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タビガラス ──七獣と呼ばれた者達──  作者: 28円玉
壱章「七つの獣の意味」
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壱章・巻弐「嘴は血塗れ闇を喰らう・前」


「さて……もう頃合だな。

 爺さん、図を頼むわ」

「とっくに用意しておるわい」


時はすでに夜。

仕事に動く煉侍の要求を穂影はいとも簡単にそれに応える。


信頼関係のなせる業だと、白雨は瞬時に悟った。



「東郷、兵数は?」

「歩兵160は全員機関銃と短刀を装備。

 あとはヘリ20と大砲50くらいだな」


「志郎、標的は?」

「ん…この地図だとこのでかい部屋っすね。

 天井裏は赤外線張ってますから

 下からのほうが大いに有利っすよ」



問いかけに返すのに要する時間は10秒以内。

信頼ゆえになせる業であり、信頼ゆえにまた

彼らもそれに応えようとする。

そうした人間関係が「七獣」の武器であると瞬時に白雨は悟り、恐怖した。



「もし彼らと戦おうというならば、国1つでも勝つことはできない」と

その時本気で悟ったという









────所は変わり、真島亭。


「さてと、烏の仕事といきますか」


烏の面と黒いマント。

仕事着であるマントを翻し、煉侍が動いた。



「なぁ、なんか物音しねーか?」

「まさか!そうだとしても鳥かなん……」


「……!?首がな……がはっ!?」

「てめーらに怨みはねぇさ、だが邪魔になるなら

 烏はその嘴でてめーらを喰うぜ」


刹那の出来事だった。


門番である片方の首を瞬時に切り落とし

もう片方の背後に回った後、腹部を銀の刃が貫いた。


血飛沫が黒い服を汚し、刀もまた赤く染まるってゆく



「……このレベルか。俺である必要もなかったが………

 ”殺し”は烏の俺が一番似合う」


何の警戒と思考もせず門を開け、中へ進入する。


その瞬間、警報が鳴り響く。

煉侍があたりを見回すとそこには50を裕に超える歩兵。

上空にはすでにヘリも待機している


「ほう、待ち伏せか?面白いじゃないか……なら、教えてやるぜ

 てめーらの行為が、どれだけ無謀かをよォ!」


その言葉を合図に、1対148の小さな戦争が始まる。



一番槍をと、意気込んだ若い兵士がいた。

あわよくば首を得て一気に昇格を狙ったのだろう。


ただ、その願いは叶う事はなかった。

すでに、血塗れた刀は両腕を切り落としていた。


「ぎゃああ…あがっ!?」

「煩い、気が殺がれる」


後頭部から口に書け刀を貫き一人を殺す。

その光景が一気に周りにいる残りの兵士の士気を削いだ。


「……烏はしぶといぜ?それでいて強欲だ。」


煉侍はそう呟くと、屋敷へと歩を進める。

兵士は通さんと言わんばかりに銃を構え突っ込んでゆき

ヘリもまた取り付けられた銃口を煉侍に向ける。



しかし、それもまた煉侍を討つどころか

ことごとく悪戯に命を散らせていく。



ある者は、ヘリを落とされその爆発に巻き込まれ。

またある者は無残にも頭を半分に割られ、血飛沫を巻きながら死に。

またある者は、頭をつかまれ、地面に叩き付けられた後に半身同士を泣き別れさせられて。



「烏」。

それが現在の大将格である「北風 煉侍」の名乗る獣。


しぶとい神経でありそれでいて強欲。そして知恵が高い。


言い表せばこの一文で済むが、彼の場合はそうではない。

しぶとさはそのままに、自由でありそれでいて誇りを持つ。

そして、仲間への義は貫く。


それが、彼が「烏」の名を得た理由。

自由奔放で、あらゆる角度から攻撃を放ち、避ける。


その手に持つ銀の刃は嘴。

闇を喰らう、血塗れた嘴でしかない。


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