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タビガラス ──七獣と呼ばれた者達──  作者: 28円玉
壱章「七つの獣の意味」
3/13

序章 「再集結・参」



「……さて、じじい。そろそろ本懐を教えてもらおうじゃねぇか?」

「ただ集まって飲むだけなら僕ら”全員”を呼ぶ義理は無いからね。

 ……特に煉侍を呼ぶとなると、それ相応の事なんだろう?」

「けっ、かわいげのないやつらじゃ」


あっさりと本懐を言われ、へこむと同時に悪態をつく穂影。



「……ま、隠し立てする必要もないな。

 では、単刀直入に言うぞ。新政府がわしらの力を求めてきた」


その言葉と同時に全員が驚愕の表情を見せる。


それもそのはずだ、新政府とは言え一度危害を加えられた身。

その謝罪もなしにまた力を貸せ、というのは虫が良すぎないか

穂影を除く6人が同じ考えを起こした


「……この言葉だけじゃ納得はしてくれんじゃろうな。

 首相殿、お入りくだされ」


カウンター奥、穂影の部屋に本来通じている扉から誰かが出てくる。

その光景に、6人は息を呑んだ。



穂影に「首相」と呼ばれた者は、あまりに若すぎたのだ。




「はじめまして…になるでしょうか。

 すでにご存知かも知れませんが、僕は雪雨ゆきさめ

 ……今、この国の首相をやらせてもらってます」

「こいつぁ驚いたな……こんなガキたぁ思わなかったぜ」


首相である雪雨の本来の姿を見て

志郎がつぶやく。



「まぁ普段はソリッドビジョンですから……そう思われるのも無理は無いですね」

「本懐に入れ、無駄話は時間を食う」


苦笑いで答える雪雨に遠慮なく藤次郎は釘を刺す。

それにつられ東郷もまた愚痴をもらした。


「ごもっともだ、まだ社が親離れしてないんでね

 上役だけでまとまるかいまいち不安なんだ

 できれば早くそちらの要求と目的を話してもらいたい」

「東郷、首相相手に失礼じゃろうg

「いえ、いいんです。僕は東郷さんに比べればあまりに若いですし

 世間のこともまったく知りませんから」


穂影の口をやんわりと白雨はふさぎ

すぐさま本懐を話し始めた



「現在、この国の政権は僕ではなく大臣である間嶋にあります。

 それを危惧して僕は対策を練っては見ても若さゆえに

 まともに策を見られることは無かった。

 ……そして、この組織の。「七獣」の存在を知りました。

 父も、母もいなくて……もう、頼れるのはあなた方だけなんです!

 どうか、どうか僕に力を貸してください!」



途中でほほを涙でぬらしながら、白雨は語った。

その本懐を、その思いを。



「………そうかい。」


長い沈黙の後、最初に口を開いたのは煉侍のそっけない言葉。

それに反応し白雨も気を落とすものの……


「………俺らを「また」動かすんだ。報酬は高ぇぞ?」


その言葉に顔をふっ、と上げ涙を袖でぬぐう。



再び「七獣」は政府の元に集う。


速き足となり、鋭き牙となりて敵を撃つ『白狼』

ほむら 藤次郎とうじろう


ただ静かに待ち、燃える心を秘めて敵を撃つ『紅蜥蜴』

草陰くさかげ 志郎しろう


海のように舞い、手早く動き力強く相手を喰らう『青鯱』

東郷とうごう しん


敵地へと侵入し、誰よりも速く相手を叩く『桃鼠』

白崎しらさき 礼菜れいな


知を巧みに使い、司令塔として他を支える『黄猿』

穂影ほかげ 禅持ぜんじ


力と知を両立し、人と人とを繋ぎ、騙す『緑狐』

平崎ひらさき 朽葉くちは


当ても無く止まり木を探し、気まぐれに空を舞う『旅烏』

北風きたかぜ 煉侍れんじ


7人の老若男女は再び集った。

再び、輝かしい国の未来のために。


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