欧州の友人
彼らは3人は欧州の王侯貴族だという。1人は以前からある公国の皇太子の弟のカール、1人は皇帝も輩出したようなめちゃくちゃ有名な名家の当主の孫のルドルフ、もう一人もよく聞く旧侯爵領の当主の息子ヘンリー。実際の領地経営しているのはカールの家だけだが、残り2人の陰の実力はカール以上だろう。亡くなった1人は3人が用心棒で雇った魔法師だったようだが、魔法の詠唱をちょうど喉を噛みつかれることで封じられて亡くなったようだ。
翌朝にはこんな会話ができるほど回復した。眼球を失った公国の皇太子の弟カールはまだ視力が戻っていないようだった。まぁ欧州の有力者たちだが、もう少し回復するまで家で休んでもらおう。
こんな、有力者たちがいなくなったら大騒ぎだろうと思うかもしれないが、やはり不老不死者たちだ、周りにわからないようにお忍びの旅行だったらしい。
亡くなった1人も今朝の新聞で見たが、欧州からの1人旅の男性としか載っていなかった。彼らも、ここに滞在することに抵抗がないようだから、気にしていないのだろう。むしろ、話題になったり騒がれることのほうが好ましくないのだろう。
俺は、彼らに自分も不老不死者だが珍しく多少の魔法も使えることを伝えた。
今日の市場は雪が行ってくれた。重い荷物もあるけど、多少は魔法でごまかしながら運んでくれたんだろう。でも、バレない程度だから何往復も大変だったと思う。
そうはいっても、大切なお客様だ、こちらもただの人助けで不老不死者を介抱して泊めたわけじゃない。
これからのことを考えての行動だ。
たぶん、俺のことは彼らも高く評価してくれるはずだ。
とりあえず、店もあるから、どうぞ好きに使ってくださいと言って彼らを2階に置いて1階の店舗に下りてきた。
俺は知覚魔法で彼らの会話を聞きながら店で作業していた。
カール「転移魔法すごかったな」
ルドルフ「不老不死者の扱いも手馴れてたね」
ヘンリー「何よりクマに真正面から挑んで殺した。普通、不老不死者なら絶対やらない。知らんふりで逃げるはず」
カール「なんかちょっと怪しい奴だな」
ルドルフ「それでも助けてくれたし、実力もあある。」
ヘンリー「極東の保険としてどうだろう」
ルドルフ「いや、欧州に来てもらうくらいの逸材かも」
カール「うん、実力は間違いないと思う。あとは信用できるか」
ルドルフとヘンリーは前向きだな。問題はカールが少し疑っている。
まぁ不老不死者ゆえの苦痛を一番味わったからなー。
ルドルフ「いずれ、我らを助けた以上、何らかの礼は必要だろうな」
カール「彼も不老不死だって言ってたよね。だから知覚魔法まで使って現場を隠したのかな?」
ヘンリー「そうだろうな。不老不死者はできれば世間と関わりたくない。俺らのように貴族で不老不死だと世間とのかかわりから逃れられないけど、東洋は一般に紛れて隠れ住むものが多いというからな。」
ルドルフ「こちら側に抱き込めないか?」
カール「抱き込むとしたらしっかりとだよね。」
ヘンリー「何か手が?」
カール「僕の怪我がまだ少しかかると思うし、痛みは彼の魔法でない状態だから、利用できると思う」
ルドルフ「俺も傷跡まだふさがらないからやれるかな」
ヘンリー「俺は傷跡ももうすぐ消えてしまいそうだから、裏方でサポートするよ」
カール「ただ彼が受けてくれるかだよね」
ルドルフ「まぁ、話だけして受けてくれそうなら、これでいこう」
どうやら、こちらの思惑通り進みそうだ。
その夜カールから何かお礼がしたいが何かないか?我々はそれなりの地位と財力があるからお礼をしたいと。
俺は、金銭のお礼はいらない。ただ、欧州に信頼できる友人が欲しいところだと伝えた。歴史が好きだから、歴史に連なるあなた方と知り合えただけで、また、秘密で明らかにならないとはいえ、そういった方々を助けることができただけでも光栄だと伝えた。
カールは今回のことは秘密にすることはない、ぜひ公にして恩に報いたいといってきた。




