始まりの軌跡
魔力量が絶対のこの世界で、主人公の魔力はというと...
どうしてこんなにも魔力量は少ないのか?
そして男の子...の正体は一体いつ明かされるのでしょうか..
この世界は魔力がすべての世界である...
窓から差し込む朝日が彼女の頬を照らした。彼女は起き上がろうとして、また寝ようとする。それを母は知っていた。どすどすと階段からあがってくる母の足音がだんだん近付いてくる。彼女がいるドアの近くまできたところで、何かが聞こえてくる。
「ウォーターアロー...」
彼女は起きている風を装いながら必死に言い訳をー
「もー起きてるよっ!髪もきれいにしたし!制服もきたし!それから...そう!寝巻きも脱いだ。」
悪あがきは通じず、ドアが開くと同時に彼女の耳元に声が響いた。
「左に首をかしげてみて」
言われた通り彼女は左に首をかしげた。
「バシャーン」
母はこの部屋のいっぱいの空気を持っていくようにため息を付く。
「はあーーーーーーーーーーーー」
これは日常茶飯事なので母はいたって冷静にみえた、見えただけだった。母の鋭い視線は彼女を強張らせる。
「だってだってだってだって」
彼女も母がこうなるのはわかっていた。理由はシンプルで彼女は魔法がまるで使えないのだ。
母は心配で仕方なかった。
なんといってもこの世界は魔法がすべて、魔力量で将来が生まれた時に決まると言われている程であるから。
母は声を大きくして言う。
「少しは魔法結界を使って交わしなさいーーー!」
それができたら苦労しないだよという顔で
「はあーーーーーーーーーーーー」
このため息は母親譲りなのかもしれない。
彼女の名前はシモン●クリスティ、母の名前をシモン●パンジーという。シモンという姓は魔力の階級を表し、その他に上から順にベロッサ、スフィンゲル、アルドス、サイトロンと並び、シモンは上から三番目に位置する。
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今日は彼女が通うコルネリア●精霊学校最初の登校日である。だが当然のように彼女は飛行魔法が使えなかった。
私だって魔法を使いたいのにという顔で
「はあーーーーーーーーーーー」
辺りを飛び交うであろう登校中の生徒は彼女をみてこう思う。
「何で飛行魔法使ってないんだろう?」
おまけに空を飛べなくなったおじいちゃんやおばあちゃんからは
「お嬢ちゃん、具合悪いのかな」
と言われる始末。
それもそのはずでこの飛行魔法は5才で使えるようになる魔法であるのだ。つまり、クリスティは五歳以下とおもわれるか、具合が悪いから使っていないのか、どちらかで思われるのである。
とぼとぼ下を向いて歩く彼女の先に一人の男の子が絵本を読んでいた。
タイトルが目に飛び込んでくる。
「終焉を呼ぶ、悲しい魔女」
この絵本は彼女との共通点多さから、感情移入してしまうので、もちろんクリスティもしっての名作。
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終演の魔女は最初はただの女の子で、強い魔女になることを夢見る少女。彼女も魔力がほぼなくて、でも親と兄弟に囲まれて幸せだった。
でもいきなり生まれた男の子にその幸せは一瞬にして奪われる。結果的に彼女は次第に魔法を使えるようになる。だが人を傷つけるために魔法を使うようになってしまう悲しい物語。
私も人を傷つけるくらいしないと....いやだめだ。
いきなり頭が痛くなってしまうクリスティ。
本を読んでいる男の子が近づいてきて
「お姉ちゃん大丈夫っ!」
言われて男の子をみる彼女は気になって気になって
「それって終焉の魔女だよね!」
と勢いよく聞いた続けて
「生まれた男の子の正体って!」
男の子は大きく頷いて
「そうそう」
二人はその本に夢中になっていくのだった。




