sins of the gambler
天正第二中学 文化祭の日
「馬喰 一兆」
サクリファイス2こと、アレクシアは一兆に向けてカードを一枚投げた。一兆はそれを受け取るとそのカードには数字の羅列が書かれていた。
「座標か」
一兆はこのカードの意味を一瞬で理解した。
「そうです。お前は私との賭けに勝った、取り分です」
「普通馬鹿正直に渡すか?俺だったらそーだな、訳分からん暗号にするけどな?」
「私はAIだ。AIと普通の人間の思考の違いを知ってるですか?」
「・・・さぁ?」
「AIは自身に嘘が吐けないです。有言は実行あるのみ、それ故に私は私のルールに従い、君にそれを渡す」
アレクシアは腕を降ろし、一兆をその冷めた目で見つめた。一兆もニヤリと笑いながらも鋭い視線をぶつける。
「まぁ、考えられるとしたら、このタイミングで終わらせようぜって話か。わーったよ、首の皮洗って待っとけってあんたら全員に伝えておきな」
「ふっ、やはり君は面白い男ですね。では伝えておくですよ、次会う時は全力でおもてなしをすると」
「っ!?」
アレクシアは一瞬で一兆と間合いを詰めた。一兆は武器に手をかけたが、敵意が無いと感じ手を離す。
「私の頭脳は、お前を気に入った・・・」
アレクシアは一兆の頬にキスをし、その場から消えた。
「・・・機械にされても嬉しくねーっての。さて、対AI戦ねぇ・・・アイツを出し抜く手を考えるか」
「いよぅ!!一兆殿っとぉ!!」
そう考えてる矢先、飄々とした明るい声が響いた。
「どーせ聞いてたと思ってたぜ。ウラヌスよぉ」
今度は一兆がカードを投げた。投げた先で空間が割れ、中からウラヌス、シェンリーが現れた。
「おいおい、そう睨むなって。そろそろ俺の出番と思ってきた訳だっとぉ」
「あんたの出番?んなもんあんの?」
一兆は腕を組んで訝しげな顔で呟いた。
「ひっどいねぇ。ちと真面目な話しようぜ?このシェンリーって肉体の奴は前の戦いで死んだ。だが、神ってのはそんな簡単に死ねなくてなぁ、今の俺は奴の記憶と力のみを持った不安定な存在な訳よ。神が死ぬ方法はいくつかあるが、神器を使って殺される、同じ神に殺される、神の力を失うのどれかだ。
この戦いの先にはどっちが勝っても神の存在は終わる。三上も永零も神の力を残さず、人間としての未来を作ろうとしてる。神の力が使われるのは、この戦いが最後になるだろうな。そこでだ一兆。お前は俺のウラヌスを受け継ぐ気はあるか?お前は俺と同じ空間を支配する能力を持つ。引き継げんのは、あんたしかいねぇのさ」
一兆は少し悩んだ。そしてある事に気がついた。
「おい、ちょっと待て。真面目な話にギャグで返すが・・・お前の力を受け継ぐんなら、俺、掘られるって事か?」
一兆は能力譲渡の方法を思い出し、顔が青ざめた。
「ん?あ、あはははは!!違う違う!!そりゃセカンダビリティの話だっとぉ!!俺やクロちゃんとかの能力はセカンダビリティとはちと違ぇんだ!ファースタビリティってな、神そのものの力から生み出されたのが俺たち、セカンダビリティは神が人間に与えた能力を指すんだよ。ファースタビリティの受け渡しはあんな事しなくてもよぉ、もっとシンプルにやれるぜ?」
「あっそう。正直違いが分からなかったからな、てかそんな情報、先に教えてくれよな・・・だったら貰うぜ。寄越せ」
一兆は顔色を戻し、ちょいちょいと煽った。
「ふっ・・・ただなぁ。ちと難しいぜっとぉ・・・理由は、あんたなら予測つくだろ?」
「倒せ・・・か」
すぐに察しはついた。
「正解!!厳密には殺せだ。けど、さっき言った方法でしか俺は殺せない。けどあんたは人間だ・・・さぁ、お得意のイカサマでどう俺を殺す?」
ウラヌスは両手を広げる。
「なーる、殺さないやつを殺せか・・・そういう事なら、俺向きだ!」
一兆は右手ににカードを5枚づつ抜いて構えた。
「いいねぇ、第三帝国との戦いで疲れてるにも関わらずこの気迫、気に入ったぜ。俺もあんたも全力でやりあえそうだなぁ」
「あぁ、この戦いは長丁場になりそうだ。俺のお気に入りの場所でやろうぜ?」
「イカサマする気満々だな、面白そうだ・・・じゃ、行くぜ!」
ウラヌスと一兆は消えた。