性一人、男性二人のチーム。

 最初は、男性が三人だったんだけど、途中で一人脱落。

 このチームの何が凄いって、リーダー格の男性がしっかりしてるのか、非常に安定したチームなんだよ。

 コレを崩して、ワーワーキャーキャー言わせたい!


 いやぁ~楽しいよね~。

 たださぁ、追いかけるだけってのがなぁ~つまんないよね~。

 基本お化け屋敷って、驚かす・追いかけるしかないもんね・・・。


 あっ!そうだ!!謎解き脱出ゲームとかも楽しそうだよね!!

 お題が定期的に変わるとかを作ったら、飽きないし!

 いや~前世でもスマホのアプリで、よく遊んだなぁ~。

 リアル脱出ゲームも楽しんだし!


 アレは確か、壁の外に大型巨人が現れる漫画のリアル脱出ゲームだったな!

 体感して分かったけど、問題は三問から四問しかないんだよね。

 ただし、広い場所を移動しないといけないから、それが大変って感じだった。


 おっとと!話が逸れてしまった!

 んじゃ、続きを楽しみますかね!



 *  *  *



 四本目の花を手に入れた俺達は、やっと二階へとたどり着いた。

 だが俺の眉間に皺を寄せた・・・。

 なぜなら、扉が複数ある。

 一階の個室を上回るだろう。

 コレを一つずつ確認するのも大変だが、いつ襲われるかと思うと・・・。

 考えるだけでも嫌になる。


「うへぇ・・・扉がいっぱいっすね・・・」


「また一つずつ開けないといけないなんて・・・今度は何が飛び出してくるのかしら・・・」


 二人も俺と同じ意見だ・・・。

 アンは既に泣きそうになっている・・・。


「ここに何時までも居ても仕方がない。先に進もう」


 そう、俺達が数歩進んだら


 ガラガラガラ・・・ガチャン!!


 階段に檻が降りて来た。


「・・・・退路を断たれったっす」


「そうだな」


「もうやだぁ・・・」


 確かに・・・作った愛し子様は性格悪くないか?

 ここまでするか?


「と・・・取り敢えず、トイレから確認していこう」


 そう言って、俺達は左側、一番最初の扉を指した。

 手前は男子トイレ。一つ奥が女子トイレになっている。

 用心しながらそっと扉を開くが、男子トイレはどちらかと言えば、見晴らしがいい。


「あっ!奥に花があるっす」


 言われて奥を見ると確かにあった。

 黒の花なため、目を凝らさないと分かりずらい・・・。

 サッと、見渡すが何もない。

 意を決して中に足を踏み込んだ。


 べっちゃ・・・べちゃ!


 個室手前に天井からスライムが落ちて来た・・・・。

 ブルブル震えながら、スライムは俺達に襲い掛かるのではなく、花へと向かって行く!


「いかん!花を溶かされでしたらミッションが失敗してしまう!!」


 俺は急ぎ花に手を伸ばす。

 ジュ!っと嫌な音が腕にかかる。

 スライムが酸を飛ばしたのだ。

 そのまま、花を手に持つ俺に襲い掛かろうと、スライムが押し寄せて来た。


「先輩!早くこっちに!!」


 急いでトイレを出て扉を閉めるが、スライムは軟体動物だ。

 少しの隙間からも出てくる。

 少しでも早くその場を離れようと、反対側の壁まで下がるが、扉からスライムが出て来ることは無かった。


「腕を見せて!酸をかけられたでしょ?!手当しないと!いくら雑魚のスライムと言え、あんな近くだと対処が難しいもの!」


 そう言いながら、アンが腕を見たがそこに傷はなかった・・・。

 確かに焼けるような痛みはあった。なぜだ?


「スライムに酸をかけられた様に見えたっすけど・・・気のせいっすか?」


「いや、確かに痛みはあった・・・」


「今は傷すらない・・・もしかして、これから痛みを感じる行為が発生する・・・とか?」


 笑えない冗談だ・・・。

 恨みでもあるのか?愛し子様・・・。



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