第四弾『依頼内容は護衛という名の撃滅』
な、何言ってるんですか。い、依頼内容は護衛ですよ!(挙動不審)
【*】
「ん――ん? ん? ここは?」
環が目を覚ますと、知らない内にソファに寝かされていたようだった。
「理事長室だよ。お兄ちゃん」
環の無意識に言った問いに、相理が顔を近づけて答える。
「相理か、久しぶりだな。さっきは挨拶代わりの落下タックルをどうもありがとう」
環は頭をブンブン振って目を覚ます。
「ワザとじゃないって!」
「はいはい。分かってる、分かってるから」
「ぶ――」
相理が頬を膨らませているのを見て、環は久々に頬を緩ませ笑顔を見せる。
そうしていると、先ほど環に竹刀を向けていた少女が、警戒するように環を見ていた。
「よう。竹刀娘」
環がそう声をかけると少女は、声をあげて抗議する。
「誰が竹刀娘ですか! 私には凍木鍵子という名前があります!」
ガルルルル!
(まるで、警戒した犬だな)
「鍵ちゃんは生徒会長さんだよ。ついでに私の親友」
「はいはい。そうかい。イセは……寝てるし」
鍵子と名乗った少女と愛理の補足を軽く聞き流し、キョロキョロと周りを見るとエインセは、向いのソフ
ァで、スヤスヤと寝ていた。
「さてと、で、噂の理事様は?」
相理に聞くと、相理はケタケタと笑い、理事長の席を指刺す。
そこには腕を組み、鼻提燈を揺らしながら、寝ている環の父親、大門羅刹がいた。
環があぜんとしていると、羅刹の鼻提燈が割れ、目が覚める。
「んあ? おお、起きたか。馬鹿息子」
「クソ親父。あんたが理事か」
親子二人して罵りあう。
「おお、組織のリーダーなんて口の利き方だ。【八〇一】、【黒弾】」
「都合の良い時は親で、都合の悪い時は組織のトップか、相変わらず清清しいほどクズだな。【〇〇一】、【羅刹鬼】」
今度は上司と部下として罵り合う。
「ケタケタケタ」
相理はそれを見て腹を抱えて笑っていた。
「というか、この話、こいつ等の前でしていいのか?」
環は、羅刹を睨んで聞く。
「相理は、この前、色々あってバレた。で、凍木さんは今回のお前らの依頼人だ」
「はあ?」
その話を聞いて環は固まる。
そして相理は舌をべぇ――っと出した後、にぃと笑った。
「ッ!?」
その笑みに、旅をしていた時に会った、ある者の笑みと似た何かを感じた環は相理が心配になる。
(ひょっとしてコイツ、ヤバイ方向に成長してねぇだろうな)
そんな事はありえないのにそう心配してしまう環だった。
【*】
依頼内容は変わった物だった。
どうやら、鍵子は一度、殺し屋に攻撃されたらしい。
つまり、任務内容はその殺し屋の居場所が分かり次第、これの撃滅。
しかしそれが分かるまで、鍵子の護衛を任せたいとのことだった。
護衛任務と言えるものか定かではないが、逆に【SKR】らしい任務内容だった。
【*】