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俺の疑問

 俺は学校に到着した、校門にスミレ先生が立ってる。


 「なんとか間に合ったみたいね。ほら、教室入りなさい」


 「うえっ!?先生どうやって先回りしたんだぁ!?」


 霧矢が驚いてるが・・・原因はあんただ。急にふら〜っとどっか行くんだもん。


 「おーす!!先生さっきぶりだねぇ〜」


 後、飯綱、こいつも原因。こいつもまーあっちこっち行きまくるのよ。


 そんなこんなで教室イン。なんだかんだで普通の日常が始まりましたとさ。


 今朝のスミレ先生の異様な雰囲気は消え、普通に授業してる・・・にしても、時を止める力か。零羅たちに話した方が良いのか?いや、そもそも俺は本当に時が止められるのか?分からんな・・・


 ただ、先生は本当に止めてたのは事実。あれは夢でもなんでもねぇ・・・あ、夢と言えば今朝見たあの夢。それ聞いてみるか、やっぱり昼休み零羅んとこ行こ。


 そして昼休み。


 「なぁ零羅、ちょっと聞きてぇ事あんだけどさ」


 「三日月さん?はい、なんでしょう?」

 「んおー?」


 「いや、今朝変な夢見てさ、バカ姉がなんかその、目撃者?ってのに関係あんのかなって思ってよ」


 「変な夢、ですか?」


 「おぉ、その夢ん中に三上がいてさ。空が真っ赤に染まってて誰かと対峙してたんだ。んで、そいつは三上にゲームをしようって言って目が覚めたんだけど、ゲームと言い三上と言い、なんか関係あんのか?」


 改めて思うけど、俺なんつー訳わからない話してんだろ。見たのは夢だろ?けど、零羅は真剣な表情で俺を見た。


 「その景色・・・あの時の?三日月君のお姉さまの事は三上さんから聞きました。三日月君のお姉様は桜蘭さんを知っていたのですよね?」


 「あぁ、夢ん中にもそいつの名前が出てきてた。あいつ、その桜蘭って奴に指示出してたな」


 「そうですか、おそらく三日月君の見た夢と言うのは恐らく、記憶だと思います。誰のかは分かりませんがわたくしたちが今、この世界でこの戦いに巻き込まれている原因はその時の出来事。


 第二次世界独立戦争と呼ばれたあの戦いでわたくしたちは・・・認めたくありませんが、彼に敗北しました、指宿 永零さんに。白い髪の人です。三日月君の夢にも出て来たのではないですか?」


 見た・・・話が飛びすぎてるのに、付いて行ける俺が怖い。そして零羅の表情からすぐにわかる、零羅はその戦争を本当に経験した。でなきゃそんな顔できる訳ない。


 「やはり、見たんですね・・・永零さんは少し特殊な力を持っていまして、それこそ神様に匹敵する力を持っています。そして三上さんもその力の半分を持った存在らしいのです。


 永零さんの目的はこの世界の存在全てを抹殺し、その命を永遠にさせて復活させる。一度死を全ての人が経験する事でその苦しみを知り、二度と過ちを犯さない世界にする事が目的らしいです」


 「なんだそりゃ・・・って事はあの化け物は」


 「そうさね、あのバケモノはこの世界のみんな殺しにきた奴なんだ」


 あのいつもぽやんとしてる飯綱ですらこの面持ちだ。俺たちの世界、こうもギリギリのとこまで・・・あれ?昨日、父ちゃんが似たような事を・・・


 「ふーん・・・ならその永零って奴は今何処にいんだ?」


 「それがこのゲームのルールなのです。指宿 永零に到達し、倒す事。わたくしたちはあの戦いで敗北しましたが、三上さんは諦めませんでした。そして永零さんは言っていました、互いに手を取り合うには心の底から認めさせるしかないと。その為のゲームだと。


 わたくしたちに課せられたゲームのルールは、この世界にやって来る脅威を全て排除し、七つの鍵と言うのを見つける事。猶予は一年、そして昨日そのゲームの開始が宣言されました。つまり、来年の今日、四月二十八日に全てが決まります」


 零羅は言い切った。つまり1年後、このままいけば俺たちは全ての人類がその永零って奴の思惑に呑まれて人類は滅びる。


 「・・・三日月君はどう思われました?もう二度と死ぬ事が無くなる世界がやって来る。それが一年後に来ます」


 零羅の奴・・・成る程、あえて俺に全部話してくれたのか。で、やっと理解出来た。


 「うーん、小学5年生の俺から言わせてみれば、余計な事すんじゃねーだな。言っちまえば、全人類があのバケモノみてーになっちまうんだろ?そりゃやだね。それに、先生にも頼まれたんだ。三上の味方してくれってよ」


 俺は零羅に懐中時計を見せた。


 「それは!!?」


 「そう言うこった。とにかく俺はその永零なんて女に手を貸すつもりはねぇよ」


 「三日月君・・・ふぅ、良かったです〜・・・」

 「うぉ」


 零羅はずっと緊張してたのか、普段見せない顔して机にぐで〜とのめり込んだ。

 

 「わたくしたち、世の中の大半を敵に回したと思ってましたから・・・こんな風にわたくしたちに味方してくれる人がいて・・・」


 「言っちまえば不老不死だもんな。よく映画とかで敵が欲しがってるの見るけどさ、アレ良いか?っていつも思うんだよな。なんつーか、つまらん」


 「わたくしも同感です。それより、先生からは何か力を貰ったのですか?」


 「あぁ、この時計となんか、時を止める能力ってやつ?それ使えるらしいぜ?」


 「と、時を止める!?つまり、ザ・◯ールド出来るんですかぁ!?」


 すんごいキラキラした笑顔になった。さっきまでの神妙な面持ちは何処消えた?てか、この見た目でジョジ◯読んでんの?


 「ロードローラーは持って来れねぇよ?ただ、30秒って話だけどな、アレより21秒も多いぜ?」


 「羨ましいです。わたくしのセカンダビリティはちょっと変わった能力ですから・・・と言うか、力の譲渡の方法はかなり難しいと聞いたのですが、どうやったんです?」


 俺は今朝先生にされた事を思い出した。それと、一瞬見えたあの女の子の事も・・・


 「い、いや・・・よく分かんねえ」


 「? 三日月さん、顔赤いですよ?どうされました?」


 「なんでもねぇよ」


 俺はとにかくはぐらかした。


 「あのさ、みかつき〜、話戻るんだけどさ」


 飯綱が眉をへの字に曲げて何か言いたげだ。


 「三日月な?飯綱、なんかあった?」


 「フツーにスルーしてたから言うけど、永零兄ちゃんは男だよぉ?」


 ふーん・・・ん?


 「え、女じゃねぇの?」


 「男だよぉ!!確かに礼兄ちゃんに雰囲気似てて、女の子の格好させても似合ってるけどさぁ!!一緒に風呂入った時ちんちん付いてたから男だよぅ!!」


 一緒に風呂って・・・


 「まぁ、確かに遠目から見たら少年かと思ったけどさ、夢の終わりに間近で見たんだ、ハッキリとな。あの着物みたいな服の隙間、アレ完全におっぱい付いてたぜ?風呂上がりのバカ姉よりデカかったから、確実に女だろ」

 

 「えーっ!?男!!」

 「いや女!!」


 どう言う争いしてんだ?けど、なんか火が付いたから止まらねぇ。


 「・・・三日月さん、今、永零さんを間近で見たって言いました?」


 また零羅が今度は少し冷や汗気味になってる。


 「あぁ、言ったけど?」


 「わたくしたちは全員、あの戦いの後永零さんがどうしたのか覚えていません、そして永零さんの近くには誰も居なかった。一番近いのは三上さんでしたが、その後空が光って・・・あの時、永零さんが何をしたのか見た人は誰もいないのです。あの先の出来事を覚えているのは三日月君、あなただけ・・・三日月君!!!!」


 零羅が突然大声を上げて、ざわざわしていたクラスが静かになった。


 「わたくしと!!付き合って下さい!!!!」


 そしてクラスが一斉にぽかーんとした。


 「はい?」


 「ですから!!ちょっと放課後わたくしと一緒に来てください!!」

 『♪♫♬まもなく、掃除が始まります。校庭で遊んでいる人は・・・・』


 零羅の突然の告白の直後、掃除のチャイムが鳴った。


 「と、とりあえず俺トイレ掃除だから行くわ」


 「分かりました。放課後来て下さいねー!!」





 掃除時間


 案の定同じトイレ当番の霧矢に弄られた。


 「いいなー三日月〜告られてさー。で?付き合うのー?」


 「アホか、なんか俺に用事があるだけだろ流れ的によ。そもそも俺の好みは・・・黒髪で、ボブカットで、身長は俺より高くて・・・」


 ほんとあれ誰だ?なんか、頭から離れない・・・


 「すっげー細かいな。俺はおっぱい大きい人が良い!!あ!!スミレ先生も黒髪ボブでおっぱいでかいぜ!?」


 「いつ俺が巨乳好きになったんだよ、つーか、先生は大きすぎだ」

 「おっぱいが?」


 「し ん ち ょ う!!てか!手を動かせや!掃除時間終わっちまうだろうが!!」


 どんだけ巨乳が良いんだよ。


 「かぁちゃんみたいなこと言うなー」

  

 「俺案外綺麗好きなの!整理されてない部屋見るとこう!!むかーってなる!!」


 バカ姉は部屋が汚い、毎回足の踏み場が無くて困る。


 「すげー!今度俺の部屋掃除してくれ!!」


 「自分でやれや!」


 いつのまにか話題は掃除の仕方にシフトチェンジした。


 そして5時間目が終わり、今日はもう帰宅だ。


 「なぁなぁ!!今日サッカーやろうぜ!!」


 霧矢がおもむろにサッカーボール持ち出してきた。


 「あのよ霧矢、昼休みの事もう忘れた?放課後、零羅に呼び出されたろうが、だから今日はちと無理だ」


 「えー、んじゃ俺も行くー」


 流石に霧矢をあの変なのに巻き込む訳にはいかねぇよな。つーか、後を尾けるのなら分かるけど、普通に堂々と来る奴があるか?


 「駄目、わりーけど結構重要な話があんの」


 「三日月さーん!!こっちですよー!!」


 噂をすればなんとやら。零羅と飯綱が教室の出入り口で俺を呼んだ。


 「あれ?飯綱もセット?飯綱の奴は良いのかよ、俺仲間はずれかー?」 


 「まぁな、悪いとは思うけど、ちと家のこと的な感じでよ」


 実際の所は話したほうが手っ取り早いんだが、事態が事態だ。考えなしに行動するのはやべーよな。


 「ふーん、なら仕方ね。兄ちゃん遊んでくれるかなぁ。明日進展聞かせろよー!!」


 「はいはい、霧矢こそ寄り道せずに帰れよー」


 「あいよー、あっ!帰りにコンビニ行こー」


 駄目だあいつ、いつもどうやって帰宅してんだ?


 「で、悪い待たせたな零羅」


 「いえいえ、では行きましょう」


 零羅は俺の腕を引っ張った。


 「つか、何処行くんだ?」


 「三上さんの家です。多分、今日完成しますからROD先遣隊の皆さんも揃ってる筈です」


 「なぁ、今朝も言ってたけどよ、RODってなんなんだ?」


 「リヴェンジ オブ デッド。直訳で死者の復讐と言う意味のわたくしたちが所属してるあのバケモノたちと戦う組織の名前です。その頭文字を取ってRODと呼んでいます」


 なーるほど、ガチで秘密結社なのな、バカ姉が喜びそうな響きだ。かく言う俺も・・・割と好きだ。


 「礼兄ちゃんのお家がここ、にほんのさ!アジトになってるのさね!!」


 あの幽霊屋敷がね。


 俺、現実主義で色々ぶっ飛んでるB級映画はあんま好きじゃないんだけど、それは現実にはあり得ないって思ってたからだ。でも、そんな組織が実際にあるなんて聞いたら・・・面白そうって思っちまうのは仕方ねぇよな?


 俺は三上の家へと連れて行かれた。





 幽霊屋敷、と言うより昔ここで殺人事件があったと言われてる事故物件だ。敷地は結構広くあの間まで雑草まみれだった庭を抜けると洋風の建築が目に止まる。


 零羅はチャイムもノックもする事なく普通に玄関のドアを開けた。


 「おーす!!ただいまー!!」

 「お邪魔致します」


 2人とも丁寧に靴を脱いで下駄箱にしまった。壁に手書きの貼り紙で、『フォックスへ!くつはしまってから、手洗(てあら)いうがい!!』と書かれてる。


 バカ姉も見習って欲しいぜ、いつも帰ったら靴がポイなんだから。しかもちょいと臭うし・・・俺も来客用と書かれた下駄箱に靴をしまった。隣にもう一足、誰かの靴が来客用のとこにある。


 「三上さんは多分地下室にいると思うので、少しここで待ってて頂けますか?」


 俺は応接室みたいなとこで待たされた。一方飯綱は、この小綺麗な応接室のソファにランドセルをポイって投げ捨てた。そしてどっか行ったかと思ったら、


 「なぁみかつき〜、飲み物とお菓子なんかいる〜?」


 「なんかあんの?」


 お盆に麦茶の入ったピッチャーとコーンのスナック菓子を乗せてきた。


 「なんかすげー懐かしいデザインの菓子だな・・・見た事ねぇけど、海外のお菓子?いや、けどパッケージ日本語・・・あっ!!某国のパクリ商品!!」


 そう言えば三上たちは結局、何処から来たんだっけ?鳳小学校って何処だ?


 「ちがうよぅ!」


 否定された。ならここの国のやつか、うん、美味い。あれ?これ麦わら帽子被ったおっさんの・・・カレー味、昔父ちゃんがなんか話してたっけ、もうこの国じゃ作ってないとかなんとか。


 



 「零羅おそいなぁ〜、礼兄ちゃんまだ忙しいのかなぁ・・・あ、ス◯ブラやるぅ?」


 持ってるんかい、飯綱は某ゲーム機を取り出した。やりたいのは山々だけど、今日は遊びに来たんじゃないんだよな。と言うより、さっきから気になる事が1つ。


 「あのさ飯綱、お前なんで帽子被ったままなんだ?」


 いつかツッコもうと思ってた。こいつ授業中も登下校もいっつもこのモコっとした帽子被ってる。


 「んおー?こいつはちょっと訳ありでね〜」


 「あ、日光に弱い病気かなんかだった?わり!」


 「ちがうよう!!おいらそんな吸血鬼なんかじゃないやい!!この帽子はさ」

 「耳を隠す為に被ってるんだ」


 飯綱に被せるようにこの応接室になんか白衣着てる三上が入ってきた、後ろに零羅もいる。


 「ごめん三日月君、待たせちゃったね」

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