sins of the round
三上宅の異世界側に繋がる地下ホール。三上はここに大勢の人を集めていた。
「さてと、議題に入る前に一つ・・・これにて円卓会議は終了するよ」
三上はみんなの前に立ち、まず一言呟いた。
「え、なんで?勿体無い・・・」
それに対してミツキが少し名残惜しいような顔して反論した。
「円卓会議は元々この世界における第三の敵、つまり第三帝国と戦う為に発足した組織。それが無くなった今、組織を続ける必要は無いんだ。ま、秘密結社みたいでかっこよかったけどね。それに伴って、ニード トゥ ノウも解禁するよ。こっから先は隠し事一切なしだ」
「隠し事はなし?三上、ついに見つけたのか?」
神崎が鋭い眼光を放ちながら質問する。
「そう、今朝僕の部屋にカードが置かれていた。数字の羅列が書かれたカード。これは座標、この座標が・・・永零の基地だ」
三上の呟きに周囲はどよめいた。
「成る程、円卓会議を終わらせた理由が分かったよ。いよいよ決戦になるというわけだね」
「そういう事ですアレックスさん。このカードを置いたのは多分一兆君だ。どうやら彼、アレクシアと一つ勝負してコレを掴み取ったらしいね。けど、彼は昨日から姿を消している。既に決戦に向けて準備を始めていると僕は考えてる。
そして僕も、永零との決戦の準備に入る。1週間ほどになると思うけどフランスに向かうよ」
「あ!フランス!?おいら行きたい!!」
飯綱は相変わらず呑気で元気に空気を読まなかった。
「だめ、連れて行くのはキャロラインだ。飯綱とグレイシアは日本に残って」
「ぶー、なんでさ。デートかぁ?」
飯綱はほっぺをぷくーっと膨らませて不貞腐れた。
「いや、ウーネア アダムスを探しに行く。そして、彼女と共にニヒル アダムスを生き返らせる」
三上の発言に飯綱はぽかーんと固まった。
「ほへ?ほへへ!?ニヒルお姉ちゃん!?ってかさ!?礼兄ちゃんが勿体ぶらなかった!!すげー!!」
飯綱は元気な顔で驚いた。
「あ、驚くのそこ?でも言ったでしょ。ニード トゥ ノウを解禁するって。彼女の復活の鍵はウーネアさんが持っている筈なんだ。そして、彼女の存在は永零を倒す鍵になる筈。本来死んだ人を生き返らせるのは僕の義に反するけど、彼女は生き抜いて死んだ存在とは思えない、僕の目指す世界は生き抜く事が出来る世界。理不尽な死を受け入れるつまりはない。
だからグレイシア、飯綱。君たちはここでお留守番を任せたい。それに、君たちにも準備がくる筈だからね」
「んお?準備?なにを?」
「決戦の。多分ニヒルさんを生き返らせれても、完全に取り戻すにはそれなりに時間がかかる。決着を着けられるのは年末になると僕は踏んでる。それまでにそれぞれ更に鍛えておいてって事」
「あいさね!!」
飯綱は元気に敬礼した。
「よし。じゃ次の議題、今回円卓会議の解散であの部屋の存在価値が薄れる事になるけど、あの部屋は防音仕様に加えて電波類も遮断する部屋なんだ。そこで、僕はあそこを『対指宿永零特別作戦室』として運用したいと思ってる。異議ある人はいるかな?」
「「「「異議なーし」」」」
満場一致で可決された。この後も会議は続いた。
翌日・・・
飯綱と三日月は一緒に登校していた。
「なぁみかつき〜、円卓ってどんな感じだったのぉ〜?」
飯綱は円卓のメンバーだった事を羨ましそうに問い詰めた。
「三日月な?いや、大層な名前付いてるけどやってる事はそんな変わらないぜ?せいぜい秘匿情報の先行開示って感じだったな。第三帝国のうんたらかんたらとか」
「なんじゃい、アーサー王とか12人の騎士とかそう言うんじゃないのー?てっきり12人いるならそう言う感じだと思った」
「ちがーう。てか案外詳しいな飯綱、たまたまメンバーが12人なのと部屋が円卓だったからその名前にしたんだってよ」
三日月は飯綱が案外こう言った『お話し』を知ってる事に感心していた。
「昔、よくリリアから読み聞かせてもらったもんね〜。他にもウーネアお姉ちゃんからは『星の王子様』を寝る前に読み聞かせしてもらったなぁ」
飯綱は少し思い出して物思いにふけった顔をした。
「ちゃんと教育されてんのな」
「あん!?おいら教養ねえ奴だってか!?歌もよく教えて貰ったさね!!う〜さ〜ぎ美味し〜い!か〜の〜や〜ま〜!!」
「追いしな?」
飯綱と三日月はそんなボケとツッコミをしながら学校を目指す。
その道中、2人はグレイシアと純恋を見つける。
「「おはよーございまーす」」
「おはよー」
「飯綱さん、三日月さんおはよう。そうそう、彼また道に迷ってたから、送り届けてくれるかしら?」
「あ、おはよー」
純恋はまたフラフラと何処かに行きそうな霧矢を取り出した。
「またか」
「またー。気がついたら家戻ってた!」
霧矢は自慢げな表情だ。
「はぁ・・・個人的に思うけどお前ある意味将来大物になる気がする」
「ん?ありがと!」
「褒めてないぜ?んじゃ、行くか」
三日月が2人を連れて学校に向かおうとした。
(三日月君、これから私は時の力の全てを使う)
「え?」
「んお?どしたー?」
三日月はただならぬ空気を察して振り向いた。純恋がそっと人差し指を口に当てて黙るように三日月に合図を送ってる。
「いや、なんでも」
「ほーん。んでさ・・・」
(あなたの時の力は、少しの間使えなくなる・・・ちょっとそれ理解して貰えるかしら?」
(あ、あぁ・・・けど、なんで?)
純恋は三日月の頭の中に語りかけ、三日月もそれに答える。
(私もやらなければならない事が出来た、その為よ。安心して、明日にはまた使えるわ。あなたに与えた力は今やあなた自身の力。借り物じゃ無い・・・あなたなら、きっとみんなを幸せに出来る。どれだけ時間がかかっても良いからあなたは、その力をみんなの為に使いなさい)
(ん?うん、そりゃそうするつもりだけど・・・)
(ふふ、やっぱり100点よ三日月君。普通はその力に溺れるのが人間。だけどあなたはその力を自分の都合の為に使う事は無かった。合格よ・・・時の支配者、輝夜 三日月)
「何を立ち止まってるの?早く行きなさい」
次の瞬間には、純恋はいつものキリッとした表情で挨拶運動に戻った。
「時の・・・支配者・・・」
「んあ?なんだって?」
「いや、なんでもない。んじゃ行こうぜ」
「「おーう!!」」
3人仲良く学校に向かった。しかし、三日月たちの通う宮ノ下小に、この日以降黒乃 純恋が来る事は無かった。




