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神になった商店主  作者: 雪蓮花
不老不死
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交渉会議 II

ジェイコブとスティーブンが目配せをしてから数分が経過したが、二人とも顔色が悪くそわそわしはじめた。5分が経過して突然、15分の休憩を求めてきた。進行役のルドルフはその求めに応じて15分の休憩を宣言した。

15分後再び円卓会議は再開されたがジェイコブとスティーブンはなにやら落胆した様子だった。

会議は紛糾していた、その後、人類側はとにかく倫理や宗教など持ちだして、不老不死、聖獣を敵視していたが、具体的にどうしたいか?と問われると、大量虐殺に繋がる言質はとらせない狡猾さがあった。とにかく、不老不死、聖獣、魔法に関わる、擁護するものを貶し、怒らせ、相手側から暴力的な言質をとろうとすることに躍起な感じが見え見えな状態。魔法側もアメリカ大陸でゲリラ戦をしている魔法師、聖獣解放会議のエリックとアレックス以外の出席者は過激に反応している。当の戦いの当事者たちは意外に冷静なのかもしれないが外野がうるさい。聖獣派にしてもすでに独立を果たしている聖獣評議国の代表ハシムと族長代理の女性のアイシャやアラスカ難民キャンプのウルマとマリーンは冷静だったが、北欧から来たリンデルとヘレナは誹謗中傷に過度な反応だった。

突然、強化ガラスの外側ではあるが武装した黒ずくめの人影や獣の影が30ばかり現れた。銃を一斉に掃射して強化ガラスを粉砕し、そのまま会議出席者にも銃弾の嵐が吹きつけた。出席者の不老不死派以外は慌てた様子だった。直後、黒い侵入者と円卓出席者との間とさらに外側にも白い鎧の騎士風や同じような白い鎧をつけた獣風の者たちが多数現れ、一瞬で黒い襲撃者たちは駆逐された。

黒い襲撃者たちが現れる瞬間から円卓には俺が魔法で防御壁を展開していたが、それだけではない。リチャードは事前に円卓会場には魔法を阻害するシステムを組み、俺の防御壁の魔法だけは構築できるがその他は無効にし、かつ魔法の発生源を記録するようにしていた。といっても、会議開催前から襲撃やその他の動きは不老不死側は全て把握していた。会議前半のジェイコブとスティーブンが目配せしたのも、この会場へミサイル攻撃を仕掛けたものだが、時間になってもミサイルが到達しないため休憩を要求して軍部に確認していたのだ。結局、戦争を悪化させることに利益を見出している参加者がそれなりの数がいて、しかも大きな勢力を持っていることがわかった。

現時点で本当に和平を望んでいるのは不老不死派と魔法側ではアメリカ大陸でゲリラ戦をしている魔法師、聖獣解放会議のエリックとアレックス、聖獣派ではアラスカ難民キャンプのウルマとマリーン、聖獣評議国の代表ハシムと族長代理の女性のアイシャでちょうど半数。

どちらでもない、できれば関わりたくない、もしくは勝者が判明した時だけその対応を考えようという態度が出ているのが日本の外務副大臣の青木、中国本土政府外務部楊楽進の2名。

なので、単純に多数決なら和平派が有利な状況ではあったが、戦争継続派は普段戦っている同士でありながら共闘して黒い襲撃者を雇い襲ってきた。襲撃者の構成も攻撃予定もこちらは把握している、デバイアス社のお抱えの傭兵で魔法師と聖獣で、人類代表を襲うように見せかけて、人類代表はデバイアス社と通じて魔動機器の防御壁で守りつつ、不老不死派を襲いこの戦争に不老不死派を巻き込む。不老不死と人類とでは身体の強さから言うと大きな差はないから、防御がなければ不老不死派だけが巻き込まれて被害を受けると考えていたようだ。不老不死派が報復を考えても人類側にプラスだし、もし臆病にも何もしなくても、これだけの襲撃があり不老不死派に死亡者がでる大惨事となれば戦争継続の大義を得られる。そう考えてのことだろう。

さて、襲撃が終わっても白い騎士たちは円卓を囲んで整列している。

リチャード「制圧ご苦労、以降も警護を頼む」

と白い騎士たちに呼びかけた。突然、数名が立ち上がった。アメリカ大陸魔法同盟のダグラスが立ち上がり詠唱をはじめた。デバイアス社のスティーブンも小型の銃のようなもを取り出した。その秘書も何やらスマホのようなものを操作している。ダグラスの護衛も魔法の防御壁を起動しようとしているが、うまくいかない。ダグラスの詠唱の内容から精神干渉魔法だが、白い騎士たちには効くはずもない。防御壁も起動できず、詠唱した魔法も全く効果がなかった。スティーブンの小型の銃からも青い光がぽーっと出ただけで不発。北欧の王国から来た聖獣のリンデルとヘレナも聖獣になり白い騎士にとびかかろうとしたが、同じく白い鎧の獣が直前で飛び掛かり首を噛まれて動きを封じられた。

リチャード「私たち不老不死者は臆病に見られがちだが、まったくもってその通りでとても臆病だ。故に絶対的な安全が担保されないと表には出ないのが基本なのだがね」

ルドルフ「私も含めここにいる不老不死者、私の従者以外は臆病の塊ですから。それにも関わらずこのような会議に参加することは大変な勇気がいりましたが、なるほど、リチャード殿と従者の準備で事なきを得ました」

魔法師、聖獣解放会議のエリック「これはいったいどういうことでしょうか?」

ルドルフ「この戦争は、確かに最初は局所的な地域紛争ととらえることもできたでしょうし、実際、紛争が起きているところは人口が多いとはいえ世界的に見ても局所的といえるでしょう。しかし紛争開始直後と違い、だんだんと外野の勢力が増して、当事者のコントロールを離れてきたと見ることができます。この会議への襲撃自体がそれを物語っているでしょう。」

目的解決のための戦争が、戦争継続のための目的に変化することはよくあることだが、当事者を除いた中でこれだけの陰謀、しかも、下調べも準備もお粗末な襲撃というのは、それだけ、聖獣も魔法もそして緩やかに数を減らす旧人類自体も変化へ対応できていないのだろう。十数年前の大国ならこんなわかりきったお粗末はしないのだろうが。

人類評議会の議長スコット「これは我々に対する脅しですかな?」

ルドルフ「これはリチャード殿に会場警備としてお願いしてあるもので、その警備内容などは私の従者が確認し、皆様の安全を十分に確保できると判断した結果でありますが」

人類評議会の議長スコット「過剰防衛では、実際我々はこうして取り囲まれている」

リチャード「警備に関しては襲撃がなければ、このように皆様を取り囲むようなことはありません。皆様の了承が得られましたらすぐに下げさせることも可能です。お見せしたように、この程度の襲撃や攻撃では我々に傷ひとつつけることはできないでしょう」

ルドルフ「では、会議を継続させたいが・・・強化ガラスが粉々になりそれどころではなさそうな雰囲気だが」そう言うか言わないかのの僅かな時間で床の魔動機器が作動して少し青い光を発したかと思うと、粉々の強化ガラスは再び元に戻った。

ルドルフ「では警備を下げていただき、会議を続行します」

リチャード「通常警備に戻るように」

そういうと、白い騎士たちの周りが青白く光るとすべての騎士は床に吸い込まれるように消えていった。

ルドルフ「私は進行役なので、不老不死派として私の従者を代表しとて、皆様にお話ししていただく。従者といっても実際は私以上の存在でもあることを申し添えておく」

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