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僕とキミとの犯人探し  作者: ハルカ カズラ
3/3

問.終わらない宿題の日々


 先生に問題を丸投げされてしまった僕と音海。僕は謎解きなんて出来ないし、そもそも謎でもなんでもない気がするよ。それなのに彼女はいつになく、張り切っててすごく目を輝かせながら僕に話しかけている。


「駿汰くん、わたしたちで見つけようよ! 先生が喜ぶよ」


「そんなこと言われても、僕は分かんないよ。それに多分だけど、事件でも無ければ犯人がいるわけでもないと思うんだよ」


「つまんないこと言うの禁止!」


「え~~?」


「でねでね、わたし思ったんだ。久住くんと沼澤さんが怪しいと思うの」


「疑うの、良くないよ。どうして怪しいと思うの?」


 まだ探偵みたいなことを続けるつもりなのかな。クラスメイトが犯人だなんてそんなの思いたくないよ。


「だって急いで帰ったし。慌てて帰るなんて変じゃない?」


「本当に急いでたかもしれないし……考えすぎだよ」


「じゃあさ、明日ふたりに聞いてみようよ。大地のノートを間違って持って行ったのって、どっちかだと思うし。ね、そうしよ!」


「んー音海がそこまで言うなら、聞くしかないじゃないか~」


「やった! さすが駿汰くんだね。じゃあ、明日教室でね~バイバイ」


「うん、じゃあね」


 教室の中はすでに僕と音海しか残っていなくて、先生もあのまま職員室から戻って来なかった。そんなにショックだったのかな。それなら宿題を出すのを控えれば良かったのに。もしかしたらだけど、多すぎるから誰かがどこかに隠しちゃったのかもしれないし、それかやっぱりただ忘れて内緒にしてるだけなのかもしれない。だから音海の言う犯人だとかは違うと思うんだよなぁ。明日分かるよね。


「おっす、駿汰! 昨日は参ったよなぁ~俺のノートが行方不明だよ。おかげで宿題が出来ないぜ~」


「無くなって逆に良かったんじゃない?」


「まぁな~このまま先生が宿題出さなくなれば最高じゃん! 駿汰もそう思うだろ?」


 僕はずっとそう思って来たけどね。でも先生は今日も宿題出すって言ってたし、無理だと思うなぁ。なんてことを大地に言えないけど。


「うん、思う。でもウチの先生って宿題を出すのが好きだから、無理だよ」


「だよなぁ……まぁ、嫌だけど俺のノート帰って来ないと困るし、久住か沼澤のどっちかが持ってきてくれただろ、たぶん」


「こら、大地! 駿汰くんを困らせたらダメでしょ」


「困らせてねえし。音海って駿汰好きすぎじゃね?」


「それはそうでしょ。真面目だし優しいもん」


 言われて悪い気しないけど、音海は委員長だから真面目な僕を気に入ってるだけなんだよなぁ。


 教室に入るとウワサにしていた久住くんと沼澤さんが来ていた。大地がすぐにふたりに向かって声をかけているので、僕と音海も話を聞くことにした。


「俺のノート持ってったろ~? 返してくれ」


「わたし、知らない。昨日、急いでたのは劇を観に行ってたからだし」


「じゃあ、久住。お前だろ?」


「いや、俺は……」


 なにか言い辛そうにしている久住君。そこへ音海が近づいて、久住君を問い詰めている。犯人って決めつけているのもどうかと思うけど、僕も協力するしかなさそうだ。


「久住くん、大地の宿題ノートを間違えて持って帰らなかった?」


「大地のノートは俺、知らない」


「ふぅん、大地のは知らないんだ? じゃあ他のは知ってるの? 誰が出さなかったのとか」


「……え、えっと」


 あれ? 何か様子がおかしいかも? 音海の細かい質問が効いてるのかな。


「えーー? 俺のノートマジでどこに行ったんだよ」


 みんなで久住君に問い詰めていた所に、先生がやって来た。


「よし、朝の会始めるぞ~~席に着け~~って、そこで何してるんだ?」


「先生、俺のノートが見つからない」


「あー、お前のノートな。答えが間違ってたから職員室に置いたままだった。すまん!」


「なんだよ~~じゃあ、駿汰がミスってたんじゃないかぁ」


 ええ? 僕のせいにするの? ひどいなぁ。でも、大地のノートは先生が持ってたんだ。良かった。じゃあ、宿題を出さなかったのは久住くんってことになるのかな?


「先生、宿題出さなかったのって久住くんですよね?」


「……」


 音海の言葉に久住君は黙って下を向いている。先生は何て言うんだろ。


「んー? あー、いや、まぁ……そうなんだが」


「じゃあ犯人は久住くんなんですね! 事件解決だよ、駿汰くん!」


「犯人って……違うと思うよ」


 そんなことを言ってたら、先生から意外な言葉が飛び出た。


「いや、久住は悪くないんだ。実はな、提出されなかった宿題たちの行方な、毎日たくさん宿題出されるのが嫌だったらしい久住が、全てのページを埋めて提出してきたんだ。他のみんなの分のノートも含めて。だから、何と言うか先生が悪かったんだ。そこまでみんなを宿題で苦しめているとは思わなくてな」


「ええ? じゃあ、宿題の答えはすでに全部書いちゃったから出せなかったってことなの?」


「……うん。俺、毎日たくさん宿題をやるのがすごく嫌だったんだ。だからやらなくてもよくなるように、全部の問題の答えを埋めて先生に出したんだ。俺のだけじゃなくて、他のみんなの分も……だから、全員が提出しなかった日があったんだ。ごめん、勝手な真似して」


 そ、そんなこと思い付かなかった。僕も毎日たくさん宿題やるの嫌だったけど、まさかこれから出される前に全ての問題を解いちゃって答えを埋めるなんて僕には出来ないよ。それも他の人の分までなんて。


「そ、そうなの? 犯人でもないじゃない! ただの真面目な久住くんなだけだったんだ……」


 音海が何故か残念そうにしている。確かに犯人って呼ぶにはおかしな出来事だよね。それにしても、宿題を出される前にやってしまうなんてすごいなぁ。だから誰よりも早く帰ったってことなのかな。


「まぁ、なんだ。久住や他のみんなも苦しめていた宿題についてだが、これからは一日置きに出すことにする。そして、3つはきついから2つまでにしとく。それで勘弁してくれ」


「やったー! のかな? 毎日じゃなくなったけど、出るのは出るんだ……」


「なーんだ、事件でもないし犯人でもなかったんだ。残念だったね、駿汰くん」


「え? 僕は最初から犯人だとか事件だとかなんて思ってなかったよ。音海は起こって欲しかったの?」


「ううん、そんなわけないでしょ」


「まぁ、なんだ。久住、ごめんな。埋めた問題ノートは消す必要ないから、先生が新しくお前にあげるからそれで許してくれ」


「……はい」


 結局、宿題ノートが見つからなかった事件は、こんな感じで終わっちゃった。事件も犯人も、そして推理も出来なかったけど、悪いのは先生……じゃなくて、たくさんの宿題が悪かったんだ。


 久住君がやったことは褒められないけど、そんなことをしても結局また新しく宿題が出るのは変わらないんだよね。それにしても、宿題を全部終わらせて出させなくするって発想はすごいなぁ。


 そんなこんなで、毎日の宿題が久住くんのおかげで、一日置きになったことで僕と音海の犯人探しが幕を閉じた。何かもっと悪い事でも起きていたんじゃないかと思っていたけど、そうじゃなくて良かったよ。


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