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しょうがないなぁ

作者: kno

私たち人間よりも短い動物たちの一生

私たちの一瞬と彼らの一瞬は全く違います。

そして失ってからの喪失感は言葉になりません。


※少し読みにくいかもしれません。失礼いたしました。

ガラガラガラガラ


勢いよくひらく玄関からタッタッタと小さくて軽い足音

学校終わりなのに元気だねぇ



「ただいまぁ〜!」


___おかえり




私が誰よりも1番最初に

おかえりって言ってるの気づいてる?





「おかえり。さきに手洗ってうがいして。」

「うん!あんねぇ今日ね体育でなー......」

「うんうん、そんで......」



___はやく来ないかなぁ




「ただいま!」

___うん、おかえり



「散歩いこか!」

___待ってました



「ふん♪ふん♪」

___さっきの話私も聞きたいな



「よし!今日は近道しよ!」

___えぇぇ......




お友達とゲームの約束してるのかな?

今日のお散歩はもうおしまい...残念





ガラガラガラガラ


勢いよくひらく玄関からタッタッタと軽い足音とスッスッとおっとりした足音

物足りないって顔したあいつに聞いてみる




___今日はどうだった?


             ___近道コース


___まじかぁ...




今日はゲームかな

走りたい気分だったのに。

まぁまだ小さいし。



「次!散歩いこか!」

___そうだよはやく。いっつもボクが2番



「ふん♪ふん♪」

___今日はご機嫌だね。いい事あった?



「ん?どうしたん?そっちは遠いで。」

___もう少しだけ遠く行きたいな。話ししてよ。



「帰るのな遅なる!こっち行こ!」

___そうだね。暗くなる前に帰らなきゃ。




まだまだ君は小さいもんね。






「2人ともーご飯やでぇ!」

___なんでここでもボクは2番目なんだ


 

       ___やった。今日は大盛り♪






ヒックヒックヒック...


「あんたみたいな悪い子もう知らん!」

「うわぁぁぁあん!」



お母さんの激しい怒鳴り声としゃくり上げるあの子の泣き声

こういうときはあの子は決まって、私たちどちらかの小屋に入ってくる




___また泣いてる


      ___可哀想に。少し厳しすぎるよね


___家飛び出さないといいけど...


     ___もう外真っ暗だ。こっちに呼ぼう





「ヒックヒックヒック、今日ここで寝る。」



___いいよ......あれ?中に来ないの?


         ___俺らの間に来ちゃったよ


___こういうときは......ほらあんたも来て


               ___よっこいしょ



でもだいたい私とあいつのそれぞれの小屋の間に行くから

最後はこっちからあの子にくっつきにいくの






「あんたいけんの?重いで?」

「大丈夫やって!任せて!」



___あーダメだよ!私たちを抱っこなんて


      ___俺ら大きいからやめときなさい



「っはい!ほら?」

「おー意外といけたな。」

「意外とってなんや。」



    ___......できちゃった

    ___......できちゃった




「散歩の時間!」

「あ!行ってきます!」

「ちょっ!2匹まとめて行くん?

危ないからまだはやい!」

「もういけるって!」




___一緒に散歩初めてかな?


          ___確かに。大丈夫か?


___お互いあんまり引っ張らないように。


                ___了解。





「ふん♪ふふん♪ふん♪」




___いつの間にか


           ......大きくなったな




見上げても顔、遠くなっちゃったね

お姉さんになったね




      歩く幅も大きくなったね

      ボクの方がペース落ちちゃったや




「......幸せやったよ。2匹とも。

あんたが1番構ってあげてたから1番懐いてたし、大好きやったよあんたのこと。」


「............。」


「凄い長生きやったやん。

18歳と19歳やで。」


「............。」


「それにあの子らがご飯食べられへんくなった時、あんたが小遣いはたいてご飯に色々混ぜたりして工夫したらしばらくまたよう食べるようになってたやん。あんた偉いよほんまに。」


「.........ヒック。」


「だからもう切り替えて。

小屋も捨てて、その首輪とかもずっとあの子ら付けてたやろ?ちょっと不衛生やから一緒に燃やそ?な?」


「.........嫌や。」






「...わがまま言わんといて。」







「っ!嫌や!」








           ___やっぱ俺は2番目か



___あれ?はやかったねぇ



        ___むしろ粘ったよ。年上やぞ。




___そうやね。...どうやった?あの子




             ___ぐっしょぐしょ。



___やっぱりかぁ

...もう少し居てあげたかったな




     ___最後に頑張って遠吠えして

    あの子に「大好き」だよ言ったけど

    伝わってるかな?




___...どうかな?泣きすぎてて

私も「大好き!」って必死に声上げたけど



        ___......少しだけ会いに行く?



___賛成♪






___おっ!あそこにいるぞ

       扉の仕切りガラスで良かったな



___...あんた毛白いから見えるかもよ?







「ヒック...ルナ...シン

ごめんな......。ごめんな。」



会いたい

撫でたい

声聞きたい

いっしょに寝たい



もっと

名前呼べばよかった


もっと

いっぱい散歩するんやった


もっと

話しかければよかった




もっと

もっと

もっと







    ___......しょうがないなぁ

    ___......しょうがないなぁ





いつも「しょうがないなぁ」って顔で

気分で散歩コース変えるとことか

ご飯ひっくり返すとことか

夜、急に忍び込んだりすることを


許してくれてたんだ




なんで今更......

こんなうちの事なんて...2人とも





     ___......大好きだよ

     ___......ありがとう





ガタガタ



「えっ?」


ガラスの仕切り扉から音がして、振り返った。



ガラスの向こうで

黒い影と

白い影が

くるっとまわったのを見て



「っルナ!?シン!?」




急いで開けたけど、そこには何もいなくて


ただちらっともう居ないはずのあの子たちと

目が合ったような気がした。



命を飼う、共に過ごすということを改めて考えます。

物語の子達の心の声はあくまで理想ですが、気持ちをまっすぐに返してくれる動物たちが大好きです。


評価、コメントお待ちしております。

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