覆水盆に返らず
勢いで書いております。乱筆ご容赦ください。
巨大な木の根元。
私は生まれ落ちて、すぐにオークに犯される。
絶望の中孕み、オークの子を産み落とす。
腹を内から裂かれ、生きたまま生んだ子に食われる。
そして気が付くと、また木から生まれ落ちる。
この地獄より前に覚えているのは、人が死んでいる光景。
見覚えのある男性と女児。
女児は首がもげ、その首を抱えた男性は下半身がなかった。
…私は彼らを知っている。
大切な…
オークにレイプされ、食われる激痛で引き戻された。
もう何度目なのか。
オークの顔を見た。
知性の感じられない目。
しかし、見覚えがある。
意識を失う前に、自分が何をしていたのか思い出した。
不倫相手の車に乗っている。
離婚が成立し、親権を失って慰謝料と養育費まで払う羽目に陥った。
相手男性も1000万近い金額を支払うことになった。
ずっと俯いていたから判らなかったが、猛スピードで交差点に突入、何かを跳ねたらしい。
急ブレーキ、停車。
彼は車を降り、絶叫。
私も…
ああ…
思い出した。
思い出してしまった。
元夫と、娘。
『盛るあまり大切なものを捨てて壊す。これほどの背徳もあるまいよ。背徳の相手とともに相応しき地獄に行け。』
そうだ。
これは因果応報。
その時ふと声が聞こえた。
『思い出したようじゃな。時を戻してやろう。』
気が付くと、ピクニックの出先だった。
忘れもしない、この翌日に私はふらっと蹌踉めいて不倫にはまったのだ。
もう絶対にしない。
ふと気付く。
私を見る夫と娘の目。
汚物でも見るかのような、冷たい視線。
「な、何よ。」
娘は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
夫は苦笑して娘の頭を撫で、私に言った。
「あのクソヤロウと俺達を轢き殺したこと、忘れてないからな。」
私は目の前が真っ暗になるのを感じた。
私の地獄は終わっていなかった。
むしろ、始まったばかりなのだろう。