第1章
狡猾な魔女シリーズ第一弾
麗しき令嬢は
鏡の中に
1.5巻 強かな少女は策と共に
第1章
私の名前はメアリ。
名前が無かったり、二つ名で呼ばれていた時期もあったりしたが、今はメアリを名乗っている。
・・・いや、名乗らされていると言った方が自然なのかもしれない。
ともかく、色々あったが、今はここ、コルレアのブランカ伯爵邸に雇われている。
・・・メイドとして。
随分長い間生きてきたが、メイドをやるのはこれが初めてだ。
メイドと言っても、私の仕事の本質は、家事や掃除ではない。
勿論それもやるが、元居たメイドたちだけで十分間に合っている。
私の仕事は、このブランカ伯爵令嬢、メアリー嬢様の護衛だ。
だけれども、正直言って、メアリー嬢様に護衛は必要ない気がする。
メアリー嬢様は、貴族にしては珍しく、魔法が使えない。
魔力はみなぎっているのに、魔術に対する適正が皆無なのだ。
だが、メアリー嬢様にとってそれは、ハンデにもならない。
メアリー嬢様の戦闘能力は正直言って、並の憲兵よりも高い。
幼いころから、自ら屋敷の近衛兵に頼み込んで、鍛錬してきたそうだ。
・・・このエピソードだけで薄々感づいてしまうだろうが、メアリー嬢様はかなり「変」だ。
その「変」なメアリー嬢様は今、私の目の前で、何故か熱心に陶芸をしていらっしゃる。
大広間にある、大きな花瓶を見ながら、大きな何かを陶芸で作ろうとしていらっしゃる。




