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神になった商店主  作者: 雪蓮花
魔法
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デモンストレーション

さて魔法のデモンストレーションといっても何を見せたらいいのだろう?

隠ぺい魔法と同じものはいくつか種類があるし、認識できないものをどう見せるのか?難しい。姿を消して見せるとかそんなところだろうか。攻撃魔法も見ぜるとなると今後のことを考えると難しい。外交のポイントとして敵と見られることは避けたいところ。やはり交渉会議の時もそうだったように防御関連と移動魔法に関することぐらいでいいかと思う。

まずは部屋の中から今回の同行の俺含む5人と外務大臣のクレマン卿を外の広場に転送魔法で移動する。クレマン卿はかなり驚いていた。前にも言ったが移動魔法はその大きな制約に目視する障害物のない直線というものがある。しかし、俺がやったのは部屋の窓のない、中から目視できない方向の広場に転送したからだ。

クレマン卿「今のは転移魔法ですか?現実には不可能と言われていますが、地球の変化はそれをも可能とするものなのですね」

どうやら、前回の交渉会議の内容は他国にもずいぶん広まっていたようだ。

俺「いいえ、ただの移動魔法です。やはり目視できるという制約がありますし、空間を捻じ曲げることは残念ながら地球の制約の解除が完全に終わった今でも不可能ですし、今後も絶対にありえません。」

クレマン卿「しかし、では今の魔法は?」

俺「転移魔法に見えるくらい高速で且つ壁の2,3枚程度は透過可能な移動魔法にすぎません。どんなに変化が進もうとも人一人で発動できる魔法としてはこれ以上のことはできないはずです」

嘘は言っていない。人一人では無理だが複数人、それも大規模な魔法発動装置を中継に何か所も作って、観測器もリンクさせれば、目視という部分を観測器で補ってかなりの長距離移動も可能になるからだ。そのぐらいまで文明が進めば移動魔法ではなくて転移魔法ともいえるようになるかもしれない。それでもこだわる学者さんたち、これから生まれ出てくる魔法学者たちは転移は不可能、これはただの移動魔法にすぎないと断言するだろう。

俺「アイザック大佐は魔法師でいらっしゃるそうですね。それぞれデモンストレーションするのもいいですが、私はこういったものに慣れていませんので、そちらから私に攻撃魔法をかけてください。そのほうが私としてはやりやすいです。」

アイザック大佐「大丈夫なのですか?」

俺「こう見えても魔法の扱いには自信があります。ちなみに無詠唱で使えますのでこちらが防御魔法を詠唱していないからといって遠慮する必要はないですよ」

アイザック大佐「では、レーザーショット!!」

俺の頭上百メートルほどに細い光の槍が何本も現れる。レーザーショットとはなるほど、おそらく太陽光の収束で高温の熱線をレーザー光線のように打ち放つのかもしれない。詠唱といっても魔法表題だけで発動できる魔法師はこの時代のなかではかなり優秀なほうだ。しかし、自然の太陽光から殺戮可能な熱線を収束させるためにはフル詠唱するのと同等の時間がかかってしまう。俺でなくても同レベルの表題詠唱だけで防御魔法が使える奴だと防がれてしまうだろう。

俺は簡単な魔法、大気中の水分を集め気圧を変化させて濃霧を作りその光線収束を霧散させた。

もちろん一言も言葉を発せずに。

俺「別の方法も可能ですよ」

アイザック大佐「ファイヤーボール」

目の前に青いボール状の大気の揺らぎが見える。

これは術式範囲の大気中の水分を電気分解することで酸素の塊とその表面上に水素をまとわせて高圧圧縮、それを一気に爆発推進させて放つ魔法。

しかし、俺はその電気分解と収束途中で術式そのものを解体させた。

術式解体は相手の術式を完全にトレースし、しかも相手より早く術式を完成させて発動させなければできないので、表題詠唱の魔法師の術式を解体する事は事実上不可能と言われていた。もちろん、フル詠唱の魔法については、相手より少し早く魔法詠唱ができれば術式解体は可能だが。

俺は相手の魔法の解析は神の力のひとつ賢者の力で可能となっている。しかも無詠唱ができるので、相手が魔法を発動したあとでも、術式を遡って元に戻すことも可能だ。

交渉会議の時もこれがあるから、ルドルフやリチャードたち不老不死者が安心して交渉テーブルについていたというくらいの強みだ。

アイザック大佐「相手は人類至上主義派の過激派です。従来の兵器の使用がメインかと思われますがその対策はできていますか?」

俺「それについても遠慮なくどうぞ」

アイザック大佐はいきなり拳銃を放ってきた。

あまりにいきなりだったので、こちらが認識する前に弾は発射された。

しかし、これも詠唱も手をかざすこともなく、俺に到達する寸前にふっと煙のように掻き消えてしまった。俺が常時身にまとっている防御魔法のひとつだ。一定の高速で移動する物体は安全な構成の原子、もしくは分子に分解され霧散するよう設定している。

俺「普段は手をかざしていかにも的に対応するのですが、素晴らしいお手並みに間に合いませんでした。」

アイザック大佐「噂以上のお方ですね。」

俺「いずれは皆さんもこうなるのですから追われる立場としては不安でしかありませんけどね」

確かに現在は俺以上は存在しない。しかし、いずれ500年後か1000年後には俺と同じくらいの力を持ったのが普通になる。完全に追われる立場なのだ。それでも、今できることはしておかないと、その500年後1000年後に最悪独りぼっちということもあり得るのだ。そう、地球の死産といわれる状態になった時だ。まさに、今回の共和国のクーデターの裏にある核兵器もそれにつながりかねない問題なのだ。

俺「では、ほかのメンバーの方も」

アイザック大佐の部下2名も魔法師だが、表題詠唱できる魔法はひとつしかないという。なので、デモンストレーションではその一つしかない魔法、切り札ともいえるものを披露するわけにはいかないから、長ったらしい詠唱魔法のいくつかを披露してくれた。詠唱魔法だが威力は十分だったし、隠ぺい魔法もなかなか使える類のものだった。

で、魔法のデモンストレーションではあったが、同行の欧州諸侯国公使館の2等書記官殿はごくごく普通のレベル3の不老不死者で魔法の類はひとつも使えないことがわかった。

アイザック大佐「では、皆様の力をふまえて移動の機内で作戦の詳細を詰めていきましょう。アメリカ共和国へは、わが国の政府専用機を使用します。」

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