第五弾『襲撃は突然に』
【*】
環達は話を終えると理事長室から出ると、相理と鍵子のクラスで転校生として紹介された。その後、クラスメイトからの質問攻めをくらいながらも、普通に授業を受けた。あまりにも普通な時間過ぎて、居心地が悪かった。
それから正門で俺達を襲って来たスーツ姿の男達は、凍木家のボディガードらしい。
彼らはが襲ってきたのは、羅刹の差し金だったらしい。
「全く相変わらず迷惑な話だな」
そう言って環は外を眺める。
「ちょっと!」
突然後ろの席の鍵子が話かけてくる。
「なんだ?」
「生徒なら窓見て無いでちゃんと授業受けなさいよ」
「って言われてもな」
環はめんどくせぇと思いながら、何か言い訳を考えながら、窓の外を見ていると。
ビシッ!
刺すような殺意を感じた。
環は鍵子に覆いかぶさる。
「伏せろ!」
「え?」
パキッ。
そんな音が聞こえ、環はガタガタと崩れ落ちる。後ろを見ると、窓ガラスに穴が開き、その穴を基点に罅がクモの巣の様に入っていた。
どうやら背中を打たれたらしい。
「イセ! 『オープンコンバット、エスケープスナイプ』!」
環が叫ぶと、エインセは跳ね起き、環を退かし、鍵子を担いで、教室を出る。
今の言葉は【SKR】で、ミッション中に使う合言葉みたいなものだ。
生徒と先生は、何が起きたか分からず、混乱していた。環の背から血が溢れ出て来る。
「お兄ちゃん!」
相理も動揺していた。
環はその様子を見て、叫ぶ。
「落ち着け!」
他のクラスメイトはそれを聞いて黙る。
「よしよし、とりあえず静かにしてろ。後、こっちの窓から離れろ。今すぐにだ!」
それを聞き、クラスメイトに動揺がはしる。
(めんどくせぇ)
「はいはい。お兄ちゃんの言う事聞かないと、死んじゃうよ皆。死にたくないなら騒がず急いで行動しよう」
相理は動揺を振り払えたようだ。相理の言葉を聞き、クラスメイトがいそいそと、窓から離れる。環はそれを確認して、窓際の壁にもたれかかり、鞄をそばに寄せ、中から双眼鏡を出す。そして窓に小さく頭を出し、双眼鏡を除く。
見ると、廃ビルの上から狙撃手がスナイパーライフルを構えていた。狙撃手は一人。しかも今は、鍵子を狙うのに必死で、こっちに気付いていない。
(距離は……五百メートルって所か。よし)
環は、傷口を止血しながら、左耳の無線を弄る。
「こちら【八〇一】より【八〇五】へ。応答を」
『はいはい。やっと連絡きた。待ってたよ』
「現状を報告してくれ」
『ほいほいっと。現在【八〇二】と【対象】は五階で、狙撃を上手くかわしながら、逃走中』
「了解。現状を理解した。【八〇三】は【八〇二】のサポート」
『【八〇三】、了解でやがります』
「【八〇四】は俺の所に来てくれ。サポート頼む」
『【八〇四】、了解』
「それから【八〇五】は【八〇二】を理事長室に誘導しつつ、ポイント【F-7】に向かい、これを封鎖しろ。狙撃犯はここで撃滅する」
『【八〇五】、了解』
環は各員に指示を告げると、ニッと笑って宣言した。
「では、『オープンコンバット』だ」
『『『了解』』』
【*】