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タビガラス ──七獣と呼ばれた者達──  作者: 28円玉
壱章「七つの獣の意味」
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壱章・巻八「鼠は潜る、小さな綻びから・中」


「わー…新しいぬいぐるみ増えたね!」

「でしょっ!れいちゃんに真っ先に見せたかったんだ!」


そう言うと雪菜はベッドにおいてある大きな熊のぬいぐるみを手に取り

嬉しそうな表情を浮かべ礼菜に見せる。



「すっごーい…!」

「えへへ~おにいちゃんに買ってもらったんだ」


ピクリ、と礼菜の眉毛が動いた。

そしてすぐさま長考し始める。


(…待って?たしか彼女のお兄さんも小学生だったわよね?

 それにこの家庭は結構ドロドロしてたはずよね……両親は

 優秀な兄しか見てないし、私やお兄さんが彼女の味方…………

 か、完全に失念してたわ………星が彼女のお兄さんの可能性を!)

「れ…れいちゃん?どーしたの?」


礼菜の異変に、心配そうな表情を浮かべて雪菜が顔を覗き込む。

その言葉にハッと礼菜も我を返し笑みをそっと浮かべた


「う…ううん、なんでもないのよ」

「そ、そっか!よかった~♪」


(この子…純粋無垢だ。まるで人を疑えないし、両親から

 虐げられるのも全部自分のせいだと思ってる……

 どうにか、この子を開放してあげたい……両親をどうにかするのが先決だけど

 私達の権限でも殺人は必要外はいけないもの…)


雪菜の笑みを見て、また礼菜は思う。

この子を救いたいと、そしてこの子を幸せに導きたい、と




───丑三つ時、草木も寝静まった深夜。



「……と、言う訳なんだけど。どうにかできない?」

「…………9840」


ん、と礼菜が小さく声を上げてダイヤルを調整する。

途中で「ザザ……」とノイズが走ったが、先に調整に集中する。


「……やられてたね、盗聴」

「どうやら星だろうね、まだ序盤だから何とかなったが……

 しかしいい腕だな、僕の社に引き込みたいくらいだ

 とと、その子の両親の件だが……」


 つらつらと無線の傍ら書類を持って調べたことを東郷が話し始める


「典型的なできちゃった婚だね、しかもどっちも元々祖業が悪かったようだ

 父親のほうはまだマシなほうだし、まだ更正させれっけど……

 問題は母親かな、博打と金、ブランド物に狂ってる上に最近は貢いだりしてるね

 黒井君から相談まで僕は受けてたしね……」

「ま、まさかの貢いでる相手がホストじゃなくて黒井さん……

 驚いたわ……さてと、それじゃ親はお任せするわ

 私は…お兄さんと決着つけてくるわ」



プツッ、と無線の電源を切り浴室から礼菜が出てきた。

無線を使う個室として最適の場所だったようだ。



「さてと………どこまで通じるかはわからないけど、試してみましょ」


手をトントン、と格闘家のように鳴らすと雪菜の兄の部屋へと歩を進めた

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